ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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混合合宿④

朝6時過ぎ。室内に軽快なBGMが鳴り響いた。起床を告げる合図だ。グループ分けされた各学年の生徒が一つの教室に集まる。その後、清掃と座禅が行われた。

 

朝7時を迎えたところで朝食の時間となった。

 

「今日のところは学校側が提供するが、明日から晴れの場合、朝食は全てグループ内で作ってもらう事になる。人数や分担方法は全体で話し合って決めるように」

 

明日以降の調理方法など説明をうけながら朝食の準備が進められていく。献立は決められており、作り方などは資料が配られるようだ。食事内容はシンプルな、日本の朝、一汁三菜を基本とした内容だった。

 

俺はこの学校を過小評価していたかもしれない。朝の清掃もそうだ…。俺の夢、専業主夫を目指すために何の役にも立たないと思っていたが、こうして、主夫に必須なスキルを教えてくれる。これだけでもこの試験十分な価値があるんじゃないか?俺はこの学校に進学して正解だったようだ。

 

「平等にやるなら、

 各学年が一回毎に交代というのはどうだ?」

食事の最中、3年生の責任者らしき男が、南雲先輩に向けて朝食のローテーションを提案する。

 

「そうスね。こっちは異存ありませんよ。

 1年生からってことでお願いします。」

「どうだ1年。異論はあるか?」

 

「提案があるんですが、いいっすか?」

 

「なんだ比企谷?」

 

「朝食の準備ですが、俺と清隆で全て引き受けますんで

 1食1人2000ポイントでどうっすか?」

 

「6日間で一人12000ポイントか。

 俺達はそれでも問題ない。」

3年生の責任者らしき男が答える。

 

「早起きする事を考えたら、俺達も問題ないぞ」

南雲先輩も賛成してくれた。

 

「おいっ!俺達からもポイントとる気なのか?」

1年を代表して石崎が聞いてくる。

 

「条件次第だな」

 

「なんだ条件って?」

 

「正直、俺達はさほど成績もよくなければ、運動も並だ。これぐらいでしかグループに貢献できん。そこでだ。1年生分の朝食は無料で準備してやる。その代わり特別試験中の授業は真面目に取り組んでくれ。対価はそれだけでいいぞ。

あぁ…忘れていたが、真面目に取り組んで無いやつは次の日の朝食準備しねぇからな。自分でやってくれ。」

 

「そもそもお前は料理できんのかよっ」

 

「できるぞ。専業主夫を目指すにあたって料理は必須だからな。今回も良い修行だと思っている。」

 

最初は難色を示したが、そもそも日頃料理しないメンバーが多い事もあり、俺の条件をのむことになった。

 

「お前もだぞ。高円寺。本気でやれとは言わんが、マイナスになる行為は慎んでくれ。」

 

「はっはっはっ。私も朝食抜きはいやだからねぇ〜。

 承知したよ。ボーイ」

 

……

授業内容は初日ということもあってか、持久走の練習こそ体力的に大変であったが、その他の授業はこの学校の説明やこれから1週間行われること。そういった類の説明に大半を費やされた。その中でこれから学んでいくのが『社会性』を身につけるための授業であることも明白になった。

 

その夜、消灯時間の午後10時まであと1時間に迫った共同部屋では、各自特に話をするでもなく静かな時を過ごしていた。

そんな時、扉がかるくノックされる。来客らしい。

 

「こんな時間に誰だ?」みんなが不思議そうに扉をみる。

 

「まだ起きていたか?」

 

「南雲先輩。なにかようっすか?」

 

「同じグループとして様子を見に来たのさ。

 入っていいか?」

 

「やっぱり部屋のつくりは先輩達と同じようですね」

南雲先輩はにこやかに石倉に話しかける。

 

「そうみたいだな。それで1年の部屋にまで俺達を連れてきてどうやって親睦を深めるつもりだ?」

 

南雲はジャージのポケットから小さな箱を取り出した。

 

「トランプ、ですか」

 

「今どきトランプなんて思うなよ。

 こういう合宿じゃあ定番中の定番だ。」

 

そう言って、トランプを始めようとする先輩達。

 

「すんません。俺と清隆はパスさせて下さい。

 明日からの朝食準備の為に早く休みたいんで」

 

「お前たちとの対戦も楽しみにしてたんだがな。」

 

「付き合わせた結果、

 朝食の準備が間に合いませんでしたとなったら

 困るのは俺達全員だ。仕方ないだろう」

 

石倉先輩がフォローしてくれたおかげで、俺達2人は先に休ませてもらうことになった。後で聞いた所、トランプの結果は1年生が惨敗だったらしい。

 

……

試験2日目から5日目までの4日間特に大きなイベントもなく終わった。途中、清隆が『Tレックス』と須藤達に呼ばれていた事ぐらいだ。

 

5日目の夕食。この試験が開始されて始めて綾小路グループが集まった。

 

「ここ数日、きよぽんが妙に見つけにくいところにいて苦労したんだから。ハチ君に聞いても知らないし」

 

「…悪い。ちょっと広い食堂で、どうしていいか勝手がわからなかった」

 

「な…なんか久しぶりだね。清隆くん」

 

愛里がもじもじとしながら言う。確かに1週間近く言葉を交わさないのは珍しい。

 

「それよりみやっちとゆきむーの方は大丈夫なわけ?

 龍園と一緒なんでしょ?」

 

波瑠加が明人に問いかける。

 

「ま、なんとかな。俺達も警戒しているが特に変わった様子はない。授業だって真面目に取り組んでいる。」

 

「むしろ下手なやつよりよっぽどしっかりしている。この試験では特に体力面で俺のほうが足をひっぱっているぐらいだ」

 

「喧嘩に負けたショックで、

 どこかおかしくなっちゃった感じ?」

 

「さあ、どうだろうな。

 あいつの場合、これまでがこれまでだからな」

 

「俺よりおまえはどうなんだよ。

 他の連中と上手くやれてんのか?」

 

「こっちは平和だよね?愛里」

 

「う…うん」

 

「きょーちゃんとほなみんが細かな所まで気遣ってくれるからね。最初は堀北さんと伊吹さんがぶつかってたけど、きょーちゃんに煽られて、今はどちらが良い成績とれるか競ってる感じ?松下さんも急に篠原さん達をフォローしてくれるようになったし、私達孤独組はひよひよが応対してくれるから、みんな良いバランスで試験に挑めているかな」

 

「きよぽん達は?」

 

「可もなく不可もないな」

 

「清隆達のグループには高円寺がいるだろ?」

 

「あぁ。八幡が全ての朝食の準備を申し出たからな。俺達のグループはサボったら朝食抜きなんだ。高円寺も朝食抜きはイヤらしい。あと清掃とか身の回りの事もすすんでやってくれる。俺達は試験や自分の事に集中すればいい環境だ。まだ大きな問題は発生してないぞ」

 

「ハチ君。お母さんみたいだね。」

 

「最高の褒め言葉として、受け取っとくわ」

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