3回目のディスカッションが終了した後、一之瀬と綾小路が辰部屋に現れた。
「よう。わざわざ偵察に来たのか?遠慮せず座れよ」
「随分面白い組み合わせだね。
時間外で何を話し合ってたのか興味あるな」
「クク。そりゃそうだろうさ。本来ならお前が神崎とこの場所にいると思っていたからな。ところが蓋を開けてみればお前は別のグループ。それも、箸にも棒にも掛からないチンケなチームに振り分けられるなんてな。それとも、お前はそこまでの人間だったか?」
「やだな龍園君。戦略もなにも、学校側が決めたことだし詳細は分からないよ。ただ、私たちは与えられた状況、情報をもとに戦うんだよ。その言い方だと順序が逆になっちゃうじゃない。学校は意図してグループ分けしたってこと?」
「Bの筆頭であるお前が外れたのは
一体どういうわけなんだろうな」
「さぁ。私には理由なんて分からないかな」
「フン、まぁ惚けるならそれでいい。
ところで一之瀬、お前良いところに来たじゃねぇか」
「どういうことかな?」
「Aクラスを潰すための提案だ。
悪い話とは思わないんだがな。
鈴音と神崎は反対らしい。」
「俺は既にCクラスの優待者を全て把握している。
3クラスで情報を共有する、
全優待者の情報をな。
そして学校側のルールを看破する」
「なかなか大胆なアイデアだけど、
それって現実的な話とは思えないな。
そもそも、龍園くんがCクラスの優待者を全て把握した
って話は本当なの?」
「信用できないのは当然だ。だったら今回に限り誓約書でも作ればいい。Aクラスに3人いる優待者を分け合うって話でな。これでAを除く3つのクラスが上に迫れる。おまえらBならAに上がれるだろう」
「どんな内容の誓約書を書いたとしても、誰がどう裏切ったのか分からない以上無意味よ。Cクラスが裏切って終わりね」
堀北の言うことはもっともだ。既に龍園が優待者の法則を見抜いているなど思いもしないだろうから、龍園のやり方など突っぱねてやるという強い意志を感じた。
その後も話し合いが続いたが、一之瀬も提案を受けなかった。
「ククッ。後悔しない事だな。
オレはもうすぐ法則に辿り着く。
それまで指をくわえて待っていればいい。」
そう言い残して、龍園は部屋を出ていった。
……
「龍園の言ってた事どう思う?」
「優待者の法則の件か?事実だと思うぞ。」
「どうしてそう思うの?」
「『優待者は学校側が公平性を期し、厳正に調整している』と言っていた。そして、試験の目的はシンキング能力を問うものだ。試験の本質な優待者の法則を話し合いの中で探し出す事。おそらく龍園は早々にそれに気づいたんだろう。」
「シンキング能力だけなら八幡も得意だよね。
龍園より先に見つけてよっ」
「だけは余計なんだが……無理だな。
法則を考える事はできるが肝心の答えが特定できん。
それが龍園との違いだ。
だから、俺はこの試験を放棄した。」
「なるほどね~。
そうなると私けっこうヤバイよね。」
「そうなるな」
「どうしよう……」
「櫛田はどうしたいんだ?」
「裏切り者で指名されるのは、ぜっったい嫌。
あと、せっかくだからポイント欲しい♪」
はぁぁぁ〜。俺は大きくため息をついて
「桔梗。何があっても俺を信じられるか?」
「うん。もちろんだよっ」
「わかった。あとはまかせておけ」