さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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たぶん一族的に家族仲はいい()んだ。



どうせ同じ

まあ、いうなれば遠い遠い昔の話である。

シルバアウトレイジの父であるシルバープレアーは非常にぽやぽやとしたウマで、それに加え魔性としての素養も持ち合わせているもんだから、気性は穏やかながらどうにもトラブルメーカーなところのあるウマだった。

シルバープレアーの魔性としての素養とは、つまり『魅了』である。

どうしようもなく惹かれてしまう、魅入られてしまう。

彼がひとたひ微笑むだけで、「あれは自分に向けられた笑みだ」と、そう信じ込んでしまう。

彼の魔性に抗えたものはいなかった。

シルバアウトレイジが産まれる前も、産まれた後も、誰もがシルバープレアーの虜であったし、魅了されて彼に付き従う者も往々にしていた。

 

「坊ちゃん」

 

故に、シルバアウトレイジは彼らにとって大切な大切なご子息であった。

シルバープレアーの魅了は、その子であるシルバアウトレイジを守るためにも遺憾無く力を発揮されたのだ。

それに、きっと当人の認識は1ミリ足りともないだろうけれど。

 

「…父さん」

「どうしたの?」

 

それはそれとして。

シルバアウトレイジはずっとずっと、父であるシルバープレアーのそばにいた。

だって、いくら周りのヤツらが父を信奉しているいっても、その目は異様で。

まだ純粋に信奉しているならマシなのに、みんながみんな隙を狙ってあわよくばという目を…。

 

「なんでもない」

 

だからシルバアウトレイジは、父に魅了される奴らが大嫌いだった。

 

「父さん」

「どうしたの?」

 

父が微笑む度に、その笑顔の先にいるであろう誰かが疎ましくて仕方なかった。

自分が牽制しても、彼らはやめないから。

 

「父さんは……」

 

ああ、でも今ならわかる気がするなとシルバアウトレイジは思った。

きっとシルバープレアーもそうだったんだ。

どれほど自分が邪険にしても、あの人たちが変わらず「坊ちゃん坊ちゃん」と着いてきていたのは、シルバアウトレイジも同じ魔性を持っていたからで。

 

「父さんは、」

 

きっとシルバープレアーも。

 

「俺のそばにいてくれる?」

 

シルバアウトレイジが父に魅了されていたように。

 

「うん、もちろんだよ」

 

シルバープレアーもまた、シルバアウトレイジの魔性に惹かれてやまなかったのだろうと。

 

「ずっと一緒さ」

 

ああ、でもそれは……。

 

「……そっかあ」

 

それはなんて幸せなことなんだろう!

 

 

何やかんやと言いつつ、先輩はファザコンである。

そこそこの頻度で注意喚起の連絡を入れているが、普通あの年頃の子どもはあそこまで親に連絡を入れないと思うし、そもそも「普通」はここまで頻繁に連絡を入れないし、先輩の父親がアレなので先輩もそれなりにファザコンを拗らせている。

 

「せーんぱい」

「ん」

「ご飯食べましょ」

「……おう」





お父さん大好き!と我が子大好き!なのはいいけど結構重めな感じ。
この年頃の奴らがする近さで無いのは確か…みたいな。
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