さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そこそこ甘やかしてるんだよね。



甘いもの

「甘いのあんま好きじゃねンだよなぁ」

「へぇ?」

「普通の量ならいいんだけどよ…うぷっ」

「まぁねぇ」

 

貰いもので、生ものなので早く消費しなくちゃいけないとワンホールのケーキをふたりで食べつつ、そんな話をする。

いくらウマが人よりも代謝がいいからよく食べるとはいえ、元が食べ盛りの子どもたちのためにと贈られたものを大の大人ふたりで消費するのはなかなかに骨が折れる。

 

「うぇー……もう無理、ギブ」

「俺も……しょっぱいもん食べたい……」

 

閑話休題。

だって、誰かの誕生日でもひと切れ食べて、次の日の朝にもうひと切れ食べるぐらいがせいぜい関の山なのだ。

「こんなに大きいケーキひとりで食べていいの!?」とか言っていたのは今よりずっとずっと幼い頃の話である。

 

「でもあと半分だね」

「そうだな…」

 

 

久しぶりに既製品のケーキを腹いっぱいに詰め込んで、サンデーサイレンスは図らずも、うぷっと呻いた。

そりゃあ故郷の砂糖ドカ盛ケーキよかマシとは言え、甘いものは甘い。

 

「あー、食い過ぎた」

「お腹いっぱいだねぇ……」

「もう食えねぇ……うぷっ」

「うぅ〜…お茶漬けも……ちょっと無理そう」

 

ふたりしてソファーに転がり。

ぽこりと膨らんだ腹を撫でさする。

ケーキだけでこんなに膨らむものなんだなと、サンデーサイレンスは妙な感心をした。

 

「でも、美味しかったねぇ」

「まぁな……」

 

そして、『そういや、コイツと仲良くなってからはコイツが焼いた菓子しか食ってねぇな』と、サンデーサイレンスは気づいた。

 

(コイツが作るの、甘さ控えめだよなそういえば)

 

『みんなお父さんのおやつ好き!ってパクパク食べるから砂糖も塩も少なめにしてるんだよね』とは本人の談だが。

 

「オマエって菓子作り得意だよな」

「え?うん、そうだね。それがどうかした?」

「いや……別に」

「ふぅん?」

 

首を傾げるシルバーバレット。

サンデーサイレンスはなんとなく、その頭をわしゃわしゃと撫でた。

 

 

シルバーバレットはケーキ等、嗜好品を嗜むというよりもまず食事に興味がなかった。

生まれながら胃が小さいものだから、「食べ切れる分だけ」としか考えられないし、そんな考えだから、「いっぱい食べる」という発想に至らない。

無言で見つめる先に「いいな」と思ったものがあろうとも、自分の胃の許容量を遠に理解してしまったが故に悲しきかな、手を伸ばすことができない。

 

「おいしそう……」

 

ぽつりと、シルバーバレットが呟くのが聞こえた。

サンデーサイレンスはちらりとそちらに視線をやって、すぐに自分の財布を確認する。

 

「なぁ」

「ん?」

「……食うか?」

「いいの…?」

 

そうは言いながらも、ぱぁっと顔を輝かせるシルバーバレットに、サンデーサイレンスはやや気圧されつつ頷く。

 

「おう」

「…ありがとう」

 

そしてシルバーバレットはいそいそと手渡されたものをチビチビと小さくしては口に運ぶ。

全部バクっといくと、残った時に他の人に…と出来ないので。

 

「美味いか?」

「…ん」





甘いものは普通に好きだけど、そこまでいらない…な大人たち。
育ち盛りの子どもたちが吸い込むように食べてるのを見ておなかいっぱいになってそう(こなみかん)。
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