さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あんましそういうの求めないタイプ。



美味しいとはなんぞや

美味しいものは美味しいと思うが、そこまで食事という行為に対して、熱意を持つことができなかった。

『食べるのが好き』という感覚が分からない。

学園に通っていると「もうすぐレースなのに食べすぎて太っちゃった」などとよく聞くが、俺自身は目標があるのに、その目標を達成できないかもしれないほどに欲(この場合は食欲)にかられる…という感覚が分からない。

 

「はぁ……」

「どうしました?」

 

俺がため息をつくと、隣を歩く後輩-【飛行機雲】が心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

「いや、なんでもねぇよ」

 

俺はそう答えながら、彼の頭を優しく撫でる。

すると彼は気持ちよさそうに目を細めで、もっともっとと頭を擦り寄せてくる。

 

(……可愛いな)

 

思わずそんなことを思ってしまったが、思考を先程までに戻す。

俺は、あまり食事というものに興味がない。

作る方は弟妹たちにお腹空いたの大合唱をよくされたのもあってそれなりの興味とそれに伴った実力はあるが、食べる方に関してはあまり興味がないのだ。

だから、

 

(ホント、美味しそうに食うよなあコイツ)

 

冷ます余裕もないほど次から次へ口に料理を運び、時たま「あふっ!」と言いながらそれでも食べる手を止めない後輩に頬杖をつきながら、俺はそんなことを思う。

 

「おいひいれふ!」

「飲み込んでから喋れ」

 

俺がそう言うと後輩はゴクッと口の中のものを飲み込む。そして、

 

「美味しいです!」

 

満面の笑みを浮かべながらそう答える。

 

(……随分とまあ、幸せそうな面しやがって)

 

そうは言いつつも、彼の笑顔に釣られるように俺も笑みを浮かべる。

すると彼はまた料理へと視線を戻し、パクパク食べ始める。

相変わらずの様子を微笑ましく思いながら見ていると、不意に彼がこちらに顔を向けてきた。

そしてニコリと笑うと、

 

「先輩!」

「?」

「よっと」

「あっつ!?」

 

ひょいと放り込まれたものが熱くてハフハフと堪らず、口を押さえる。

 

「美味しいでしょう?」

 

彼はイタズラが成功した子どものように笑いながらそう言ってくる。

 

(……ったく)

 

俺はそう内心でため息をつきながら、口の中のものを飲み込むと、口を開く。

 

「……美味いな」

 

俺がそう言うと後輩は嬉しそうに笑った。

 

 

僕の先輩は結構華奢だ。

いや、一般的に見ればちゃんとある方なのだけど、こうしてトゥインクルシリーズを走っている…と考えると些か薄い感じ。

それでも日々のトレーニングを何食わぬ顔でこなしているのだけど…。

 

「先輩、ちゃんと食べましょうね?」





【銀色の激情】:
シルバアウトレイジ。
系列内ではまあ食う方寄りだけど、義務感から食ってる感じ。
食うよりも作る方が好き。
たぶん食レポさせたら語彙力…ってなるタイプ。
それはそれとして中でも後輩の【飛行機雲】が美味しそうに自分の作ったメシ食ってるの見るのが好きだったりする。
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