きっと【白の一族】は芸術方面に突出してる人が結構いると思われ。
僕の一族は礼服を作るのと同時に、それとセットになる守り刀を鍛刀する。
その刀を作ってくれる人は知る人ぞ知る結構有名な人みたいだが基本は好き勝手に鍛刀し、人相手に作ってくれるのはごく稀という。
「でも、その守り刀ってのがねえ」
僕は手に持つ自身の守り刀に触れる。
そして抜こうとするが…どうやっても抜けない。
「こういう風に、抜けないんだよね」
「いや、元からこうってわけじゃないんだよ?」
「…でも、同じ人の鍛刀した刀を持ってる家族が言うにはね」
───この刀は、近くに危険がある時しか抜けない。
「まあ、危険が近づいてたら何かカタカタ鳴るらしいんだけど」
「ある意味妖刀的な?」
なので貰ってこの方、僕は自身の守り刀の刃がどんなものか見たことがない。
とはいえ、
「無理に見ようとすると切りつけちゃうみたいだし」
昔盗もうとした人がスッパリいかれたとかどうとかとも。
「…そんな刀だからね。普段はこうして封印しとかないと」
そう言って僕はまた丁寧に刀をしまう。
そもそもがその性格以上に普通の刀が打てない人が作ったのだからさもありなんかも?
「だから、触っちゃダメだよ?」
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「あ゛?またか」
「まただよ〜」
「物好きだな」
「そう言ったってキミの同じ血のクセに」
「ヘイヘイ、わあってるわあってる」
その日、ホワイトバックが訪れたのは自身の実弟の元。
彼は昔から一族と馴染みの刀鍛冶に弟子入りし、そのままその後を継いだ。
「で、今度はどんなのを作ればいいんだ?」
「ん〜?まあ、いつも通りに」
「……またかよ」
ホワイトバックの告げた言葉に相手である彼は呆れたようにため息を吐く。
がしかし、
「だってキミに注文つけたらいいのできないじゃない」
「……へいへい。まあ、いつも通りな」
「うん、よろしくね〜」
ホワイトバックは慣れた様子でその注文をし、彼は自分の作業場へと戻って行った。
「…"ムラマサ"なんて名前つけやがって」
その帰り、ホワイトバックはひとりごちる。
刀鍛冶の彼は人間国宝になってもおかしくない才覚を持つのだが、そうはならず。
なぜなら───彼が鍛刀した刀は、刀が主を選ぶ。
それ以外にも刀とは思えない超常現象が起こることから『妖刀しか打てない刀鍛冶』と。
故に、───"シロノムラマサ"なんて。
「まあ、ンなこと言われたって俺はどこにでもいる刀鍛冶だぜ?」
そう、本人は気にした素振りもなく言うけれど。
幼い頃からその人となりを知っている人間が故に。
「……ったく。気にすんなって言ってるのによ」
その呟きを聞くものは誰もいない。
妖刀しか打てない鍛冶師……なんて、そんな洒落にもならない呼ばれ方をされた男は今日も刀を鍛える。
「まあ、俺にできるのはこれくらいだしな」
それが彼の仕事であり、生き甲斐であるために。
【妖刀村正】:
シロノムラマサ。
ホワイトバックの実弟。芦毛。
実兄であるホワイトバックと比べると男らしい顔立ちだがそれでも小柄だし童顔。
実馬世界では『村正』の名が故か、末脚鋭い産駒を多く残した。
…とはいえ気性難も多く引き継がせたようだが。