ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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ペーパーシャッフル④

幸村たちと勉強会を共にするようになって5度目の機会が訪れた。

 

「やっぱりな。想像以上に騒がしい。」

 

「そんなことないって。

 こっちのほうがやり易いやり易い。ねえみやっち。」

 

「そうだな。

 静かな張り詰めた空気は、弓道の時だけで十分だ。」

 

「勉強をするのはお前らだ、

 集中できるというなら信じるさ」

そう言って幸村は今日の課題を二人に渡す。

「それから比企谷。今日からはお前にもやってもらうぞ」

 

「問題作りで忙しいんだが?」

 

「嘘を言うな。もうほとんど終わっていると櫛田から聞いている。俺とペアだから退学の心配はないが、せっかくだ。少しでも理系科目の実力をあげておけ」

「理系科目なら俺だけでなく、そこの二人でも十分教えられる。環境も申し分ないだろう」

 

裏切ったな櫛田…。勉強会に参加する事を伝えた時の態度から警戒はしていたが、まさか幸村を使ってくるなんて……。

 

「それとも英語の問題も作るよう俺から推薦しておこうか?」

 

「やりなよ比企谷くん。そして一緒に死のう?」

長谷部が幽霊のように俯いて前髪を垂らし、井戸にでも引きずり込むような手で俺を掴んだ。

「いらっしゃ〜〜い」

 

背筋がゾクッとするような冷たい声に引きづられるように、俺は理系問題の闇に飲み込まれた。

……

「お代わり取って来ようかな。」

 

「また砂糖マシマシか?あんな激甘よく飲むよな」

 

「私からすれば、ブラック飲む方が理解に苦しむけどね。

 それに、比企谷くんのほうが砂糖多くない?」

 

「そう言われれば…」

 

「比企谷の部屋にある

 『なんとかコーヒー』はもっとだぞ」

 

「綾小路。『なんとかコーヒー』って何だ。

 ちゃんと小一時間素晴らしさを説明したはずだが?」

「『マックスコーヒー』だ。

 人生は苦いからコーヒーぐらいは甘くていいんだよ。」

 

「え〜なにそれー?どこで買えんの?」

 

「売ってない。

 ポイント使って特別に届けてもらっている。」

 

「じゃあじゃあ、今度、そのコーヒー飲ませてよ」

 

おっ。これまで櫛田にすら拒否された布教活動がここで日の目を見るかもしれない。これは今すぐにでも寮に戻って1ダース持ってこなければ!

そう考えていると外野から声がかかる。

 

「随分と楽しそうだな。俺らも混ぜてくれよ」

 

「何よあんたら……」

 

警戒心を一気に強め、龍園を鋭く睨みつける長谷部。

 

「お前に用はない。

 綾小路と幸村の二人に興味があるんだよ」

「贈り物は届いたか?」

 

「一体何の話だ……」

 

「さあ……」

オレは合わせるようにしらを切る。

 

「どうだ。何かひっかかることはないか?ひより」

龍園は唯一同行していた女子生徒に意見を求めた。

 

「どうでしょう。

 現段階では何とも申し上げられません。」

どこか焦点のあっていない目で二人を交互にみる。

「どちらも印象の薄い顔で、すぐ忘れてしまいそうです」

 

「ククク、そう言うな。

 今後長い付き合いになるかも知れない相手だからな。」

 

「そんな事より……」

「そこにいらっしゃるのは比企谷くんですよね?」

えっ…俺?何かしたか??

 

「いつも図書室にいらっしゃるので、一度お話してみたかったんです。その目、人違いはありえません!図書室ではミステリーをよくお読みですが、お好きなんですか?私もミステリーが好きで古典から最新のものまでだいたいは読んでいます。今度お勧めの作品お教えしますので連絡先交換して頂けないでしょうか?あっ。申し訳ありません。いきなり連絡先を交換して欲しいなんて、非常識でしたね。では、読書会などから始めるのはいかがでしょう?私は茶道部に所属しておりますが、部活がない日はいつでも問題ありません。曜日と時間を決めてお互いにお勧めの本を持ちよりましょう。放課後が難しければお昼休みでも大丈夫です。私はどんなジャンルでも問題ないですよ。あぁ…今から楽しみです。私からのお勧めは何にしましょうか…。教室でもいつも読書されているので、色々なものをお読みかと思います。少し奇を衒ったもののほうが…」

 

「し…椎名さん?」

 

「なんですか石崎くん。今、比企谷くんとお話しているので邪魔をしないで下さい!」

 

「申し訳ありません。Cクラスはこのような方ばかりで、ろくに本も読まないんです。読んだ本の感想がいい合える。そんな関係を私はいままでずっっっと心待ちにしておりました。では…」

 

「おいっ!ひよりをすぐに連れて行けっ!」

 

「なっ!何をするんですかっ。まだ、話は終わってません!」

ひよりと呼ばれていた女子生徒は引き摺られるように連れて行かれてしまった。

 

「腐り目っ!」龍園は俺を呼ぶと小声で

「迷惑かけた」そう言ってその場を立ち去った。

 

「結局、何しに来たかよく分からなかったが凄かったな。」

 

「龍園くん……謝る事あるんだね……」

 

……

 

【From:櫛田桔梗

 

 説明求む】

 

【From:比企谷八幡

 

 何のことだ?】

 

【From:櫛田桔梗

 

 龍園が腐った目の男子生徒に謝っていたと

 1年の中で噂になってる】

 

【From:比企谷八幡

 

 orz】

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