さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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けれど。


カミサマじゃない

シロガネハイセイコにとってのヒーローは、カミサマは、父であるシルバーバレットで。

ろくに愛情もご飯も与えられず、死に損ないで生きていたシロガネハイセイコに、『シロガネハイセイコ』と名前をつけてくれて、美味しいご飯を与えてくれて、愛情を注いでくれたのが、初めてソレを与えてくれたのがシルバーバレットであったから。

空っぽだった子どもが、産まれたばかりの小鳥のように目の前の存在を信奉するのも…そう、おかしいことではないだろう。が、

 

「うん、おはよう」

 

カミサマは、カミサマであるので。

博愛で、博愛で、博愛であるカミサマは、シロガネハイセイコを特別扱いしなかった。

 

「おはよう」

 

だから、シロガネハイセイコは、シルバーバレットの真似をして。

 

「おはようございます、父さん」

 

そもそも、一人称も喋り方もなかった空っぽの子どもであったので、シルバーバレットに倣い、『僕』という一人称で、穏やかに話すようにした。

 

「おはよう、シロガネハイセイコ」

 

カミサマは……否、シルバーバレットは、そんなシロガネハイセイコを咎めず、優しく笑ってくれたので。

 

「今日は何して遊ぼうか?」

 

だから今日も今日とて、シロガネハイセイコはシルバーバレットの真似事をする。

 

「父さんが決めてください」

 

空っぽな子どもの行動指針はカミサマであるシルバーバレットである。

だから、今日も今日とて、シロガネハイセイコはシルバーバレットの真似をする。

 

「んー……じゃあ」

 

そしてそんなシロガネハイセイコをシルバーバレットは拒まない。

それどころか、喜んで受け入れてくれるので。

 

「今日は外で遊ぼうか」

 

カミサマが与えてくれる『特別』に、シロガネハイセイコは今日も満たされている。

そんな幸せを噛み締めながら、シロガネハイセイコはいつもと同じように答えた。

 

「はい」

 

 

シルバーバレットにとって、初めて引き取った我が子であるシロガネハイセイコはとてもいい子であった。

引き取った初めは周りから育ちが育ちの子であったから大変だろうと心配されたが、シルバーバレットはそんなシロガネハイセイコを大事に大事に育てて。

その甲斐あってか、シロガネハイセイコはすくすくと育っていき……そして、シルバーバレットをよく慕い、反抗期なんてないように育った。

 

「父さん」

 

だから今日も今日とて、シルバーバレットは気づかない。

 

「おはようございます」

 

それはとても自然で。

まるでそうあるのが正しいことかのように、シロガネハイセイコはニコリと笑う。

───鏡に映るまで、自分がどのような顔をしているのか分からないように。

 

「おはよう、ハイセイコ」

 

その笑顔が、まるで自分に────。





カミサマ嫌いの奴が神様に思われてるっていうね。
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