テスト本番の日がやって来た。櫛田から貰った過去問の影響か、Dクラスの生徒たちの顔は自信に満ちあふれている。
「さて、お前たちに最初の関門がやってきたわけだが、質問はあるか?」
「僕たちはこの数週間真面目に取り組んできました。このクラスで赤点を取る生徒はいないと思います」
「随分な自信だな、平田。もし、お前たちが夏休みまでに退学者を出すことなく乗りきることができれば夏休みにはバカンスに連れてってやろう」
「ば、バカンス?」
「ああ。青い海に囲まれた島で夢のような生活を送らせてやろう」
「な、なんだこの妙なプレッシャーは...」
「皆.....やってやろうぜ!」
「「「うおおおおおおおおお!!!」」」
全員に問題用紙が配布され、合図とともにテストが始まった。
「案外楽勝だな!」
「ああ、これなら120点も夢じゃないぜ!」
「須藤くんはどうだった?」
櫛田は須藤に声を掛けるが、集中しているのかその声は聞こえていないらしい。
「須藤くん?」
「……あ?ああ、わり、ちょっと忙しい。」
「須藤、もしかして過去問やらなかったのか?」
「英語以外はやったんだ。でも寝落ちしたんだよ」
「「「ええっ!?」」」
「くそ、なんか全然頭に入らねえ……」
「須藤くん、配点の高い問題と、答えの短い問題を覚えましょう」
「お、おう」
堀北は少しでも点数をあげるため、配点の高い問題や答えの短い問題を須藤に教えている。が、それでも状況はあまりよろしくない。
仕方ないか。
「桔梗……頼めるか?」
「うん♪分かった」
……
「な、なぁ大丈夫か?」
「わかんねえ……やれることはやったがよ...」
池が不安そうに訪ねる。そして答える須藤も不安を感じているようだ。
「須藤くん」
「……なんだよ、説教か?」
「過去問をやらなかったのは完全にあなたの落ち度よ。でも、あなたは部活を休んでまさに全身全霊を込めてあの1週間を乗りきった。自信を持っていいわ」
「んだよそれ、慰めか」
「私は慰めなんて言わない。事実を言ったまでよ。あなたの苦労は私が一番理解しているつもりよ。だからもう一度言わせてもらうわ、須藤くん。あなたがこのDクラスの中で誰よりも立派だった。それだけは絶対に忘れないで」
「私が言いたいことはそれだけよ。...お疲れ様。」
「や……やべえ……俺……堀北に惚れちまったかも……」
……
茶柱先生が教室に入るとDクラスの生徒たちの顔が強ばった。
「先生、今日は中間テストの結果が発表されると伺っていますが、それはいつですか?」
「お前はそこまで気を張る必要はないだろう、平田。あれぐらいのテストは問題ないだろう?」
「......教えてください」
「喜べ、たった今発表する。放課後だと手続きが間に合わないこともあるからな」
「それは……どういう意味でしょうか」
「慌てるな。今点数を発表する」
茶柱先生はそう言って、以前の小テストの結果発表の時と同様、大きな紙を五枚張り出した。
「正直に言って、感心した。お前らがここまでの高得点を取るなんてな。満点が10人以上いる科目もあるぞ」
一番上には100点の文字がずらりと並ぶ。その光景に、生徒たちは歓喜の声をあげる。
英語の順位表を上から下に見ていく。
須藤の名前の横には、39点と表示されていた。
「っしゃ!!」
須藤が立ち上がり、池や山内たちもそれに続くように立ち上がる。
「ああ。お前たちが頑張ったことは認めている。ただ、お前は赤点だ。比企谷」
(バカ…)