さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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いかないで。



どこへ行くというの

気がついたら死んでしまっていた。

▼おおシルバーバレット!死んでしまうとはなさけない。

 

『…とは言われてもなあ』

 

気づいた頃にはふわふわ〜って体から魂?ってヤツが抜けててさ。

それで戻ろうにも戻るための繋がり的な紐ももう切れちゃった状態になったもんだから、そのままになっちゃった…。

 

『でも、まだ成仏できないみたいだしぃ…』

 

ふわふわと浮く。

なんかこう…上手い具合に成仏できるんかなと思ったけど行くべき場所もまったくもって分からん!なわけで。

 

『う〜ん』

 

 

マンハッタンカフェがその霊に出会ったのは、その霊の葬式でのことであった。

 

「…、」

『へぇ〜こうなってるんだあ…』

 

ひどく興味津々といった風に会場を飛び回り、そして。

 

『……あ、』

 

その霊の、生前の名はシルバーバレットという。

 

「あなたは……成仏しないんですか」

『それがさあ!できないんだよねぇ……』

「……どうしてですか」

『う〜ん……なんか未練があるっぽいんだけども……なんだったっけな〜』

「……」

『まあ、そのうち思い出すでしょ!』

 

葬式が終わったあと、マンハッタンカフェに着いてきた彼はお気楽にそう言ってのけた。

 

『……う〜ん』

「どうかしましたか」

『いや……なんか、体が重い気がするんだよねえ……』

「そう、ですか……」

 

そうして。

マンハッタンカフェは何処にも行けない霊の彼と共に過ごすようになった。

 

『あ!このお菓子おいしい!』

「……それは良かったです」

『ねね、もっとない?』

「もう食べてしまったんですか?」

『うん!美味しかったよ!』

 

彼はよく食べる。

そしてよく笑う。

食べるとはいってもお供えものを備えられて、そのお供えものを感じる?のを食べると言っているだけなのだが。

 

『……なんか、最近前よりも体が重くなってきた気がするんだよね』

「それ、前も言ってませんでした?」

『う〜ん……』

「……どうしたんですか」

『いやさ……なんで成仏できないんだっけ?』

 

そんな疑問を述べたのを最後に、シルバーバレットはマンハッタンカフェの前から姿を消したのだった。

 

 

シルバーバレットは愛されていた。

いや、『愛』というには深く、重すぎるほど想われていた。

本来なら、成仏できるはずの時期になっても現世に縛り付けられるぐらいには。

 

『…なるほど』

 

ふと、気がついた。

自分の体には幾重にも、まるで注連縄に見えるほどに大量の黒いナニカが巻きついていて。

 

『こりゃあ、何処にも行けないよね』

 

はふ、とため息を吐く。

 

『さて、どうしよっかな』





僕:
シルバーバレット。
しんじゃった!
いちおう成仏するつもりではいるけれど。
でも成仏できないなら仕方ないよなあ…。
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