さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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とある世界線。



僕のそばで

その一族は生まれた頃より、まるでラプンツェルのように閉じ篭って暮らす。

必要なものは『協力者』という名の彼らに魅せられた人間たちがあれもこれもと運び込んでくれる。

 

『お初にお目にかかります、我等一同新たなる白き御方の誕生を心より祝福いたしましてございます』

「ありがとう」

『つきましては是非とも我が同胞たちと会っていただきたく存じます、彼等も御方の降臨を待ちわびておりました故』

「……分かったよ、案内してくれ」

『はっ!』

 

『協力者』である彼らは従順で、それでいて過激だ。

少しでもその一族に手を出そうという不届き者がひとたび居れば、最悪の結果にはならないものの、もう二度とそんな気は起こさないだろう。

まあ、その一族は『協力者』以外との交わりを絶っているから、そんなこと知らないのだけれど。

 

「やあ」

『おお!我等の新たなる御方よ!』

『白き御方よ!貴方に会える日を心待ちにしておりましたぞ!』

「……ありがとう」

 

彼らは生まれたばかりのその子にまるで

神を崇めるかのように跪き、頭を垂れた。

『白き御方』とその子を呼ぶのは、彼らがその一族のことをそう呼んでいるからだ。

 

「そろそろ、帰ってくれるかな」

『はっ!』

 

 

その一族は閉じ篭って暮らす。

故に出会いというのは一族内だけのことであり、その一族は皆一様に美しい。

そのため、

 

「…、」

「あなた、だぁれ?」

 

その日、一族の中のひとり-サンデースクラッパは見知らぬ誰かと出会う。

本来なら入れるはずのない家の敷地内に、見知らぬ誰か。

サンデースクラッパは警戒し、そして同時に現れたその誰かの美しさに見惚れた。

 

「あ」

「……っ!」

 

惚けている間に手を取られ、簡単に抱き上げられる。

 

「え、」

「あは、可愛いね。ねぇキミの名前は?」

「っ、ぁ」

「ん~?」

 

その誰かはサンデースクラッパを抱き上げたまま、くるくるとその場で回る。

サンデースクラッパは恐怖と混乱で何も言えずにいるが、それでもその誰かに嫌われたくない一心で口を開いた。

 

「す、すー…」

「すー?」

 

こくりと頷けば、

 

「そっかぁ!キミの名前はスーっていうんだね!」

「っ」

「あ~もう可愛いなぁ……ね、僕と一緒に暮らさない?」

「……ぇ」

「大丈夫!ちゃんと大事にするから!」

 

助けを呼ばなくちゃいけないのに。

けれど、何故か目の前の相手に逆らえない。

 

「ね、いいでしょ?」

「ぁ……う」

「キミは僕のものだよ。他の誰にも渡さないから、安心してね」

 

そう言ってその人はサンデースクラッパを抱き締める。

その腕の中はとても心地好くて、まるでお日様のようだとサンデースクラッパは思った。

 





【白の一族】として大切に大切にされてたのに…。
行方知れずになっちゃった☆
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