さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そしてその様子を見る…?



そーしそーあい!

(…いいなぁ)

 

そう思い始めたのはいつだったか、定かでは無い。

だが父の唯一であり、『特別枠』にいるその人を半ば羨望というように眺めるのが常であった。

 

その人-白峰さんは父の現役時代のトレーナーであり、比翼連理の運命共同体である。

また、父の縁で子である我らの面倒を見てくれている人でもあるが…。

 

「先生!」

「バレット!」

 

ぎゅうと。

会う度にふたり抱きついて。

まるで云年振りの再会とでもいうようにしっかと、ひっしと。

もはやあれはお熱い恋人同士が「そんなに会えなかったのならこんなに積もる話もあるわ」ときつく抱きしめ合っている…みたいな。

因みに、ふたりに他意はない。

その関係が、こちらにとってはもう悲しい事に決まっているだけである。

……それでも。

そうだとしても。

 

───いいなぁ。

 

憧れてしまったのは、いけないこと?

 

 

お互いにしようと思えば結婚できるというぐらいに熟年夫婦で相思相愛だったシルバーバレットと白峰は、シルバーバレットが父となった後もたびたび会ってはかつてのようにのほほんしていた。

なにせ多少マシ(?)になったとはいえ、白峰という男は日常生活不適合者であったため。

胃袋はシルバーバレットに掴まれているわ、日常生活、買い物までシルバーバレットにおんぶに抱っこされる始末ですっかりそのヒモ具合にて「やば〜」状態だそうで。

勿論なんかハウスキーパーさんとかに、掃除とか洗濯とか頼めばいいんじゃない?という話が出たこともあったらしいが、頼んだハウスキーパーさんがその…あの…白峰のファンだったらしく。

いや、ファンといっていいのだろうかアレは…といった具合のヤツだったため、丁重にお引き取り頂いたそうである。

流石にちょっと(いろんな意味で)怖いので。

…というわけで。

 

「お世話に来ましたよ、先生!」

 

やっぱり信頼できる相手がいいよね、なんて。

だってシルバーバレットなら白峰の家のことをきっと、白峰よりよく知っているだろうし、もう……元より任せっきりになっているのは想像に易かったから。

 

「任せてください!」

 

───────

─────

───

 

父が関係者用の名札を下げて、トレセン学園の門をくぐって来るのが珍しくなくなった頃。

 

『…』

 

会いに来てくれるのは素直に嬉しい。

だが見せられるのは、実の家族であれど自分たちには決して見せない顔をした父であって。

 

『…ギリッ』

 

周りを見れば、きょうだい(みな)同じ顔をしている。

それに嗤うこともできないまま、その感情を忘れるようにまたトレーニングに戻るのだった…。





僕:
シルバーバレット。
トレーナーさんは特別枠。
なので軽率に対トレーナーさん用の顔を見せて周りの情緒をグチャグチャにする。
トレーナーさんとは今も相思相愛。
はっきり分かんだね。
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