「凄いよ池くん!きれいな水に日光を遮る日陰。地面も整備されているみたいだしここならベースキャンプにするのに理想的だよ!」
「だろ!」
「ここをベースキャンプにしようか。占有するなら8時間に一度更新しないといけないね。その場合リーダーはどうしようか...」
「私、色々考えたんだけど堀北さんはどうかな...?平田くんや軽井沢さんなら目立っちゃう。でも、リーダーを任せるなら責任感を持ってる人じゃなきゃダメでしょ?堀北さんならその両方を満たしてるって思ったんだけど、どうかな?」
「僕も櫛田さんの意見に賛成だよ。
堀北さん、どうかな?」
「わかったわ。私が引き受ける」
その言葉を聞いた平田はすぐに茶柱先生のもとにいき堀北の名前を伝える。程なくしてカードを受け取って戻ってくると堀北にそれを託す。もちろん誰かに見られている可能性を考慮し、全員がそれとない動作で装置に触れて誰がリーダーかを分からないようカモフラージュした。
「よーしこれで風呂と飲み水の問題は解決したな」
爛々と目を輝やかせ、池はポイントの節約を訴える。
「はぁ?川の水飲むとか正気?」
篠原達女子には川の水を飲み水や風呂に活用するつもりは無かったらしく、呆れたように川を一瞥した。
「なんだよ、全然いいじゃんか?綺麗な水だろ?」
「そう、だね…。確かに飲めそうだけど…」
池とアホが口論してる中、おもむろに八幡が川の水を飲んだ。
「とりあえず試しに飲んでやる。これで体調に問題があれば川の水は使用しない。問題がなけれは、川の水を利用する。問題なかった場合、希望者はポイントで水を購入してもいいが節約してもらうぞ。何日かは風呂なしのつもりでいてくれ」
「うわマジドン引き。
無理無理、そんなの飲むなんて」
(も〜う。しょうがないな〜)
「大丈夫なの。比企谷くん?」
「川の水に問題があった時、犠牲者は一人でいいだろ。それにその時はリタイアできるから俺にとっても好都合だ」
「みんな〜。比企谷くんが川の水試してくれたから少し様子みよっ。問題なさそうなら積極的に川の水を利用するのはどうかな?私も…少し抵抗はあるけど…この環境でお風呂なしもイヤだしね。食事に関しては、煮沸して使うって事でどう?」
「どうしても無理だったら、
あとで私に相談してくれないかなっ」
………
「比企谷く〜ん」
「なっ…なんだ?」
「こっちで料理手伝ってくれないかな?」
(他に何か役にたてる?)
「あ〜分かった」
(おっしゃるとおりで)
櫛田に呼ばれて調理班に加わった。ポイントで購入したものと島で見つけた食材なので手の混んだものを作る必要ないしな……
ちょっと待て。食堂で0ポイントの山菜定食だが、実はこの無人島試験を示唆していたのか?日々の食事を通して、食べられる食材を教え、素材の味を活かす事で味付の検討を促す。間違いない。謎は全てとけた。小町の名にかけて
「アホな事考えているでしょ?」
やばっ。顔に出てたか。
「野菜まだまだあるから、これもカットお願いね」
「それにしても、もう少し空気読もうよ」
「?」
「川の水の件。普段しゃべらない比企谷くんが
急に発言しても伝わらないよっ。
もっと、クラスメイトに知ってもらわないとだね」
40人分になると簡単な料理でもそこそこの量だ。
櫛田のとなりで、マシンのように野菜をカットしていると他の女生徒から声がかかる。
「へ〜。手際いいじゃん。普段料理してるの?」
(ほら、早速練習♪)
「まっ……まあな。」
(ほぼ毎日櫛田のご飯作ってます)
「ポイント少ないからね。私もいつも自炊だよ。
え……え〜と。。。」
「比企谷くんだよ。長谷部さん。
同じクラスメイトなんだから名前覚えてあげてねっ」
(お前もだぞ)
……
山内がCクラスの伊吹って女子生徒を連れてきた。
「少し時間いいかな?伊吹さん」
「私は邪魔だろ。世話になったな」
伊吹は話を聞こうとせず立ち去ろうとする。
「ちょっと待って!これは試験だから君を疑う生徒がいるのも仕方がない。だけど怪我をしてクラスに戻れない君を追い出すなんてできないよ。だから事情を聞かせてほしい」
「別にいいって言ってるだろ。スパイかもしれない私を助けても得なんてないだろ」
「きみがスパイだったら自分から追い出されるようなことは言わないよ。それに損得なんて関係ない。困ってる人を放り出せないだけさ」
「クラスのある男と揉めた。それでそいつに叩かれて追い出された。それだけだ」
「わかった。君が困ってることは理解したよ。他の生徒にも事情を話して君がここにいられるように頼んでみるよ。」
そう言って平田は事情を説明しにいった。
「伊吹さん皆から許可もらったよ。ただ一応不用意に装置に近づかないと約束してほしい」
どうやらDクラスは伊吹を受け入れることにしたようだ。
「わかった」
伊吹の存在に反対するものもいたがCクラスが点呼の度にポイントを吐き出すことを伝えると最終的に納得した。
……
夕食を食べていると綾小路が近づいてきた。
「隣りいいか?」
俺の答えを待たずに座る。
「伊吹についてだが、どう思う?」
「Cクラスのスパイだろ」
「なぜ、そう思う?」
「クラスメイトと揉めて追い出されたなら、
さっさとリタイアすればいい。」
「クラスメイトと顔をあわせたくないらしいが」
「いまさらだ。どうあれ7日たてば試験は終わる。
先の事を考えれば、わざわざ島に残る必要は無い。」
「やはりそう思うか……比企谷!お前に頼みがある。」
「いやだが?」
「オレは訳あって、
今回の試験で結果を残さなければならない。」
続けるのかよ……
「比企谷と櫛田に伊吹の監視をお願いしたい。
お互い調理班だからな。
キャンプを離れる事も少ないだろう」
「はぁ〜。どうしても?」
「どうしてもだ。」
「分かった。ただ、俺達がするのは監視だけだ。何かあればお前に連絡する。あと、四六時中見張るのは無理だ。見逃しがあっても責任とれん。それが条件だ」
「問題ない。それで頼む」
「櫛田には俺から伝えておく。じゃあな」
空になった食器をもって洗い場に向かった。