それが、さいごだった。
「チビちゃんはずっとここにいればいいんだよ」
そう言ったのは、祖父だった。
家族以外のみんなから恐れられる生粋のアウトローは、多くいる孫たちの中でも一番上の子である僕を寵愛した。
「うん」
まぁ、それも仕方のないことだったのかもしれない。
予定日よりもずっとずっと遅れて生まれてきたくせに、年頃になってもその年頃らしくない小さな体。
食べても他人が言うには食べてると呼べない量しか食べることが出来ないし、ずっと貧血気味で、ちょっと走っただけで倒れてしまう。
その癖、祖父が僕に一番心配性で甘かったから、僕が祖父の言うことを聞かないはずがなかった。
「うん」
僕は頷いていた。
でもそれは本心じゃなかった。
家族以外のみんなから恐れられる生粋のアウトローは、多くいる孫たちの中でも一番虚弱な僕を寵愛した。
しかしそれが本当に愛と呼ばれるものなのかといえば疑問が残るところであるし、そもそもこの祖父の愛情というものは世間一般が言う『愛』とはどこか違っていて、言うなれば───。
「いい子」
本当は。
外で遊びたかったし、倒れてもいいから走っていたかった。
僕の外での稼働時間はどこぞの某三分間ヒーローと似たようなものだったが、その短時間なら…どこの誰よりも速くあれたから。
でも祖父がそれを許してくれなかった。
祖父は僕に、家から出ないように言いつけた。
僕はそれに従っていた。
だって祖父の言うことは絶対だった…し、それに。
「いい子」
だから、祖父の最期の時も、僕はやっぱり祖父の言うようにしただけだった。
僕が祖父に最後に会ったのは家の離れの一室でのことだった。
もうその時になると、祖父は歩くこともままならない状態で、布団に横たわったまま僕を見て笑っていた。
笑って僕の頭を撫でた。
誰もが言う大往生で、最期まで頭もハッキリしていた祖父。
しかし僕の手を握るその力は信じられないほどに弱くなっていて、僕の方から握っていなければすぐにその手は布団に落ちるだろうというのがわかった。
「ちびちゃん」
祖父は僕を呼んだ。
僕は祖父を見た。
「はい」
と、返事をした。
すると祖父は、今までで一番優しい顔で笑って……そして言った。
「いい子だから、ぼくの言うことを聞けるな?」
そんなの聞くまでもないことだったから、僕は頷いた。
「うん」
それを聞いて祖父はまた笑ったが、その笑みはどこか儚げだった。
でもそれは僕も同じで。
「わかってるよ」
ゆっくりと告げると、祖父は安心したように目を閉じた。
僕:
シルバーバレット。
『約束』を破れない子。
約三分間なら世界中の誰よりも速く走れる…らしい。
けど体力うんぬんを理由に激しい運動×な模様。
たぶん変に動きすぎたらぶっ倒れるしタヒにかけるんだろなぁ。