さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ぞっこんですとも。



ぞっこん

白峰という新人トレーナーはイケメンだと有名だ。

まあ一族からして顔のいい奴らの集まりであり、白峰自身もイケメンだ。

トレーナーとしての実力も高く、担当しているウマ娘はGIレースでも活躍している。

そんな勝ち組中の勝ち組という感じだが。

 

「バレット」

「はい」

 

白峰の目に入るのはいつだって、自分が見いだした担当バ-シルバーバレットだけで。

 

「今日も愛らしいね」

「どうも」

 

美形ではあれど鉄面皮の白峰の表情を唯一緩ませるのがシルバーバレットであることを、シルバーバレットだけは知らない。

 

「今日も美しいよ、シルバーバレット」

「ありがとうございます。トレーナーさんこそかっこいいですよ」

「ありがとう。ところでバレット」

「はい?」

「今度一緒に遊びにでもどうかな?もちろん二人きりで」

「……すみませんがお断りします」

 

ばっさりと切り捨てるシルバーバレットに、白峰は続ける。

 

「なぜだい?僕はキミのトレーナーだよ?もっと僕を頼ってほしいんだ。それに……キミは僕のものだし……」

 

この台詞もいつものことだが、

 

「はいはい」

 

上手く受け流すのもシルバーバレットは慣れたものだ。

 

「僕とあなたは曲がりなりにも子どもと大人ですよ?それが二人だけで遊びに行くなんて…身内でもないんだから」

「いつかはそうなるよ?」

「それはもっと先の話でしょう」

 

白峰の求愛をシルバーバレットは受け流す。

そもそも、このトレーナーが人間嫌いなのは知っているし、その原因も何となく察しがついている。

それでもなお、自分に執着する白峰に呆れながらも。

 

(まあ……悪い気はしないかな)

 

そう思ってしまうあたり、自分も相当毒されているなとシルバーバレットは思うのだった。

 

 

それは、言うなれば一目惚れだった。

初めてシルバーバレットを見かけた時、白峰の脳裏には電流が走った。

美しいと思った。

その美しさをもっと見たいと思った。

だからスカウトしたし、担当になった。

そして思ったのだ。

この娘は僕のモノだ、と。

 

 

(この人、周りからきゃあきゃあ言われるぐらいだけど…)

 

ぼんやりと、シルバーバレットは自分を抱き締めるトレーナー-白峰を見やる。

彼はシルバーバレットを抱き締めるのが好きで、隙あらばこうして抱き着いてくる。

 

(この人も……『普通』ではないんだな)

 

けれど、拒絶はしない。

そもそもこのトレーナーのことは嫌いではないのだから。

 

「ねえ」

「はい?」

 

ふと白峰が口を開いた。

 

「キミは僕のモノだよね?」

「まあ、そうですね」

「じゃあキミは誰のもの?」

「……あなたのモノですね。私はあなたの担当ウマ娘ですから」

 

シルバーバレットがそう答えると、白峰は満足げに微笑んだ。

 

(ああ……やっぱり美しい)

 

その微笑みに、シルバーバレットもまた見惚れるのだった。

 





トレーナー:
おなじみ白峰さん。
顔がいいし職業もいいのでモテるっちゃモテるけど…?
まあ、運命と出会っちゃったしね。
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