ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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夏季グループ別特別試験②(改定版)

『厳正なる調整の結果、あなたは優待者に選ばれませんでした。グループの一人として自覚を持って行動し試験に挑んで下さい。本日午後1時より試験を開始いたします。本試験は本日より3日間行われます。辰グループの方は2階辰部屋に集合して下さい』

 

どうやら俺は優待者ではないらしい。

 

「そっちはどうだ?」

 

櫛田に確認すると、メールを見せてきた。

 

「まあ。櫛田なら問題ないだろう?」

 

「どういう意味かな?」

 

「演技は得意だろ。」

 

「死ね♪」

「それで、今回の特別試験。八幡はどうするの?」

 

「優待者ではなかったからな。流れ次第ではあるが【俺の試験】は初回で終わらせる。話し合いは得意ではないからな。」

 

……

『ではこれより

 1回目のグループディスカッションを開始します』

 

「えっと、学校からの指示通りに自己紹介でもしようか」

 

平田が声をあげた。

 

「確かに。やれと言われたことを無視した結果、

 全員にペナルティがあるかもしれないからな。

 ここは指示通りに事を済ませた方がいいだろう」

 

続けてBクラスの神崎が発言した。

 

「そうだな……

 簡単な自己紹介くらいは済ませたほうがいいだろう」

 

「チッ、面倒くせぇ」

 

Aクラスの葛城とCクラスの龍園がとりあえず応じる姿勢を取った事で彼らと同じクラスの生徒も応じるような態度を取る。その後、提案者の平田を皮切りにぐるりと一周する形で自己紹介が行われた。

 

「これで学校からの指示は果たしたと思う。

 あとはこのグループの方針を話し合おうよ。

 僕としては全員で協力して

 結果1を目指したいと思うんだけど、どうかな?」

 

「4つの結果のうち、最もメリットが大きいのが

 結果1だからな。

 全員に巨額のプライベートポイントが行き渡れば

 メリットがある」

 

「確かに平田の言う通り、

 結果1が最も望ましい結末であることは明白だ。

 だが、俺たちAクラスは

 全員沈黙させてもらうことにする」

 

平田に同意する形を取りながらも、葛城は余計なことは話さないという方針を取った。

 

「それはどういう意味かな?」

 

「余計な話し合いをせず、

 試験を終えるべきだということだ」

 

そう言うと葛城は立ち上がり、室内の生徒全員を見渡す。

 

「この試験で避けなければならないこと。

 それは裏切り者を生み出すことだ。

 裏切りが成功しようと失敗しようと、

 どちらにせよ敗北だ。

 だが、それ以外の答えの場合はどうなる?」

 

「マイナスになる要素は存在しない、ってことかな?」

 

葛城の問いに平田が答える。

 

「そうだ。残りの2つの結果にはデメリットがない。クラスポイントが詰まることも開くこともない。その上大量のプライベートポイントが手に入り潤う。学校側しか負担を負うことはないということだ。ならば、わざわざ優待者を見つける必要はない。話し合ってしまうことで、周囲の面々を優待者だと疑い、過ちを犯してしまう方がよっぽど危険だと俺は思う」

 

その主張は尤もらしいものだった。

しかし、その葛城に堀北が異を唱える。

 

「尤もらしいことを言っているようだけど、それってつまりクラスポイントのボーナスを他のクラスに取られたくないってことでしょう?結果1と結果2によって発生するボーナスはどちらもプライベートポイントのみ。それを目指す方針を取れば他のクラスに出し抜かれることもない。先の特別試験での失態を取り繕っているつもりなのかしら? だとしたら滑稽ね。私たちDクラスは勿論、BクラスもCクラスも、いつまでも今の位置で留まるつもりはないわ」

 

「それは──」

 

「俺も堀北と同意見だな。あと何回特別試験が行われるかも分からない今の現状で、みすみすチャンスを棒に振るつもりはない。昨日も言ったが、いつまでもAクラスに居座れると思ってほしくはないな」

 

堀北の主張に神崎が続く。

 

「なら反対というわけか。先に言っておくが、既にAクラスの方針は固まっている。それはどのグループでも同じだ。如何なる理由があっても話し合いには応じない事を覚えておけ。お前たちが結託して話し合うなら好きにすればいい」

 

どうやらAクラスは葛城を中心としてとことん守りに入る方針らしい。

 

「ハッ、なんだよ。

 前回の試験でビビっちまったってのか?」

 

葛城の方針が可笑しくてたまらないのか龍園が挑発する。

 

「……好きに捉えてもらって構わない」

 

「穏健派もここまでくるとただのヘタレだな。

 それじゃあ坂柳には勝てねぇぞ?」

 

「……」

 

こわっ。なんだこのグループ……。

 

一瞬の沈黙。発言するには今しかないな。これを逃すと最終日までしゃべらないまである。あれっ。それって理想じゃないか?ただ、次回以降巻き込まれる可能性もあるしな。ここで終わらせるか。

 

「俺はAクラスの方針に賛同する」

 

「あなたっ。何を言ってるかわかっているのかしら?」

 

「あぁ。Aクラスは話し合いに応じないんだろう。

 俺はそれを支持する。

 これ以上の話し合いはゴメンだ」

 

「話を聞いていなかったの??

