とある世界線にて。
僕の幼なじみは、案外性格がアレである。
「スーだけにしか見せないからいいでしょ?」
当の本人はそう言ってくるが、ソレ、ファンの人が見たら卒倒モンの本性だぜ?と思わなくもない。
「あのなぁ、僕だからいいようなものの……いや、よくないけどさ」
「なんで? スーは僕のこと好きでしょ?」
「好きだけどさ。でもそれとこれとは話が別だろ。それに……」
「それに?」
「キミってアイドルみたいなものなんだから、あんまし僕と仲良くしてるとこ見られるとマズイんじゃねーの?」
「……別に。そんなコトないし」
ぷいっとそっぽを向くが、その目は不満なのを隠しきれていない。
「ほら、そんな顔しないで。僕が悪かったから」
「……むー」
頬を膨らます彼に苦笑いしつつ、僕は彼の頭を優しく撫でてやった。
そう、彼はアイドルなのである。
それも売れっ子の。
その類い稀な容姿と歌唱力でデビュー当時から話題になり、今ではテレビにラジオに引っ張りだことなっているのだ。
そんな多忙を極める彼がこうして僕の部屋に入り浸っているのは……まぁ色々あったワケだが割愛させて頂こう。
「天下のグローリーゴアがこんな一般市民の部屋にいるなんてバレたら、大騒ぎどころじゃないだろうに」
「そんなコトない。僕とスーは仲良しだもん」
「……いや、だからそういうことじゃなくてさ」
この通り、彼は少々わがままな所がある。
それもこれも全ては僕のせい……というか、僕が彼を甘やかし過ぎたからなのだが。
「まぁいいや。それで?今日は何しに来たんだ?」
「んーとね、スーに会いに来たの!」
「……さいですか」
もう慣れたけども。
「ねぇスー!また今度遊園地行こうよ!映画館も旅行も!」
「盛りだくさんだなあ」
「だって最近全然一緒に遊べてなかったんだもん!僕、スー成分が切れちゃいそうだよ!」
「人を栄養素みたいに言うな」
それに、僕だってキミと遊びたいのは山々なんだ。
でもさ……やっぱキツいんだよね。
周りの目とかもそうだけど、何より僕がね。
「……ねぇスー」
すると突然、彼が僕の袖をきゅっと掴んできた。
その表情はどこか不安げで……まるで捨てられた子犬のような目をしている。
そんな顔をされてしまうと……。
「わ、分かった!分かったから!!」
「ホント!?やったぁ!」
僕が折れるしかない。
まぁ、たまには息抜きも必要だよな。
「じゃあ今度行こっか!あ、でもどこも混んでるかな?」
「んー……そうかもね」
「……そっかぁ」
すると彼は再びしゅんとしてしまう。
そんな顔をされると……僕はもう何も言えなくなってしまう。
ああもう!仕方ないなぁ!!
「分かったよ!なら今から行こう!」
「え?いいの!?」
途端にぱぁっと表情を明るくさせる彼。
まったく……現金な奴め。
「ただし、変装とかしてからね」
「はーい!」
こうして僕らは街に繰り出すことになったワケだが……これがまた大変だったりするのであった。
完璧なアイドルしてる【栄光を往く者】と、『よくあの本性隠せてんな〜』と思ってる【戦う者】。
それはそれとして【栄光を往く者】がアイドルになった接欠は幼き日の【戦う者】がどこぞの馬の骨なアイドル(しかしどこか銀弾みがあった)に目を奪われていたからだったり…?