さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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…かも?



はじめまして?

偶然、出会った相手だった。

 

「よォ」

「…はい?」

 

あまりにも知り合いであるかのようにやって来たものだから、「会ったことある人だっけ?」と混乱しているうちにあれよあれよ。

こういっちゃ悪いが輩の格好をしているウマに連れていかれるウマ(ぼく)を助けようとしてくれる人などおらず、肩を抱かれるままに、気づけば薄暗い路地に連れ込まれていた。

 

「あ、あの……」

「あん?」

「僕、お金持ってないです」

「はァ? んなこと期待してねーよ」

 

じゃあなんで連れてきたんだ。怖いから帰りたいんだけど。

そんなぼくの想いなど知ったことかとばかりに男は懐に手を入れ、ごそごそと何かを探し始めた。

やがて出てきたのは見慣れた色の携帯電話で──って、あれ!?

なんでこの人が持ってるんだろう!?

もしかして落としちゃってた?!

 

「…返して欲しけりゃ、分かるよなぁ?」

「はひ…」

 

 

ずっとずっと、会いたいと思っていた存在がフラリとそこにいた。

同じくらい会いたかった相手にはもう再会できていたから、後はソイツだけで。

しかもソイツはシレッと携帯を落としやがるものだから、思わず飛びついてしまった。

 

「はひ……」

 

案の定ソイツは涙目になりながらも携帯を返して欲しがったので、俺はそれをダシにソイツを連れ回すことにした。

シレッと落としやがったことに少しばかりムカついていたから、ちょっと意地悪してやりたくもあったが、それはまた今度だ。

 

「で? お前これからどうすんの?」

「……え?」

「いや、だから」

 

俺の言葉の意図が分からないのかきょとんとするソイツに、俺は続ける。

 

「そろそろメシの時間だろーが。どっか行くかって聞いてんの!」

「え、あ、はい……。でも僕お金ないですよ」

「んなもん期待してねーって言ってんだろーが!」

「じゃあなんでそう言ったんですか……」

 

呆れたようにため息をつくソイツに俺は思わず笑ってしまう。

 

「……なんでさ。なにかおかしいこと言いました?」

「いや? 別にィ?」

 

 

それからメシを奢って、色々と連れ回って、夜になった頃にはまあ気安い仲になった。

 

「今日はありがとうございました」

「あァ? なに言ってんだ。これからだろ?」

「……え?」

 

俺はコイツを逃がすつもりはない。

ようやく見つけたのだから、絶対に逃がさない。

そんな俺の考えなど露知らず、ソイツは呑気に首を傾げている。

 

「お前、名前は?」

「名前……ですか……?」

「そォだよ。まさか言わないとは言わせねェぞ?」

 

俺がそう言うと、ソイツは困ったように笑った。

そして、少し考えてから口を開く。

 

「僕の名前は────」





僕:
シルバーバレット。
知らない人だァ…。
でも仲良くなった。
よくよく聞いてみると自分の方が年上らしい。
ふえぇ…。
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