でも本質は。
何でか知らんが、後輩が子どもになった。
だいぶ前に在学していたとある先輩がいた時なら有り得たかもしれん事態らしいが、今回に限ってはなんか俺たちに宿る不思議パゥワーとかが作用したんだろうとか眉唾すぎる説明にあいなった。
「れーちゃん!」
「あいあい」
本当ならコイツをコイツのトレーナーに預けていつも通り授業受けようとしたんだが。
俺から離れるのを真夏のセミみたいに引っ付いて泣き叫んで止まらなかったので、仕方なく抱きかかえて連れてきた。
「大丈夫? 重くない? ぼく、おとこのこだから」
「大丈夫だぞー」
「ほんと?」
「ほんとだ」
「よかったぁ」
にぱー、と満面の笑みを浮かべる後輩。
……なんか、コイツのトレーナーが俺を見る目が怖いんだが。
「……あの、アウト?」
「なんだ?」
「その……その子、本当に大丈夫なの?」
「知らん。けどまあ俺から離れたらギャン泣きすっからよぉ…」
それに先輩もめちゃくちゃ心配してきた。
だが俺じゃなくちゃダメなんだよな、コイツ…。
「れーちゃん!」
「おう」
「ぼく、ひとりでねれるよ?」
「……まあ、そうかもしれねぇけど」
「でしょ?」
「でもダメだ」
「……なんでぇ?」
「お前、俺から離れたら泣くじゃんか」
「……なかないもん」
いや無理だろ。
そんな涙ぐんだ目で言われても。
「な、泣かないもん! ぼく、おとこのこだから!」
「そっかー」
まあ当人がそう言うのならそうなんだろう。
「よし、寝るかあ」
「うん」
一緒に風呂に入って、同じベッドに潜り込む。
「れーちゃん」
「ん?」
「……おやすみ、なさい……」
「おう、おやすみ」
俺の胸に頭を寄せてすぐに寝息を立て始めた後輩の頭を撫でてやる。
……にしてもコイツ、ほんと俺に懐いてんなー……。
なんでだろ?
俺別に何もしてねぇぞ?
……まあいっか!
俺は考えるのをやめた!
*
目を覚ますと知らない場所にいた。
もちろん知らない人に囲まれて怖かったけど大好きな「れーちゃん」と同じ名前の"れーちゃん"がそばに居てくれたので、僕は我慢することが出来た。
「れーちゃん?」
「おう、起きたか」
「……ここどこ?」
「トレーナー室ってとこだ。今日は授業出なくていいって言われてな」
「じゃあ、今日はずっと一緒ってこと?」
「そうだな」
「やったあ!」
"れーちゃん"はとても人気だったのだ。
僕は不安でずっとそばにいてほしいのに、"れーちゃん"は何も気づかずにどこかへ行っちゃう。
だから僕は"れーちゃん"がどこかに行かないようにずっとくっついていることにしていたから…。
「れーちゃん、おなかすいた」
「ん? ああ、もう昼か……」
「ごはん!」
「……お前、俺の作った飯でいいのか?」
「うん! "れーちゃん"のごはんすき!」
「そうか……じゃあ食べるか。デザートとか食べたいんなら遠慮するなよ?」
「うん!」
【飛行機雲】:
ちったくなった。
でも気に入る相手は同じで、傍に近づこうとする人を威嚇するのも同じ。
子どもとは思えない眼力しそう(こなみかん)。