チャイムが鳴り、体育祭後半戦が開始。推薦競技の時間を迎えた。残された4つの競技はクラス内から選ばれた精鋭たちが出場することが予想される。
俺は櫛田と二人三脚(男女混合)に出場する。
普段気にしていなかったが、櫛田の影響力舐めてたわ。
「そういえば綾小路は借り物競争にでるんだったな」
「出来れば参加したくなかったんだけどな……」
じゃんけんで勝ってしまったのだから仕方ない。
「ポイント俺が出すから変わらないか?」
「お題に友達って書いてあったら、そこで終わる。
他をあたってくれ」
「問題は不在の須藤君だね……」
平田が参加してきた。
「もし、良ければ君達の意見を聞かせてもらえないかな。堀北さんに意見を伺いたいところだけど、そうはいかないみたいだからね。」
須藤だけでなく堀北も陣営には戻ってきていないようだ。
「オレに頼らなくても平田なら正しいジャッジが下せるんじゃないか?」
「代役をたてるしかないだろ」
「僕個人としても代役は必要だと思っている。ポイントの方は僕がなんとかする。代わりは山内君か池君がいいかなと思っているんだ。」
「もし、1位をとった時、テストの点が得られるから、だな?」
「うん。そのメリットを生かすほうが得策だと思うんだ」
「あいつらに運があるとは思えんが……」
山内と池の一騎打ちでのじゃんけんの結果、池が代役となった。
借り物競争2レース目、オレたちのスタート合図がなる。
「さて、何が書かれてあるんだか……」
『友達10人を連れてくる事』
「……嘘だろ?」
友達ってだけでハードルが高いのに、10人?ふざけているのか?頭の中で考えても10人なんて浮かばない。
「何ボケっとしてんだよ!早くしろよ綾小路!」
オレにはどうしようもない。お題をチェンジしようとした時、不意に比企谷の言葉を思い出した。
『お題に友達って書いてあったら、そこで終わる。』
あいつの事だ。もしかすると解決策も思いついているかもしれない。ここは賭けてみるか。
「比企谷!これを見てくれ」
「ま…まじか……」
「なんとかならないか?」
「ならんこともないが恥ずかしいぞ」
比企谷がどう対処するか楽しみが勝ったのか深く考えず
「構わない。頼む!」
と言ってしまった。
「はぁ〜。後で恨むなよ……」
「頼みがある。」
比企谷は櫛田にそう言うと何やら耳打ちした。
「うん♪わかったよっ。」
二つ返事で了承した櫛田はクラスメイトに向かって大きな声で話し始めた。
「綾小路君のお題なんだけどー。友達10人みたいなのー。あと8人。綾小路君の事、友達って思っている人は集まってもらえないかなー?」
そういうと平田や軽井沢、佐倉に続き、何度か話した事があるクラスメイトが名乗りをあげてくれた。
オレが唖然としていると
「10人集まった。行くぞ」
比企谷に促される。結果2位でゴールする事になった。
「ど…どういう事なんだ…」
俺が混乱していると比企谷はこう言って陣営に戻っていった。
「俺達が考えているより、友達のハードルは低いらしいぞ。知らんけど。」
……
「ようやく私達の出番だねっ」
二人三脚(男女混合)が始まろうとしていた。櫛田とペアという事でDクラスだけではなく男子からの視線がイタイ。胃…胃が…このまま体調不良で……
「どうしたのかなっ?」
『もう逃げられないよ?』
魔王からは逃げられん。
「知ってると思うが期待すんなよ」
「二人三脚は単純な足の速さよりも息のあったプレーだと思うよっ。(だから、負けられないよ?)」
「やっほー比企谷君。それに桔梗ちゃんも。私達一緒の組みたいだねー」
そう言ってきたのはBクラスの…………名前なんだっけ?
「わー強敵だね。帆波ちゃんと柴田君が一緒に組むなんて……」
「柴田君はそうだけど、私は別に大した事ないよ?」
二人の会話は続く。どうやらBクラスは即席のペアのようだ。これはチャンスあるのか?
「柴田くん、もう結んじゃってもいい?」
「オッケー」
仲良く紐を結び始めたBクラスのペア。
「そろそろ(八幡が)紐を結ぼうか?」
「へいへい。ちょっと強めに結ぶぞ。」
「須藤くんはともかく堀北さんもまだ戻ってこないね」
「そうだな。」
「何か知ってるの?」
「詳しい事は知らん。多分、綾小路の仕業だ。余計な事しないように釘もさされたからな」
「う〜ん…綾小路君何考えてるんだろう…」
「Dクラスには必要な事らしいぞ」
「……まっ。いいか。」
「さ〜て!準備も整ったし、行こっか?目指すは1位だよっ♪」
純粋に競技を楽しもうとしている櫛田。たまにはこういうのもいいかもしれない。せいぜい足を引っぱらんよう頑張りますか。