さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あいしてるから。



いまだ籠の鳥

グローリーゴアは、その箱庭を作るにあたって自身の莫大な資産を投資した。

若いながらも競走生活で稼いだ資産を惜しげもなく使い、見た目は質素ながらも掛けられた金額はその見た目とは裏腹の、まさに桁外れのものだった。

 

「グローリー」

 

その箱庭は、ある存在のためにあつらえられた鳥籠でもあって。

その美しい小鳥のために、グローリーゴアは箱庭を用意した。

 

「だいすき」

 

そして、その小鳥は。

 

「グローリー」

 

その鳥籠に自ら入り、そこにいた。

 

「えへへ」

 

その小鳥が、そこにいる理由とは何なのか?

それがどのようなものなのかは誰にも分からないが、それは確かにあったのだ。

ただの偶然か必然か、あるいは運命によってか───とにかくそこには理由がある。

何かがあるはずだと皆が言うだろう。

そしてその答えは至極簡単だった。

 

「…スー」

「んん」

 

何故なら、小鳥がグローリーゴアのことが大好きだから。

 

「だいすき」

 

その小鳥が、グローリーゴアのことが大好きだから。

 

「スー」

 

箱庭は、確かにそこにあった。

 

「えへへ」

 

そしてそれは、決して揺らぐことはないのだ。

 

 

サンデースクラッパは鳥籠の中にいる小鳥で。

でも、出ようと思えば出られる鳥籠でもあって。

 

「スー」

 

でも、小鳥は出ようとしないのだ。

なにせその鳥籠には綺麗な庭と、小鳥を愛する子どもたちと…そして何より、

 

「どこにも、行かないでね」

 

自身を捕らえた彼が、小鳥に縋るから。

 

「スー」

 

だから小鳥は、その鳥籠に居続けるのだ。

 

「……どこにも行かないよ」

 

そしてそれは、永遠に続くのだろう。

自身に抱きつく彼に小鳥はよしよしと撫でる。

 

「スー」

 

小鳥の愛は、彼のためだけに。

 

「……ずっといっしょだからね」

 

 

 

サンデースクラッパは鳥籠の中にいる小鳥で。

そんな小鳥を、グローリーゴアは鳥籠から出さないようにしていた。

 

「スー」

 

今日もグローリーゴアの愛する小鳥は子どもたちに囲まれ、その愛を一身に受ける。

 

「スー」

 

そしてグローリーゴアはそんな小鳥に抱きつき、愛おしそうに頭を撫でるのだ。

 

「……どこにも行かないでね」

 

そんな鳥籠には美しい庭と子どもたちがいて。

そして何より、自身を捕らえた彼がいるから。

だから小鳥は箱庭に居続けるのだ。

 

「ずっといっしょだからね」

 

 

「やっぱり不安なのかなあ」

 

もっと、自分の気持ちを素直に伝えた方がいいんだろうか。

そう、思案しながら、サンデースクラッパは自身を抱き締めて眠る愛しい相手を見やる。

 

「…可愛いからって、いじめるのも程々にしなきゃね」





羽ばたくこともなく、そこに。
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