SANチェック〜。
その血筋に列なる者は、とても美しい眼をしている。
「……」
見ようによっては夜空に輝く星のように煌めく銀灰色の目。
それを一度認識してしまったが最後、囚われては逃げられない。
「…どうしたの?」
「……ッ!」
甘く蕩けるような声に誘われて、少年は無意識に視線を上げてしまう。
その瞬間を見逃さず、銀灰のウマは少年の顎にそっと手を添えた。
そしてそのまま強引に上を向かせると、その眼を間近で覗き込む。
「あ……」
「…これでもう、キミは逃れられないね」
銀灰の言葉の通りだった。
もう少年には銀灰しか見えていないし、銀灰の声しか聞こえていない。
「…可愛い」
*
まるでメデューサみたいだなと思った。
あまり他人と目を合わすなと言われながら育てられ、その通りにしていたら、己の目が気になると言い出したのは友人だった。
『目を見れば分かるのよ。あなたの眼はとても綺麗だから、あまり見せないようにしなさい』
母はそう言っていたけれど、僕にはよく分からなかった。
だって綺麗な眼をしているのなら、見せていいんじゃないかって。
「…どう?」
長く伸ばしていた髪をあげて目を見せると、目を見たいと言っていた友人がピタリと固まった。
「どうって……すごい、綺麗」
「……そう?」
「うん。なんか、宝石みたい」
友人は目を輝かせてそう言ったけど、僕はあまり嬉しくなかった。
だって…その目が。
・
・
・
「…へ〜」
なんか色々大変みたいだね、と考えながらクイとサングラスをあげる。
銀灰色っていう色素が薄い目になったから眩しく感じるようになっちゃったんだよなあ。
親族の中にはカラーコンタクトで目の色を変えている子もいるらしい。
「でも、なんで?」
「……別に」
「僕、綺麗なのは好きだよ。キミの目ならずっと見てたいかも」
「……そう」
なんで?なんて訊いておいてなんだけど、理由は知っている。
この子はきっと、自分の目が嫌いなんだろう。
だから隠そうとしているんだ。
「ね〜え」
「……」
「こっち向いてよ〜」
「……」
「すっごく素敵だよ〜?ねーえー」
「……うるさい」
「ちょっと、どこ行くの?」
「帰る」
「待ってよ〜」
本当に帰ろうとするから慌ててその腕を掴む。
すると彼は煩わしそうに僕を見た。
あは、やっぱり可愛いなあ。
「離せ」
「ヤダ〜離したらキミ帰っちゃうでしょ?もうちょっと話そうよ」
「……なんでアンタと話さなきゃいけないんだ?」
「え?だってキミが訊いてきたんじゃん。『どうして?』って」
ああでも。
「まだ僕もキミと話したいから…ね?」
その目に囚われたら逃げられない。
可哀想……なのかなあ?