さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ニブチンだから気づきません。


人知れず

今日はトレーナーさんとふたりでオフに色々なところを周り。

その果てに僕が住んでいるマンションに帰るには遅すぎる時間になって、「よければ泊まっていきなよ」と言われたので仕方なく泊まらせてもらうことになった。

 

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます……」

 

お風呂上がりに、トレーナーさんから冷たいお茶を渡され、それをゆっくりと飲み干す。

そのお茶は普段よりも少し苦く感じたけど、きっと気のせいだろう。

 

「……ふぅ」

「落ち着いた?」

「ええ、まあ……なんとか」

「そう?ならよかったよ」

 

そう言って微笑むと、彼は僕の隣に腰掛ける。

そしてそのまま僕を抱き寄せた。

 

(あ……)

 

彼の体温が心地いい。

今日は結構な人混みの中を歩いたせいだろう、疲労と温かさによってふわふわと眠気が襲ってくる。

 

「眠い?」

「ん……はい……」

「いいよ、ゆっくりお休み」

 

彼はそう言って僕の頭を優しく撫でる。

ああ、このまま寝てしまいたい。

でもその前に一つだけ聞いておきたいことがある。

 

「……ねえ、トレーナーさん」

「うん?」

「どうして今日僕を誘ってくれたんですか……?」

 

僕がそう聞くと、彼は少し困ったような顔をしてから答えた。

 

「…う〜ん、ちょっとした牽制、カナ?」

(え……?)

 

予想外の答えに思わず固まってしまう。

そんな僕を見て、彼はクスクスと笑って。

 

「おやすみ、いい夢を」

 

 

僕を一目で焼き尽くした彼女は、とても魅力的であって。

そこにあるだけで周りのみんなを魅せてしまう。

 

「あ、トレーナーさん。おはようございます」

 

そう言って彼女は僕に抱きついてくる。

年齢にしては小さな体。

しかしその肉体は極限まで肉が削ぎ落とされていて、少し力を込めると折れてしまいそうなほど。

 

「うん、おはよう。今日も元気そうだね」

「はい!今日は特に調子がいいんです!」

 

そう言って笑う彼女の笑顔は、まるで太陽のように眩しかった。

 

 

『ねえ、トレーナー』

 

彼女は僕に語りかける。

その口調はとても穏やかで、普段の彼女からは想像できないものだった。

 

『僕ねぇ……キミのことが好きだよ』

 

そう告げる彼女はうとうとしつつ、潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。

そんな彼女に僕は何も答えられずにただ黙ってしまう。

 

『……ふふ、照れてるの?可愛いね』

 

口を噤む僕を見て彼女はまた笑う。

そしてそのまま目を閉じて眠りについてしまった。

 

 

「ん……」

 

目を覚ますと目の前には彼女の顔があった。

どうやら一緒に寝ていたらしい。

 

(そういえば昨日泊まったんだっけ)

 

時計を見るとまだ起きるには早い時間だ。

二度寝しようかと思ったが、彼女の寝顔があまりにも綺麗で目が離せない。

 

(本当に綺麗な子だな)

 

そんなことを考えていると彼女がゆっくりと目を開いた。

 

「おはよう、」





トレーナー:
おなじみ白峰。
どっちかというと確信犯。
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