カタカタと貧乏ゆすりをする山内の音が、
やけに耳に障った。
「おい…ちょっと静かにしろよ春樹」
小声で注意する池。
「う、うるせえな。わかってるよ」
「フフフ。どうせ君の敗北は決まっているようなものだよ。違うかい?」
「……へっ」
そんな高円寺に対し、山内が鼻で笑う。
「もういいか、話しちゃってもさ……。
退学するのは俺じゃないんだよ」
「ほう?理由を聞こうか」
「いいぜ。教えてやるよ」
「このクラスで退学候補なんて、数人じゃん?そいつらって何票賞賛票が取れるんだろうな。心配だよ俺は」
「まるで君は、賞賛票が沢山とれるような言い回しだね」
「そうさ。事実取れるんだよ」
「俺はさ、Aクラスから賞賛票を20票もらうって約束してるんだよ。だから何票批判票があっても無駄なんだよ……俺はAクラスに守られているんだ!」
「なら、なぜそこまで不安になる必要があるのかな?」
「それは…」
「敵と約束するなら、しっかりと契約を交わしたのかい?
交渉の基本だよ?」
「い、いや、だからそれは…」
「口約束なんて、反故にされるのが落ち。
Aクラスはそれほど優しくない」
「わかっているんだよそんなこと!
でも、大丈夫なんだよ!」
「静かにしろ山内。廊下にまで叫び声が聞こえてきたぞ」
そのタイミングで、茶柱先生がCクラスにやってきた。
「待たせたな。これからCクラスの結果発表を行う。
全員席につけ」
ついに審判の時がきた。
……
「あ〜〜〜。死にたい。いや、誰か俺を殺してくれ」
俺は自室で頭を抱えていた。
「何してんの?八幡?」
「なにが『俺は平田が残ってくれるなら安心して退学できる』だ。退学になると思ってたから厨二病よろしく説教した結果がこれだ。どんな顔して明日学校に行けばいい?」
「………八幡って、自分の事になると時々バカだよね?」
「本気で退学になると思ってたの??」
「??」
「投票前から
八幡が退学になる可能性ほとんどなかったよね」
「??」
「今回批判票は1人につき3票だった。
ここまでオッケー?」
「おう」
「下位3人に山内が入らない可能性は?」
「須藤、池ぐらい?」
「Aクラスは除いて、賞賛票がはいる可能性は?」
「須藤、池ぐらい?」
「Aクラスが山内に賞賛票をいれる可能性は?」
「ない。清隆がプロテクトポイントを取りに行くと言ってたからな。交渉の余地があるのはAクラスだけだ」
「結果、批判票がはいる可能性は35票前後になる。
オッケー?」
「ああ」
「じゃあ、八幡が下位3人に入らない可能性は?」
「桔梗、清隆、啓誠、明人、波瑠加、愛里…
あと軽井沢と堀北?」
「賞賛票が入る可能性は?」
「桔梗、グループから2〜3票ってとこか」
「綾小路グループが裏切る可能性は?」
「多分…ないな」
「つまり、八幡の批判票は30票未満は確実だよね。不確定要素はあるにしても綾小路グループに所属するかぎり退学の可能性は低いんだよ」
「あとは山内くんの問題だけど、きよぽんに批判票を集めようとしたけど、自分が批判票から外れる努力怠ったからね。批判票1人につき1票でない時点で退学はほぼ確定」
「あぁ…そうだな」
「あとは保険として、ひよりちゃんに八幡へ賞賛票をお願いしてたからね。Dクラスからも何票かはいってるはずだよ。この時点で退学の可能性はほぼ0だよ?」
「……」
「話は戻るんだけど」
「なんだ?」
「退学になると思ってたって、どういう事かな??」
「あっ…」
「私、前に言ったよね?私の為に退学って簡単に言うなって。しかも退学する気だったってどういう事?平田と私なら平田を取るってことでいいのかな?いいんだよね?」
「平田が退学したらクラスが崩壊するって言ってたけどクラスメイトが八幡を退学にしたら分かってるよね?自覚はあるのかな?」
「き…桔梗?」
「いっぱいオハナシしようね♪」
「りょ!」
「はぁ?」
「分かりました。宜しくお願いします」
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賞賛票1位
Aクラス 坂柳有栖
Bクラス 一之瀬帆波
Cクラス 綾小路清隆
Dクラス 金田悟
退学者
Aクラス 戸塚弥彦
Bクラス なし
Cクラス 山内春樹
Dクラス 真鍋志保
今回でクラス内投票は完結です。
Cクラスの退学者は山内になりました。まぁ。そうですよね。桔梗ちゃんを敵にまわした時点で遅かれ早かれです。
今巻は桔梗ちゃんの立ち回りに頭を悩ませました。山内の依頼を受けるのか?きよぽんに早期に情報を与えてもいいのか?
あれ?っと思った方もいるでしょうがご容赦下さい。
さて、次回から1年生編最後の特別試験になります。ルール説明だけで心が折れそうです。