さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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誰?



見知らぬ我が子

『我が子』だと名乗る、見知らぬ美男美女から日々口説かれるというか、「一緒に暮らしましょう」みたいなことを言われるようになってしばらく。

普通なら警察に相談した方がいいんじゃない?案件ではあるが、特段強硬手段を取られているわけでもなし、ちゃんと言えばその日は引き下がってくれるので、まあ実害はないしなあ……と放置している。

 

「ただいまー」

 

今日は金曜日で、一週間の諸々も終わり。

華の金曜日を謳歌すべく、仕事終わり速攻で楽な格好に着替えた僕は、ウキウキ気分で家へと帰る。

 

「おかえりなさい、父さん」

「……あ、うん……」

 

……が、しかし。

出迎えてくれた『我が子』を名乗る美男美女、その中の一人の姿に、思わず真顔になってしまう僕だった。

いや、料理とか風呂を用意してくれるのは嬉しい。

けどナチュラルに家の中にいるのはどうかと思う。

いくらこの家を彼らに紹介してもらったとはいえ、やはり不法侵入は犯罪である。

 

「あの、なんでいるの?」

「父さんが帰ってくるのを待ってたんです」

「いや、それはありがたいんだけど……」

 

僕はそのまま直帰してきたはずだ。

いちおうひとり暮らしだから誰にも連絡なんてせず、自由気ままに帰ってきた。

なのに、何故。

 

(こんなぴったりにホカホカのご飯が出来上がってるんだろう…)

 

しかも、僕の好物ばかり。

ホカホカご飯にワカメと玉ねぎ味噌汁、焼きカレイに白菜と豚肉を煮たの……というラインナップだ。

 

「父さんがこれぐらいに帰ってくるって聞いてたから、せっかくだから一緒にご飯食べたいなあと思って」

「え……」

「あ、迷惑でしたか?」

 

そんな捨てられた子犬みたいな目で見られても困る。

いやでも待ってほしい。

なんで僕が帰ってくる時間を知ってるんだ?

僕は誰にも連絡なんてしていないし、そもそも相互の連絡先なんて家族の分しか持ってない。

なのに、なんで。

 

「いや、迷惑じゃないけど……」

「じゃあ一緒に食べましょう!今日は父さんの好きな物ばかりですよ!」

「……うん」

 

まあ、いいか。

 

(なんか怖いけど……)

 

色々気になることはいっぱいあるんだけど。

でもとりあえず今はご飯が冷めないうちに食べたいなと思う僕だった。

 

 

『我が子』を名乗る彼らは多種多様だ。

何人いるんだと言いたいぐらいには入れ代わり立ち代わり、日々新顔さんがやってくるものだからもはや誰が誰だか。

 

「はぁ…」

 

でも、拒絶できないのだ。

現状を「ヤベェなぁ…」と認識しつつも、どうしてか。

 

「……こんな、甘ちゃんだっけ僕って」





僕:
シルバーバレット。
弟妹はたくさんいるけど子どもぉ!?
見知らぬ美男美女に『我が子』と名乗られる日々。
誰?誰なのぉ!?
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