さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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双方向感情。
…2025年もどうぞよろしくお願いいたします。



愛、愛、愛

愛情表現を惜しむな、という。

それはウチの一族の教えの中でも最優先事項寄りの教えであり、生まれた頃から身をもって教えられるもののことのひとつであった。

 

「おはよう」

 

朝目覚めたらまずはハグとキスで。

その頻度は人によって様々だけど、一度ギュッとチュッで終わらせる人もいれば、祖父のようにギュッもチュッも誰かに止められない限り延々と続ける人もいる。

ちなみに僕は後者らしい。

 

「おはよう、お祖父ちゃん」

「うむ」

 

お祖父ちゃんはおはよう以外にも会う度にハグとキスの雨を降らせてくるが、その勢いは年々増す一方である。

今やギュッもチュッもゲシュタルト崩壊しそうなくらいしてくるから、僕も負けじとお祖父ちゃんにやり返すのだが……これがまた終わらないのだ。

 

「今日は何しようかな?」

 

朝食を終えて、次々に起きてくる弟妹たちに愛を伝え終わって、『自分のエネルギーも一緒に渡した気がするなあ』とぼんやりしながら、僕はリビングで新聞を読んでいる父さんに話しかけた。

 

「畑行くか?」

 

父さんは新聞から目を離さないままそう答える。

 

「えー……いや、いいけど」

 

いつもと変わんないなあという言葉は飲み込む。

別に慣れた作業だから本気で嫌ってわけではないんだけど。

 

「じゃあ、行くならさっさと行こうよ」

「そうだな。……おーい、ちょっと畑行ってくるからー!」

 

父さんはよっこいせと立ち上がると、庭で洗濯物を干しているであろう母さんに声をかける。

かくいう母さんは返事の代わりに『おー』と答えた。

 

「よし行こう」

 

僕と父さんとで家を出る。

 

「今日は何するの?」

「雑草抜き」

「変わんないね」

「まだ収穫時期じゃねぇからなあ」

 

動きやすく、汚れてもいい格好でふたり、えっちらおっちらと家の敷地内にある大きな畑に歩を進める。

結構何でも作れそうなぐらいには広い畑であるため、端から端まで移動するのは一苦労だ。

 

「あ! 父さんに兄ちゃん!」

 

畑に着くと、弟と妹たちがすでに作業を始めていた。

 

「おー」

「早いなお前らー」

 

僕と父さんが声をかけると、弟も妹たちも『えへへ』と笑う。

それから弟妹たちが飛び込んでくるので「おっとと」と受け止めると「兄ちゃん転がすなよ〜」と父からの注意が入る。

 

「分かってるよー」

「兄ちゃん、今日何するのー?」

「雑草抜きだよ」

「えー? またぁ?」

 

妹たちは不満そうな顔をする。

父さんはそんな妹たちの頭をわしわしと撫でる。

 

「文句言わねぇの。働かざる者食うべからずって言うだろ?」

「でも草むしりつまんない〜」

 

妹のひとりが言うと、弟も『ねー』と同意するように声を上げる。

そんな弟妹の訴えに僕は苦笑いをした。

 

「…なら兄ちゃんと競争しよっか。誰が一番雑草抜けるか」

『やるー!!』

「あははっ、よしきた」





僕:
シルバーバレット。
好き好き大好きされるし、する。
でも体格差的にされる方が圧倒的に多い。
いつまで経っても(身長的に)かわい子ちゃんのままだからね、仕方ないね。
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