さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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誰にも渡さない。



僕の

(顔はいいんだけどなあ、この人)

 

しかも中央のトレーナーという勝ち組の職業なら人気も出そうなのに。

なのにここまで彼女さんとか、そういった影がないのは我がトレーナーながら呆れるというか天晴れというか。

ネットを見てもイケメンだって掲示板とかで騒がれてるってのに、当の本人はそんなの知らんぷりだ。

 

「合コンとかないんですか?」

「まあ、あるにはあるらしいけど…基本的にみんな担当の子にゾッコンでそっちに目を向ける暇ないからねえ。そんな暇あったら、さ」

「それは…担当バ冥利に尽きますけども」

 

ふわりと微笑むトレーナーさんはなるほど、こりゃ人気になるのも窺える。

 

「でも、そんなトレーナーがどうして僕なんかを? もっといい娘ならたくさんいるでしょうに」

「うーん……まあそれはね……」

 

歯切れの悪い様子で言葉を濁すトレーナーさん。

少し待ってみるも続きの言葉は出てこない。

代わりに出てきたのは、なんとも不思議な質問だった。

 

「……ねえ、キミにとっての一番ってなに?」

「へ?」

 

突然の質問に変な声が出た。

いやだっていきなりそんなこと聞かれたら誰だってそうなるでしょ!

しかもこんな二人きりのシュチュエーションで!!!!

…とはいえ、僕のトレーナーさんに対する思いは自分を見出してくれた恩人というものはあっても、色恋とかそんな頭パッパラパーなものはないので。

 

「家族ですけど?」

「…そうだよね」

「だってあんなに可愛いきょうだいたちですもん!…父さんと母さんは万年新婚ラブラブでお互いに守りあってるからいいとしても」

 

見るからにどこかしょぼんとしだしたトレーナーさんに「ホントこの人は…」と呆れる。

 

「…僕なんかに本気にならずとも、あなたなら幾らでも良い子見繕えるでしょうに」

「いや、うん……それはそうなんだけど。でもね……」

 

煮え切らない様子のトレーナーに僕はため息をつく。

まったくこの人は……本当に自分のことには奥手なんだから!

だからここは僕が一肌脱いであげましょう!

 

「じゃあこうしましょう」

「ん?」

「僕が引退するまで良い人見つからなかったら、その時は考えてあげますよ!」

 

我ながら名案だと思ったんですがどうでしょう?と僕は言うもトレーナーさんの顔はどこか浮かない顔だった。

なんで?と首を傾げると、トレーナーは苦笑いで。

 

「多分……キミが引退しても見つからないんじゃないかなあ……」

「……え?」

 

瞬間、ぐいとトレーナーさんに引っ張られる。

それに目を白黒すると。

 

「僕以外、見ないでね」





トレーナー:
おなじみ白峰。
意外と押せ押せ。
手放したくないので捕まえるつもりらしい。
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