 それだと、Aクラスとの差は変わらない。

 せっかくの機会を不意にするのよ?」

 

「それに何の問題がある?堀北は差が縮まる事を

 前提に話をしているが、

 差が広がる可能性もあるだろう。

 そうなった時、責任とってくれんのか?」

 

「なっ!?

 あなたはAクラスになろうとは思わないの?」

 

「前に言ったはずだが?それに『俺個人は』Aクラスに賛同すると言ったまでだ。別にお前や平田、櫛田に強要するつもりもない。Aクラスを目指すと言うならお前達や他グループでやればいいだろ」

 

「っ!?」

 

「あぁ、ついでだ」

 

俺は携帯を操作して葛城に投げる。

 

「なっ。なんだ」

 

「学校から届いたメールを表示してるだろう?

 見てのとおり俺は優待者ではない。」

 

「「「「「えっ」」」」」

 

参加者全員が葛城に注目する。

 

「あぁ…。確かに優待者ではないな。」

 

「俺は優待者を見つけるつもりはない。

 これで話し合いに参加する意味もなくなっただろ?

 葛城と言ったか。Aクラスに優待者がいないなら

 全員開示したらどうだ?

 そうすれば、このグループでは話し合いに

 参加する必要がなくなるぞ。」

 

「くっくっくっ。

 Dクラスにこんなおもしろい奴がいたとはな。

 おい。腐り目」

 

「なんだ?」

 

「オレと手を組まないか?」

 

「「「「っ」」」」

 

「条件次第では構わんが?」

 

「「「「えっ!」」」」

 

「ちょっと。比企谷君。

 この男がこれまで何をしてきたか。

 知らないわけないでしょう」

 

「無人島試験で食料分けてくれた?」

 

「ぷっ!?」

 

櫛田が吹き出しそうになるのを我慢している。

なぜだ?

 

「須藤君の件、黒幕は間違いなく龍園くんよ。

 それに無人島の時も私達を陥れようとした。」

 

「言ってる意味がわからん。それの何が問題なんだ?」

 

「「信用できない。」と言ってるの。」

 

「それがどうした?

 所詮、どこまでいっても他人は他人だ。

 自分以外本当に信用できるやつなどいないだろう?

 それに、俺は条件次第と言ったはずだが」

 

……

綾小路Side

 

特別試験が始まった1日目の夜、俺は自動販売機近くのバーで奇妙な3人組の背中を見つけた。茶柱先生にBクラスの担任の星乃宮先生。Aクラスの真嶋先生だ。気分転換のつもりだったが何か面白い情報を拾えるかもしれない。気配を殺し、ギリギリまで近づく。

 

「なんかさー、久しぶりよね。

 この3人でこうしてゆっくり腰を下ろすなんてさ」

 

「因果なものだ。

 巡り巡って、結局俺達は教師という道を

 選んだんだからな」

 

「よせ。そんな話をしてもなんの意味もない」

 

「あーそう言えば見たよ?この間デートしてたでしょ?

 新しい彼女?真嶋くんて意外に移り気なんだよね。

 朴念仁ぽいくせにさ」

 

「チエ、お前こそ前の男はどうした」

 

「あはは。2週間で別れた!

 私って関係深くなっちゃうと

 一気にさめるタイプだから。

 やることやったらポイーね」

 

「普通それは男側のセリフなんだがな」

 

星乃宮先生は空いたグラスに自分でウイスキーを注ぐ。ストレートでガブガブ飲む酒豪ぶりだ。

 

「それにしても八幡くんが辰グループかぁ。

 面白い選択だね。サエちゃん」

 

「どういう意味だ?」

 

「通例では辰グループに

 クラスの代表を集める方針だろう」

 

「一見目立たないけどね〜。

 私の中で今年の1年の男子では八幡くんが

 ピカイチなんだよね〜。

 辰グループの結果楽しみにしてるんだ」

 

「チエがそういうなんて珍しいな」

 

「サエちゃんは綾小路くんだよね〜。

 八幡くん。Bクラスにくれないかな?

 もし、移籍してくれるなら色々配慮するよ〜」

 

「モラルは守ってくれ。

 同期の失態を上に報告するのは避けたいんでな」

 

「も〜信用ないなぁ。冗談だよ?」

 

この試験の情報は殆ど得られなかったが、そろそろ引き返そう。星乃宮先生は冗談って言ってたが、あれは本気だな…。

 

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