前日譚、かも?
「なーあ、【飛行機雲】♡」
「……!」
何を言っているのか分からないだろうが、先輩が魔性になってしまった。
しかもこっちのことを堕として死んでも搾り取ってくるタイプの魔性にだ。
いや死んでもというのは語弊があるか。
「あ、あの、先輩?」
「なんだ♡ 【飛行機雲】♡」
「……っ」
先輩は僕の上にウマ乗りになって、僕の胸に手を置いて、そのまま顔を近づけて来る。
「ちょ、ちょっと先輩!?」
「なーあー♡」
「いやだからちょっと!」
僕は先輩の肩を掴んで引き離す。
「むー」と不満そうにする先輩。
「あのですね! その……こういうのはもっと、危ないですよ!!」
「…【飛行機雲】ならいいのに」
「先輩!」
「【飛行機雲】になら、どんなにひどくされてもいいんだぜ?俺」
「っ!」
先輩は僕の手を取って、自分の胸へと押し当てた。
「ほら、分かるだろ?俺の心臓の音」
「……先輩」
確かに先輩の心音は激しく鳴っていて、強く脈打っているのが分かる。
「俺さ……もう【飛行機雲】がいないと生きていけないんだよ……」
「……」
「だからさ……責任取ってくれよ……♡」
ああ、ダメだ。
これはもう完全に堕ちてしまっている。
このヒト、もう僕なしじゃ生きていけないんだ。
どうしようも出来ないほどに。
形振り構ってられないほどに。
僕のことが好きだって、全身で言っている。
「……先輩」
「ん?」
僕は先輩の手を取ると、その手の甲に口づけをした。
「!」
先輩は驚いたような顔をする。
そんな先輩に僕は言った。
「……僕も、先輩がいないと生きていけません」
そしてそのまま、今度は。
ああ……やっちゃったな。
もう後戻り出来ないですよ?これ。
いやもうする気はさらさらないですけど!
でもこれはもう完全に堕ちたよね!?
だってこんな可愛いヒトに迫られたら誰だって堕ちるだろ!!!!
「あ、あぅ…」
「あれ?どうしたんです?そんな可愛い顔して。そんな可愛い顔するなら───食べちゃいましょうか」
「っ!」
「先輩、可愛い♡」
僕はそのまま先輩の服の中に手を入れて、その柔肌を堪能する。
「……あっ、……んっ!」
先輩は抵抗しない。
いや、出来ないのか?
だってもう僕に堕ちているから。
もう僕のモノだから。
なら、もっと僕に溺れて貰おうか。
もっともっと僕だけを見て貰って。
ああ、なんて幸せなんだ!
こんな可愛いヒトを僕のモノに出来るだなんて!!
だから、
「しかたない、よね…♡」
こっちも夢かうつつか。
本当にやらかしてたのかもしれないし、もしかすると…?