さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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似たもの同士、なのかもね。



ふたりだけの

シルバープレアーという、博愛主義者の『ホントウ』を知るのは、いつだってバレットシンボリだけだった。

 

「やめろよ」

「…月代(シロ)ちゃんがそう言うなら」

 

シルバープレアーは、博愛主義者の面を被った残酷な子どもで。

蟻を潰すような気軽さと無邪気さで他人を篭絡していく様は、いっそ悪魔的ですらあった。

 

「あはっ」

 

シルバープレアーの笑いは、いつも乾いている。

『ホントウ』を悟らせないために、シルバープレアーが笑う時はいつだって微笑んでいた。

その渇きを潤す方法を、月代は知っている。

 

「シロちゃん?」

「ん……」

 

月代の影がシルバープレアーの影と重なった。

一瞬驚いたような顔をしたけれど、すぐにシルバープレアーは目を閉じて受け入れた。

乾きを、飢えを感じる者にはどうしたって、与えるしかない。

それを幼ながらに理解していたからこそ、バレットシンボリは誰にもバレぬよう、細心の注意を払ってシルバープレアーに自身を()()()()()いた。

シルバープレアーの渇きは、月代が潤す。

 

「ん……ぁ、」

「っ……」

 

シルバープレアーの手が、月代の手に添えられる。

それを合図に、月代もシルバープレアーを貪り始めた。

『ホントウ』を知る者は、互いに互いしかいなかった。

だからシルバープレアーにとってバレットシンボリは特別で。

そんな特別な相手に求められることは、何にも代え難い喜びだったに違いない。

 

「シロちゃん、シロちゃん…!」

「…(いー)ちゃん」

 

どうせ、バレットシンボリも獣であることに代わりはなく。

シルバープレアーが、バレットシンボリにだけ見せるその渇きを、愛していた。

 

「シロちゃん」

(いー)ちゃん」

 

だから月代は、シルバープレアーの渇きを満たすために、自身の全てを捧げる。

『ホントウ』を知る者は互いしかいないから。

互いに互いが特別であると知っていたからこそ、それは絶対で。

 

「っ……あ!」

「……ん」

 

月代にとってシルバープレアーは、たった一人の『トモダチ』だった。

 

「シロちゃん」

「……(いー)ちゃん」

 

シルバープレアーは月代にとって、『特別』な存在だったから。

 

「すきだよ」

「あいしてる」

 

故にシルバープレアーが望むのなら、月代は全てを捧げる。

それが自身の渇きを癒す方法だと知っていたからこそ、その行為に疑問など感じなかった。

 

(……でも)

 

そんな関係も長くは続かず。

お互い別々の小学校に入学したのを皮切りに、シルバープレアーは月代から離れていった。

 

「シロちゃん?」

(いー)ちゃん」

 

……いや、違う。

離れていったのは月代の方だった。

 

(だって)

 

バレットシンボリ(月代)がシルバープレアーの『ホントウ』を唯一知る者なら、月代の渇きを癒せるのもシルバープレアーだけだろうはずだから。

それにようやっと気づいた頃には、月代の渇望に応えられる者は、どこにもいなかったのだ。

───シルバープレアー以外は。





元から『(いのり)』って幼名だったりするシルバープレアーさん。
そして同牧場生まれなので史実からバレットシンボリとは幼なじみだったりする。
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