さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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焼き払う。



焼き焦がす彼

思えば…僕は友達が少ない。

いや、チームの後輩には結構慕われていたけれど、なにせ華々しい表舞台によく出ていたのが選手生活の晩年ぐらいということと、またその頃には同期もあってないようなもので自分が周りの中で一番年上であり、それゆえに敬われたくなくても敬われてしまう悪循環に嵌っていた。

だから、ああいう風に同年代の友達と遊んだりする機会はなかったナ〜と道行くティーンたちが楽しげにキャッキャしているのを見て黄昏れる。

…悲しッ!我ながら悲しッ!!

 

(とはいえ、)

 

「仲良し欲しかった〜!!」とか言っても、それ年代によっちゃエグいことになってたよな、と。

競走生活晩年は相手の子がクラシック級と考えると…だいたいひと回りぐらい年齢差あるわけだし。

 

「…(しょぼ〜ん)」

 

 

()()()()()、"あの人"は空気のような人だった。

いま現在そう漏らせばきっと、周りは『そんなことないでしょ?』と言うだろうが、あの時代・あの時期にいたヤツはみんな"あの人"のことを()()()()()、そういう風に思っていた。

 

(……()()()()()、は)

 

かの【皇帝】や、"あの人"の同期であった【ターフの演出家】のような強烈さとかとは無縁の、ただ()()()のように『競走(レース)』という世界にしがみついている人──。

どこか、そう…内心バカにするような、嘲るような。

 

(……バカにしてたわけじゃない)

 

"あの人"と、一度でも走ったことのある人は口が裂けてもそんなことを言わなかった。

がしかし、"あの人"と走ったことのある人なんてごく少数で、それこそ"あの人"近辺の【ターフの演出家】に代表される同期、そして【皇帝】のような圧倒的な才能を持つ選手が有名すぎたから、『あぁ、"あの人"はあんなになっても諦めきれないのだ』と、心の底で思っている人が少なからずいたのだろう。

 

(…………)

 

その空気を察していたからこそ、当時の誰もが()()()()()は極力関わらないようにしていたし、そもそもそんなことを考える暇もないぐらいに自分のことに必死だった…が。

 

───焼き焦がしていく。

───焼け焦げていく。

すべて一切を、なんの躊躇もなく慈悲もなく。

その画面に映る、大多数の絶望の顔はありありと見えた。

どう足掻いたって追いつけず、誰も見やしない目に。

 

────ぐちゃぐちゃに、された。

 

だが、何をどうしたって誹ることもできず。

ただただ、どうも形作れない後悔を抱くだけ…。





あのJCまで銀弾は周りの後輩たちの大多数から『もう年齢もあれなのに』って思われてそうだなって。
でも、銀弾と一度でも走ったことがある奴は口が裂けてもンなこと言わないんだよねぇ…(愉悦)。
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