「八幡!本気だして!」
……
結局昨夜の夕食はクラスメイトの賛成多数でプチバーベキューになった。育ち盛りの高校生だ。肉の魅力には勝てなかったのだろう。男子生徒になるとなおさらである。
Dクラスに食材を届けた櫛田は大半の生徒に感謝されている。堀北も最後まで抵抗していたようだが、食の安全が確認できると箸を伸ばし始めたようだった。
櫛田がゲットした食材は思ったより多く一部は今日以降の食事に充てる事となった。
「思ったより残ったね。
これで今日以降も少し楽ができるかな?」
「ああ。そうだな。朝食も少し豪華にできそうだ」
「…………」
「…………」
「八幡!本気だして!」
「急になんだ?」
「私気づいたんだよ。夕食は作ってもらってるけど
比企谷くんの朝食はまだ食べてない!」
「まぁ。そうだな」
「今がチャンスだと思うんだ。これを逃すと
次はいつになるか分からない!」
「諦めろ」
「え〜なんで〜」
「調味料が足らん。
生野菜。果物。焼いた肉・魚のアレンジが限界だ」
「うぅぅぅ。仕方ないか…」
「はぁ。多少は手を入れてやるから付き合え。
流石に全員分をひとりで作るのは無理だからな」
「はーい。あとから来た人にも手伝ってもらうよ」
今日の朝ごはんはみんなにも好評だった。この試験を通じて徐々にクラスメイトに比企谷くんが認知されていく。これは本当に喜ばしい事だ。
「今日はどうするの?」
「実質、昨日はサボったからな食料確保でも
手伝うつもりだ。1日中釣りでもしようと思う」
「そっかぁ。私も1日クラスから離れたわけだしね。
さすがに今日はクラスメイトの相手しなくちゃね」
「人気者は大変だな」
「まっ。趣味みたいなものだよ」
……
さて、始めるか。釣りはいい。自然との対話だ。人と話す必要はなく、むしろ話さないほうがいいまである。釣り糸をたらし、今日は1日のんびりとすることにしよう。
「…………」
「なんだ綾小路。お前は文王か?」
俺がそういうと綾小路は隣に腰をおろした。
「釣れてるか」
「ぼちぼちだな」
「昨日櫛田とCクラスの所に行ってたんだな。
比企谷からみてどう思った」
「思い切った作戦だな。まぁ。あれも答えのひとつだろ」
「そうだな。全員リタイアすると思うか?」
「それはないな。確実にブラフだろ。
伊吹がうちのクラスにいる意味がない」
「本命は誰だと思う」
「さっきから質問ばかりだな。龍園とかいうやつだろ。
あいつはおそらく自分で動くタイプだ。
ここ一番を他人に任せられるやつじゃない」
「あぁ。そうだろうな。
そう言えばお前と櫛田は付き合っているのか?」
「そんなわけないだろ。
あいつと俺ではそもそも釣り合わん」
「櫛田に聞いたんだが…」
「なんだ?」
「一番大事な人らしいぞ」
「ぶっ…」
「じゃあな。太公望。これからも期待してるぞ」