さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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さて、誰でしょう?



似ている誰か

「よォ、」

 

知らない人に、声をかけられた。

その人は自分によくしてくれている先輩-【金色旅程】サンにどこか似ている人で、「…メシ食うか?」と誘われるままに何故だか着いていってしまって。

 

「食え」

「はぁ…」

 

やってきた料理は色々と。

俺、食えるかなあ…と思っていたら、いつの間にかその人の方がその料理を食べていて。

 

「食えよ」

「……はぁ」

 

もそもそ。

 

 

その人とはそれ以降も何度か会うことになった。

その度に食事に連れていかれたり、食事じゃなくても他の場所に連れていかれたりした。

初めはソウイウ、ちょっと危ないスカウトの人かと思っていたが、その人の俺を見る目が俺を通して他の誰かを見ているような、そんな気がした。

 

「……なあ」

「はい?」

 

ある日の食事で、その人は俺に言った。

 

「お前さ、叔父とかいるか?」

「……はぁ」

 

唐突だなと思いながらも俺は答えた。

 

「まあ、います……けど……?」

「……そっか」

 

なんでそんなことを?と首を傾げる俺の前でその人もまた首を竦めた。

そして、悲しそうな、寂しそうな顔をする。

「あんま、似てねえのになあ…」と呟くさまは、なんだか俺よりもその人の方が寂しそうで。

「あの」と俺が声をかけようとしたときだった。

その人は何かに気づいたようにハッと顔を上げて、それからちょっと慌てたような顔をした。

 

「……悪ィな、もう行かねえと」

 

そう言って立ち上がると、その人は財布から紙幣を一枚取り出して俺に握らせた。

 

「?」

「残りはやるよ」

「え……いや、こんなには……」

 

慌てて返そうとする俺をその人は手で制す。

そしてそのまま背を向けて「またな」と行ってしまった。

 

「またな、って……」

 

俺はその人が置いていった紙幣を見る。

それは結構な額で、こんな大金をぽんと人に渡してしまえるその人の金銭感覚が少し心配になった。

 

 

そのガキに、記憶の隅に居続ける誰かの余韻を感じて。

思わず食事に誘ってしまった。

 

「……似てねえのになあ」

 

ぽつりと呟いた言葉は、ガキには聞こえてなかったようで。

「?」と首を傾げる姿に、俺は苦笑した。

ああ、分かってら。

 

「あんま、似てねえのになあ……」

 

記憶の中にいる誰かは屈託のない笑顔で俺に寄ってきて。

「サンデー!」と俺を…。

俺にだけ懐く犬のような。

俺にだけ人懐っこいアイツ。

誰からも人気なアイツに、俺だけが笑顔を向けられることに…。

 

「……」

 

アイツによく似たガキの頭を撫でる。

……撫で心地も、似てるような気がしたが……気のせいか?と俺は首を傾げた。

 





…誰だろうね?
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