超低確率でしか太り気味にならない銀一族概念。
アスリートであるなら食べろと言われる。
いや、アスリートでなくともこの年代であるのならよく食べるはずだ。
なのに、この体。
「もしかして、何か栄養バランスのいいものとか食べてンのか?」
「……ええ、まあ」
歯切れの悪い返事だ。
これは何かあるな。
「ちょっと失礼するぞ」
「あっ…!」
服をめくったその先にあったのは、至高なまでに作られている…とはいっても怖気が走るほどに痩せた体。
「……お前、この体でよくここまで……」
「あ、あの……その」
「いや、責めてるわけじゃねェよ。ただ……その体じゃ、まともに練習もできねェだろ」
「それは……」
何か言いたそうにしているのを遮り、俺は続ける。
「まァ、お前が何を考えてンのかはわからねェが……とにかく今は食おうぜ?な?」
「……はい」
その後、俺たちは食事を済ませた。
やはり、食べる量が少ない。
しかもその量を食うにも何とか…といった具合である。
「……なあ、もしかしてなんだけどよ」
「はい?」
「お前……飯をまともに食わないのって……」
「そ、それは……!」
どうやら図星のようだ。
だが、こればかりは仕方ないだろう。
誰だってそんな経験はあるはずだ。
しかし、これはあまりにもひどい。
もう見過ごせるレベルじゃないな。
だから俺は少し強めに言うことにした。
「いいか?お前はアスリートなんだ!だからしっかり食って体を作らなきゃいけねェ!」
「で、でも、俺には、才能が…」
飲まず食わずでトレーニングを続けた結果、コイツの体はそういった風にチューニングされた。
そして、その結果が今である。
「才能?そんなのは関係ねェ!いいか?アスリートに必要なのは才能じゃなくて自分の体の把握だ!」
「体の、把握…」
「健全なる肉体がなけりゃあそもそもって話だ。また、精神面もな」
「精神面……?」
「ああ。お前は今、精神的にも参ってるはずだ」
「……はい」
やはりな。
ならば……。
「よし!なら今から飯を食いに行くぞ!」
「え?でも……」
「とりあえず、食え」
「…はい」
「よし、なら行くぞ」
「え?どこに?」
「決まってンだろ。俺の家だ」
「……はい?」
俺はコイツを家に連れていくことにした。
そして、そこで飯を食わせる。
幸いなことに今日は金曜日で明日明後日は休みだ。
だから時間はあるし、この機会にしっかりと食わせてやりたいと思ったからだ。
「ほら、入れよ」
「……お邪魔します」
こうして俺たちは俺の家へと向かったのだった……。
「…先輩のお母様、先輩に似てますね」
「そうかァ?」
「なんか、性格とかそういうのが…」
ナチュラルに家に連れていく先輩と今日も全然食べない後輩。
…でも食べなさすぎも問題というか。