あいしてるから。
グローリーゴアは、その箱庭を作るにあたって自身の莫大な資産を投資した。
若いながらも競走生活で稼いだ資産を惜しげもなく使い、見た目は質素ながらも掛けられた金額はその見た目とは裏腹の、まさに桁外れのものだった。
「グローリー」
その箱庭は、ある存在のためにあつらえられた鳥籠でもあって。
その美しい小鳥のために、グローリーゴアは箱庭を用意した。
「だいすき」
そして、その小鳥は。
「グローリー」
その鳥籠に自ら入り、そこにいた。
「えへへ」
その小鳥が、そこにいる理由とは何なのか?
それがどのようなものなのかは誰にも分からないが、それは確かにあったのだ。
ただの偶然か必然か、あるいは運命によってか───とにかくそこには理由がある。
何かがあるはずだと皆が言うだろう。
そしてその答えは至極簡単だった。
「…スー」
「んん」
何故なら、小鳥がグローリーゴアのことが大好きだから。
「だいすき」
その小鳥が、グローリーゴアのことが大好きだから。
「スー」
箱庭は、確かにそこにあった。
「えへへ」
そしてそれは、決して揺らぐことはないのだ。
*
サンデースクラッパは鳥籠の中にいる小鳥で。
でも、出ようと思えば出られる鳥籠でもあって。
「スー」
でも、小鳥は出ようとしないのだ。
なにせその鳥籠には綺麗な庭と、小鳥を愛する子どもたちと…そして何より、
「どこにも、行かないでね」
自身を捕らえた彼が、小鳥に縋るから。
「スー」
だから小鳥は、その鳥籠に居続けるのだ。
「……どこにも行かないよ」
そしてそれは、永遠に続くのだろう。
自身に抱きつく彼に小鳥はよしよしと撫でる。
「スー」
小鳥の愛は、彼のためだけに。
「……ずっといっしょだからね」
*
サンデースクラッパは鳥籠の中にいる小鳥で。
そんな小鳥を、グローリーゴアは鳥籠から出さないようにしていた。
「スー」
今日もグローリーゴアの愛する小鳥は子どもたちに囲まれ、その愛を一身に受ける。
「スー」
そしてグローリーゴアはそんな小鳥に抱きつき、愛おしそうに頭を撫でるのだ。
「……どこにも行かないでね」
そんな鳥籠には美しい庭と子どもたちがいて。
そして何より、自身を捕らえた彼がいるから。
だから小鳥は箱庭に居続けるのだ。
「ずっといっしょだからね」
・
・
・
「やっぱり不安なのかなあ」
もっと、自分の気持ちを素直に伝えた方がいいんだろうか。
そう、思案しながら、サンデースクラッパは自身を抱き締めて眠る愛しい相手を見やる。
「…可愛いからって、いじめるのも程々にしなきゃね」
羽ばたくこともなく、そこに。