ぞっこんですとも。
白峰という新人トレーナーはイケメンだと有名だ。
まあ一族からして顔のいい奴らの集まりであり、白峰自身もイケメンだ。
トレーナーとしての実力も高く、担当しているウマ娘はGIレースでも活躍している。
そんな勝ち組中の勝ち組という感じだが。
「バレット」
「はい」
白峰の目に入るのはいつだって、自分が見いだした担当バ-シルバーバレットだけで。
「今日も愛らしいね」
「どうも」
美形ではあれど鉄面皮の白峰の表情を唯一緩ませるのがシルバーバレットであることを、シルバーバレットだけは知らない。
「今日も美しいよ、シルバーバレット」
「ありがとうございます。トレーナーさんこそかっこいいですよ」
「ありがとう。ところでバレット」
「はい?」
「今度一緒に遊びにでもどうかな?もちろん二人きりで」
「……すみませんがお断りします」
ばっさりと切り捨てるシルバーバレットに、白峰は続ける。
「なぜだい?僕はキミのトレーナーだよ?もっと僕を頼ってほしいんだ。それに……キミは僕のものだし……」
この台詞もいつものことだが、
「はいはい」
上手く受け流すのもシルバーバレットは慣れたものだ。
「僕とあなたは曲がりなりにも子どもと大人ですよ?それが二人だけで遊びに行くなんて…身内でもないんだから」
「いつかはそうなるよ?」
「それはもっと先の話でしょう」
白峰の求愛をシルバーバレットは受け流す。
そもそも、このトレーナーが人間嫌いなのは知っているし、その原因も何となく察しがついている。
それでもなお、自分に執着する白峰に呆れながらも。
(まあ……悪い気はしないかな)
そう思ってしまうあたり、自分も相当毒されているなとシルバーバレットは思うのだった。
*
それは、言うなれば一目惚れだった。
初めてシルバーバレットを見かけた時、白峰の脳裏には電流が走った。
美しいと思った。
その美しさをもっと見たいと思った。
だからスカウトしたし、担当になった。
そして思ったのだ。
この娘は僕のモノだ、と。
*
(この人、周りからきゃあきゃあ言われるぐらいだけど…)
ぼんやりと、シルバーバレットは自分を抱き締めるトレーナー-白峰を見やる。
彼はシルバーバレットを抱き締めるのが好きで、隙あらばこうして抱き着いてくる。
(この人も……『普通』ではないんだな)
けれど、拒絶はしない。
そもそもこのトレーナーのことは嫌いではないのだから。
「ねえ」
「はい?」
ふと白峰が口を開いた。
「キミは僕のモノだよね?」
「まあ、そうですね」
「じゃあキミは誰のもの?」
「……あなたのモノですね。私はあなたの担当ウマ娘ですから」
シルバーバレットがそう答えると、白峰は満足げに微笑んだ。
(ああ……やっぱり美しい)
その微笑みに、シルバーバレットもまた見惚れるのだった。
トレーナー:
おなじみ白峰さん。
顔がいいし職業もいいのでモテるっちゃモテるけど…?
まあ、運命と出会っちゃったしね。