さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ほしい。



望んでも望んでも

『最高傑作は誰ですか?』

 

その言葉に隣にいた親友が一瞬、ピクリと反応したのをサンデーサイレンスは見逃さなかった。

 

「みんな、僕にはもったいないくらいの最高傑作揃いですよ」

 

それから親友はそう、当たり障りのない回答を返していたけれど、サンデーサイレンスには親友の心境が手に取るように分かった。

『みんな』と彼は言った。

それはつまり───。

 

「なあ」

 

そんな親友を横目で見ながら、サンデーサイレンスは口を開いた。

 

「お前さ、本当にそう思ってんの?」

「……何が?」

 

質問の意図が分からないのか、少し警戒した様子で聞き返す彼にサンデーサイレンスは続ける。

 

「誰も、お前のお眼鏡に適わなかったンだなぁってよ」

「…っ」

 

親友は、求めている。

今もなお、『世界最強』の一角として君臨し続ける、自身を越える存在を。

 

「お前に勝つ存在を、お前は求めたのに」

「…………」

 

親友は沈黙した。

サンデーサイレンスもそれ以上は何も追及しなかった。

ただ、その日からだったと思う。

親友が、どこかうわの空になるようになったのは。

 

 

シルバーバレットは求めていた。

自身に勝ってくれる存在を。

日に日に、自分が『伝説』となっていって諦められる現状に、彼は焦っていた。

自分が最強であるという事実が、彼を焦らせるのだ。

誰も彼を超える存在がいないという現状に、彼自身が焦りを感じていたのだ。

 

「なあ」

 

そんな彼の心境を見透かしたかのように、親友は声をかける。

 

「お前さ、本当にそう思ってんの?」

「何が?」

 

何度も繰り返した会話だ。

しかし、

 

「『世界最強』って讃えられるのに、優越感があるくせに?」

 

矛盾。

それを、いとも簡単に突きつけられる。

いちばん近くにいる相手だからこそ、分かりきっていると言わんばかりに。

 

「…はは、可愛いやつだなお前は」

 

心底愛おしそうに頬を撫でる顔は喜悦の色が隠しきれていなくて。

 

「お前なら分かるだろ?」

「……何が」

「俺は、お前を超える『世界最強(そんざい)』なんてもの現れて欲しくない。お前が、孤独であってほしい」

 

その言葉は本心だ。

しかし、その真意までは分からない。

いや、本当は分かっているのだけれど、それを分かりたくない自分がいた。

だってそれはつまり───、

 

「だからお前は俺のものだし、俺はお前のものだよ」

 

歪な独占欲による束縛だったから。

 

「お前の孤独が愛おしいよ」

「…最悪。親友なら僕の願いが叶うよう、一緒に祈ってくれるもんじゃないの?」

「……はは。そりゃあ、もう無理な話だ」





自分を超えてくれる存在が欲しかった銀弾とそんなのが現れないことを嬉しがっているSSと。
ナリを潜めたつもりだけど…ねぇ?
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