さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ただ楽しめ!



ウダウダ考えるな!

くだらない三文芝居だ。

ありふれた苦難に、ありふれたハッピーエンド。

少しばかり他との差異を浮かべてはいるけれど、さしたる違いはない。

 

「はぁ、」

 

人気というのも、また考えものである。

僕本人としてはこの舞台の終わり、もしくはセカンドシーズン的なものに移行したいと思っているのだけど。

でもそうなっても…何やかんやで登場させられそうだなぁ、とも思う。

これぞ人気キャラの宿命なのか、…難儀なものだ。

 

「はじめはこんな人気になるとは思ってなかったんだけどなぁ」

 

気分は主人公差し置いて人気投票一位になるサブキャラ。

……うん、まあ。

でもこれはこれで悪くはない…のか?

 

「お、いたいた」

 

と、そこで聞きなれた声が耳に届く。

見ればそこには予想通りの人物が一人。

……そう、『親友』である。

 

「……わざわざ探しに来てくれたの?」

「ん?ああ、そりゃまぁナ」

 

そう言って彼は僕の方へと歩み寄ってくる。

そしてそのまま隣に立つと「よっと」と言って手すりにもたれかかった。

その仕草はどこか粗野でありながらも威圧感はなく、ただ気心の知れた友人がするような自然さがあった。

 

「それで、何か用?」

「ああいや、別に大した用事じゃないんだけどな」

 

そう前置きすると彼は少し考えるような仕草を見せる。

……そして数秒後、口を開いた。

 

「お前、いま暇か?」

「いきなりだね」

「で?どっちだ」

「…暇っちゃ、暇だけど」

「じゃあ決まりだ」

「わっ」

 

しゃがみこんでいた僕の手を取って、勢いよく走り出すものだからちょっと転けそうになる。

それから何とか転けずについていった先には見慣れた親友の車…。

 

「え゛。あの、さぁ…」

「ン?」

「高速のって…行く場所じゃあ、ないよね……?」

「…さぁな」

「絶対行くじゃん!!!!」

 

 

俺の親友は、時々変なことを考えている目をする。

それもいっとう…こまっしゃくれたことを考えている目。

そういう時にひとりにしておくと、変なところに着地してそのまま突き進んでいこうとする阿呆なので、俺はこうして時々様子を見に行くようにしている。

……いやまあ、別に心配とかじゃないんだけど。

 

「んで?どこに行きたいんだ?」

「え゛」

「まさかノープランでこの俺を連れ出そうってんじゃないだろうな」

「……そのぉ、ちょっと今日の夕飯の買い物には、行きた……」

「ンなもん一人で行けよ。何のための車だと思ってんだよ」

「えぇ~……」

 

不満そうな声を漏らす親友。

いやお前さぁ……。

そんなに行きたいなら別に止めないけど。

こう、せっかくなんだからよォ…。





こういう時の銀弾に躊躇せず声かけられるのも親友の特権というのかもしれない。
ほかの相手なら誤魔化すけど親友であるからこそ誤魔化さないし甘やかしてくれるのを素直に受け取るというか。
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