さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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どれだけかなあ?



オークション

人間というのはよくもまあ、ここまで愚かになれるもんだなと一人ごちた。

いま自身がいる場所はいわゆる裏オークションとかそういう奴で、正直に言えば人身売買って奴だ。

 

(よくもまあ、自分にこんな金出せるもんだ)

 

そりゃあ自分の血族はそういったアレコレでは有名らしいけれど、それにしたって。

 

「見目もいいし、頭も切れる。なにより若い。十代ですよ十代!」

 

そもそも人間を買うという時点でアレなのだが、

 

(すげぇ目で見てくる…)

 

群衆たちが自分を見つめる目がすごい。

聞くに僕の見目は、祖父と同じく始祖である彼女に似ているようだが…。

 

「では、この商品は三から!」

 

司会の男が声を張り上げる。

 

(……まあ、そこまで上がらんだろ)

 

僕は特に感慨もなく、その金額を聞いていたのだが。

 

「五」

「十」

「……二十五」

 

と、どんどん値段が上がっていった。

 

(……え?)

 

そんな馬鹿なと思いつつも、僕は自分の値段を見た。

そこには確かに凄まじい勢いで釣り上がる数字が表示されている。

 

(あ、これやばいやつだ)

 

そこでようやく、僕は自分がどうやら人身売買的な意味で価値が高いのだと理解した。

 

(やばいな……)

 

このままいけばおそらく落札されるだろう。

そうなればもう自由はない。

いやそれどころか、人としての尊厳とかそういったものも失われてしまう気がする。

 

「三十」

 

と、そこで声が上がった。

その声の主は声からして僕と同じくらいの年齢で、やたら声の感じが鋭い。

 

「五十五」

 

その人はさらに値段を釣り上げていく。

 

「六十!」

「百」

「ひゃ、百五」

「二百」

「に、に、二百五十!」

「五百でどうだ?」

(あ)

 

そこで僕は理解した。

どうやらこの声の主は僕を競り落とそうとしてくれているらしい。

 

(で、見事売れちゃった、と…)

 

僕が一番の目玉だったようで、僕が売れたのを最後にオークションはお開きになった。

 

「では、この商品は落札されました!」

 

司会の男がそう言うと、僕はその人に引っ張られて舞台を降りた。

オークション会場を出て車に乗せられる。

 

「よ、よかった…」

「ごめんね、父さん」

 

顔を隠していた仮面を脱いだ先には父さんがいた。

どうやら父さんは僕が攫われたあと、僕の行方を追っていたらしい。

 

「でも、よかったよ……お前が無事で」

 

そう言って父さんは僕を抱きしめた。

 

(あったかいな)

 

僕はそんな感想を抱いた。

もうずいぶんと感じていなかったようなその暖かさに、思わず涙が出そうになる。

だがそこで僕はハッとした。

 

(いや、なに涙ぐんでんだ僕!)

 

そもそも人身売買の商品になったのだ。

これで帰った暁には…、

 

(ぜ、絶対みんな怒ってる…だろうな)





僕:
シルバーバレット。
基本ほへ〜としているが、流石に今回はちょっと怖かったらしい。
でも反省はしなさそう。
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