さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

960 / 1416

あれ〜?



似た者親子

何もかもに恵まれた彼-ヘンリー・ブラッドフォードが、のちに己が最愛の妻となるジェーン・ドゥと出会ったのは通っていた学舎のパーティーのことであった。

名門校であったその学び舎は彼もそうだが、高貴な出の生徒が多いために昨今では珍しいワルツや何やらのダンスをパーティーで各々踊るのが常だった。

 

「貴方みたいな人、初めてだけど…下手っぴね」

 

その中で。

彼女は、いっとう有名だった。

通称『踊り(ぐるい)』。

いずれプロになるだろうという生徒がペアになっても容赦なくリードを奪いけちょんけちょんにし、相手の心を折り引退に追い込んだ、なんて話もあるほど。

だが、それまで「下手っぴ」なんて、失望された目で見られたことがなかった彼は…。

 

(彼女を、見返してやる…!)

 

誰もが求める彼に一瞥もせず、自分と踊ってくれる次の人を探し始める彼女に、そんな思いを秘めて次のパーティーでまた挑んだ。

結果は…惨敗だった。

 

「下手っぴね」

 

その時も、彼女は彼にそう言った。

だがその一言が本格的に彼の心に火を灯し……彼は彼女についてまわるようになったのだ。

そうして数年後、卒業パーティーにて彼は見事勝利し。

彼女の心も射止めることができたのだった。

 

「……まあ、貴方みたいに諦めの悪い人なんていないもの。しかも、私みたいな可愛くないのを好きになる人なんてなおさら!」

「そんなこと、言わないで。でもまあ、そんなヤツがいても排除するだけで…」

「メッ!」

「…きゃう〜ん」

 

がしかし、想いが結ばれたのも束の間、ジェーンは子どもができない体だと分かり。

別れる別れないのすったもんだがあるにはあったが、遠にジェーンに惚れ込んだヘンリーが彼女を離すわけもなく。

 

「…あの子、貴方にソックリ」

「よし買おう」

 

それから数年後、ふとしたことから訪れた牧場にて、二人はある馬を買う。

その馬はすぐに頭角を現し、押しも押されぬ、歴史に残る名馬と…。

 

 

「ね、グローリー。オーナーさんたち来たよ」

 

そう告げた己が最愛の相手-サンデースクラッパの声に、グローリーゴアはぴくりと耳を動かしてはその手を取り、玄関へ出迎えに行く。

 

「パパ、マm…いや、オーナー。お久しぶりです」

「お久しぶりです、ヘンリーさん、ジェーンさん」

「パパでいいんだぞ、グローリー」

「そうよ、ママと呼んでねグローリー」

 

たまらず恥ずかしそうにするグローリーゴアに物珍しそうな顔をするけれど、これで自分までからかったら本格的に拗ねられることを知っているので…。

 

「と、とりあえず家の中へ…」





ご夫婦:
【栄光を往く者】の馬主さん夫婦。
多分【栄光を往く者】&【戦う者】が実装された暁には皆から元ネタ扱いされてそう。
親が親なら子も子かな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。