さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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親の因子がね…。



なんか…その…

なんとなく、苦手に思ってしまった。

初対面の人にそんなこと思うのは失礼だと分かっていたけど、一目見た瞬間、ざわっとキてしまったのだ。

 

(なんでだろう…?)

 

その相手はとても人気者だった。

家柄も良いし、性格も良いし、競走成績だって良いし、そして何より顔が良い。

いつもみんなに囲まれて黄色い声を浴びせられている彼。

そんな彼を僕は遠巻きに眺めているばかりだったのだけど。

 

「やっと話しかけれた…!」

「え、?」

 

いきなり話しかけられた。

しかもすごく流暢で遜色ない日本語で。

 

「ずっとずっと待ってたのに…。いつも僕のこと見ててくれたし」

「……え、」

 

見ていたのがバレてた。

しかもそれを本人に言われるなんて。

僕は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にした。

それを見て彼は笑う。

 

「可愛いね」

「か……っ!?」

 

いきなりそんなことを言われて僕はさらに動揺する。

だが動揺する僕に構わず彼は続けた。

 

「ねぇ、一緒に走らない?」

「……へ?ぼ、僕と……?」

「うん」

 

ひどくニコニコと笑っている。

取り巻きの人たちは周りにいないけど…。

でも、断ったら面倒なことになりそうだしなあ…。

 

「……う、うん……」

「やった!じゃ、行こう!」

 

そう言って彼は僕の手を取って走り出した。

僕は彼に引っ張られてついていくしかなくなった。

 

「あ……っ、ちょ……!」

 

いきなり走ったもんだから足がもつれる。

そんな僕を見て彼はまた笑った。

 

「あはは、キミって結構どんくさいよね」

「そ、そんなことないよ……」

 

確かにどんくさいけど……。

はっきり言わなくてもいいのにな……。

でもそんな僕にも優しく接してくれるから周りにも人気なんだろう。

とはいえ、

 

「あ、あの……」

「ん?」

「手……、離して欲しいんだけど」

 

そう言うと彼は少し驚いた顔をしてからまた笑った。

そしてそのまま僕の手をぎゅっと握る。

 

「……え!?」

 

僕は驚いて彼を見るが彼は何も言わずにただ笑っているだけだった。

 

「ねぇ、キミの名前を教えてよ」

 

しばらく走った後、彼がそう聞いてきた。

気を確かにするために走り回って、もうすっかり息が上がってしまった僕に対して彼は全然平気そうだ。

 

「……はあっ……はぁ……っ……ぼ、僕は…」

「うん」

「さんでー、すくらっぱ」

「そう。よろしくね、スー」

「う、うんっ…?」

 

今思い出せばなんだけど。

すごく慣れた様子で彼-グローリーゴアは僕のことを「スー」って呼んだんだよね。

まるで家族とか、そんな近しい関係の人に呼びかけるみたいに。

 

「あ、あの……」

「ん?」

「……なんで僕のことスーって呼ぶの……?」

 

そう言うと彼はキョトンとした顔をした。

なんでそんな顔するんだろう……?

そしてその後またニコリと笑う。

 

「だってキミは『スー』でしょ?」

「えっ……!?」

 

至極当たり前みたいな顔で言われても……。

 





ちょっと苦手に思う【戦う者】と通常運転【栄光を往く者】の話です、ハイ。
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