さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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美人になり過ぎだ!!



ずっと美人だけど

ホワイトリリィとヒカルイマイの夫婦は、互いに互いを愛している。

それは、家族のみならず地域の人にまでよく知られるほどで。

父母譲りの美貌を持ちながらも誰にも靡かなかった美女が唯一靡いたのが多少目付きは悪いものの、その実誰よりも優しく誠実な男だったのだから。

 

「……」

 

だが、夫であるヒカルイマイの方がホワイトリリィよりも先に亡くなった。

いやまあ、年齢差のことを考えるとおかしくはないものだったのだが、ヒカルイマイ死後のホワイトリリィの生きた年数が問題っちゃあ、問題だった。

 

「…他を当たってくださいな」

 

ホワイトリリィはよく生きた。

ウマ───それもサラブレッドと呼ばれる種の平均を大きく超えて、果てには何かそういう記録にも載りそうなほど、生きた。

曾孫も超えて玄孫まで見たし、中には結婚が早い子もいたためにそれ以上も見た。

がしかし。

ホワイトリリィの見目はそれだけの年月を経ても……あまり、変わらなかった。

ちょっとシワがあるくらいで、美魔女どころか、もうそういった類の魔性とか怪異みたいな領域にまで達していた。

 

「ごめんなさいね」

 

そして歳を経たせいか。

かつての自分の母のように振る舞うようになった。

粗野で勝気な面なナリを潜めて、昨今珍しいまでの嫋やかさに。

 

『いっ、いや!こちらこそごめんなさい!!』

「……あら?走っていっちゃったわ」

 

 

「俺の!妻に!色目を使うな!!!!」

「父さんどうどう」

 

死後の世界にて。

生者の世界を見ては荒ぶる父親-ヒカルイマイを子どもたちは総出で止めていた。

ヒカルイマイは昔も今も、たいそう妻であるホワイトリリィを愛していて。

そういった遺言は遺さなかったまでも、『一生自分に囚われろ』ぐらいは思っていた。

 

「父さんの愛は重すぎるんだよ」

「いや、でもな?俺は本当に……」

「はいはい。…それは僕らも似たものでしたね〜」

 

子どもたちがヒカルイマイを宥めている間もホワイトリリィはぼんやりと生者の世界を生きている。

 

「ぐぬぬ…」

 

元からあんなにも綺麗だったのに、もっと綺麗になってしまった…!

惚れた欲目なのか、まさに血涙せんばかりの勢いで生者の世界を睨みつけるヒカルイマイは見る人が見れば鬼か何かと勘違いしかねんほどの形相だった。

 

「…愛って、すごいねえ」

「まあ父さんは筋金入りだから」

「それだけで済ませられるか?」

「とはいえ母さんがクッッソ美人なのもそうだけど」

「で、今でも大好きな人にあんなに色目使われたら…ねぇ?」

 

「ギリッ!!!!」

 

「みんな煽らないの!!!!」





【白百合】:
ホワイトリリィ。
歳を経る毎に美人度が増す。
ほぼ不老不死なみに見た目が変わらない。
でも当人は夫一筋なので凄い勢いで振りまくるし、無理やり振り向かせようとしたら不思議なこと()が起こって毎回そこそこ大変なことになるとか。
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