さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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チャンプと【金色旅程】先輩の話。



危険が危ない!!!!

「どこ行くんだ?」

「え?…フツーに、買い物ですけど…?」

「…着いてくから、ちょっと待ってろ」

「えっ」

 

「家で待っててくれてよかったのに」とボヤく後輩を諌めながら、荷物持ちとしての役目を全うする。

年々儚さが増してくるこの後輩は、その見目に合わせたゆるっとしたパステルカラーの服装もあってか、ひとたび外に出れば異様なまでに絡まれている。

ナンパならまだいい方で、ひどい時は後輩の善意を利用してどこかに連れていこうとするのだから始末に負えない。

何度帰りが遅いから迎えに来た俺が警察(サツ)に通報したことか。

 

「先輩、いつもすみません……」

「そう思うなら自衛してくれ」

「……善処します」

「それ絶対しないやつだよな?」

 

俺の指摘に気まずげに目を逸らす後輩。

……さてはこいつ、また警察(サツ)の世話になるつもりだな?

 

「……お前なぁ」

「あ!先輩見てください!」

 

呆れてため息をこぼす俺に構わず、後輩が何かを見つけたらしく声を上げた。

見ればそこは古本屋のようで、目を輝かせながら店の中に入った後輩は「わァ!」と歓喜の声をあげたかと思うと、すぐさまその手に取った雑誌をカウンターへ持っていった。

 

「見てください先輩!これウチの父さんの現役の時の、それも特集号ですよ!!…母さんに送ってあげよっと」

「お前、ほんと父親のこと好きだよな」

 

後輩の父親は誰もが知るアイドルホースで、今は時おりイベントに出たりするぐらいで、基本は一般人として過ごしている…らしい。

そんな父親のファンである後輩は、こうしてたまに特集号なんかを見つけては、未だ父親とラブラブの母親のために購入して送っているというのだから微笑ましいものだ。

 

「当たり前じゃないですか!父さんが現役の時なんて俺まだ生まれてなかったですし!」

「まあお前の親父さんはイケメンだからなぁ……そりゃ憧れるわな」

「……先輩、あげませんよ」

「いらねえよ!?」

 

冗談めかしたやり取りをしつつ、後輩が会計を終えるのを待つ。

……しかし、こうしていると本当にただのどこにでもいるウマにしか見えないんだよなぁ……。

 

「お待たせしました先輩!帰りましょう!」

「はいはい」

 

嬉々として店から出てきた後輩は、俺の腕に抱き着いてくる。

……この年々ひどくなる甘え癖もどうにかならないものか。

 

「……おいこら」

「いいじゃないですかぁ〜」

 

そんなやりとりをしながら帰路に着く俺たちだったが、その途中、俺はふと違和感を覚えて足を止めた。

 

「?どうかしました?」

「…ちっとら遠回りして帰るぞ」

「…?はい、分かりました、けど…?わっ!」





【金色旅程】:
先輩。
【銀色の王者】ことシルバーチャンプの保護者。
ひとりにしておくと危な過ぎる後輩のセコムをしている。
【銀色の王者】と関わるようになってから他人の視線に敏感になったとかどうとか。

【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。
引退して落ち着き、穏やかになったのはいいが、その分ヤベェ輩を惹き付けるようになってしまった。
ナンパされるのは序の口で、中には「どこそこに行きたいんです」の体で攫われかける。
それはそれとしてパパラッチという名の盗撮もよくされてそう。
でも本人はのほほんなままである。
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