ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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選抜種目試験⑥

最後の第7戦目。

 

『チェス』 必要人数1名 時間1時間(切れ負け)

 

ルール・通常のチェスルールに準じる

    ただし41手目以降も持ち時間は増えない

司令塔・任意のタイミングから持ち時間を使い

    最大30分間、指示を出す事ができる

 

「3勝3敗で最後の7戦目に挑める。これほど嬉しいことはありませんね。しかもこの種目が最後に選ばれるなんて……。やはり残り物には福があるようです」

「この第7戦目は司令塔の実力に大きく左右される戦いになる」

 

「生憎と、オレはチェスが得意なんだ」

 

「それはそれは…奇遇ですね。

 では私の選んだチェスは失敗だったかも知れません」

 

坂柳が選んだ生徒は橋本正義

 

「なっ」

 

対戦場に入ってきたCクラスの生徒をみて坂柳は驚いた表情をみせた。そう、オレはここまで堀北鈴音を使っていない。坂柳は当然堀北が現れる事を想像していたのだろう。この程度の揺さぶり坂柳には通用しない。ただ、この後の展開を考えると、何もしないよりマシだ。

 

「驚きました。最後は堀北さんだと思っていたんですが。浅はかな奇襲でしょうか?それとも彼は堀北さんに並ぶ実力者なんでしょうか」

 

「さあな」

 

「準備が整ったようですね。

 では、これから第7戦のチェスを始めます」

 

『お願いします』

 

両者、八幡と橋本がゆっくりと頭を下げる。

いよいよ最終戦が始まる。

 

……

 

「よろしくな比企谷」

 

そう気安く声をかけてくる。

 

「あぁ。よろしく頼む」

 

「それにしても、まさか比企谷がでてくるとはな」

 

「同感だ」

 

「チェスを覚えて数カ月だからさ。手加減してくれよ?」

 

「残念だが俺も変わらん」

 

「それではこれより、第7戦目の種目、チェスを始める」

 

先生からの指示に従い、席につく。

 

「先攻後攻の決め方は分かるよな?」

 

「左手」

 

開かれた手には白の駒。つまり俺が白の先手だ。

 

初手はポーンE4

返しの手はポーンE5

すかさずナイトを動かし、黒のポーンを狙っていく

 

「俺も色々坂柳から教えてもらったからな。ここで黒が不利になるようなオープニングにはしないぜ」

 

……

「いいか八幡。序盤は正攻法でいけ。すぐに圧倒するな」

 

「いや。できんが?」

 

「決定的な1手がくるまでとにかく我慢しろ」

「あと持ち時間は極力使用しないように気をつけろ」

……

 

序盤はお互いに長考することなくすすんでいく。

 

「捻くれた戦い方だろ?」

 

「坂柳も一緒なのか?」

 

「ああ。坂柳も俺と一緒だからな。教えた時に1番フィーリングがあったんじゃないか?そっちは、こっちと違って手堅いみたいだが…独学か?」

 

「そうか…それは良いことを聞いた」

 

そろそろか。俺はこの盤面で考えられる最善の1手をさす。

 

(なっ!)

 

この1手で白に一気に形勢が傾いた。

橋本の手が止まる。初めての長考にはいった。

 

……

モニターに映し出された両者の対決。

 

「このまま終局まで見ていたくなるような

 面白い勝負ですね」

 

「賛成だ。このまま最後まで見届けよう」

 

「フフ、そうですね…と言いたいところですが、そうもいきません。今の1手このまま任せていたら取り返しがつかなくなります。なかなかやりますね彼」

 

坂柳から司令塔としての関与がパソコンに表示される。

 

……

「坂柳がでてきたら可能なら10分耐えてくれ」

「不利な状況から挽回するためにある程度

 本気でくるはずだ」

「その間にできるだけ坂柳のうち方を把握してくれ」

 

「いやいや無理だろ」

 

「次だ」

 

「無視かよっ」

……

こいつもバケモンだな。こんな奴相手に綾小路の指示無茶苦茶じゃないか。

 

「オレが変わるまで、正攻法で貫いてくれ。

 もちろんノータイムだ」

 

ちっ。綾小路とやってなかったら瞬殺だったぞ。

1手進む事に形勢が逆転していく。

 

もうそろそろいいだろう…清隆

 

「さて、これでやっと…私達の勝負になりましたね」

 

「……」

 

持ち時間30分と限られているが終局までには十分足りるだろう。

 

『おいおい、

 お前らどんな異次元の戦いしてんだよ……!』

 

『……………………』

 

「どうですか綾小路くん。

 私の1手は、あなたの心に届いていますか?」

 

「ああ。痛いほどにな」

 

「心配していませんよ。

 綾小路くんは些細なミスなど絶対にしない」

 

「だったら、諦めてくれてもいいんだけどな」

 

「それはできない相談です。ミスがないのであれば実力を上回り正面突破するだけです」

 

『……………………』

 

「ああ、なんと楽しい時間でしょうか。もう、ギャラリーへの気遣いなんてどうでもいい。私はただ、この一戦を人生で最高のモノにしたい。そう強く願っています」

 

『……………………』

 

「あなたはその程度で終わる人ではありませんよね。

 綾小路くん。見せて下さい」

 

清隆から次の手の指示がくる…。おかしい…。これまでノータイムで指示がでていたが一瞬の逡巡。有り得んだろ。あの綾小路が…

 

……

「仮にオレの関与が始まっても絶対に思考を止めるな」

「次の一手八幡ならどう打つか考え続けるんだ」

 

……

清隆から指示があった一手。なにか違和感がある。

考えろ。八幡。

今まで何十何百局と清隆とチェスをしてきただろう。清隆の打ち手・思考を全てをトレースしろ。それに坂柳の思考もだ。

 

「あ〜。頭が割れそうだ」

 

そうだな。清隆。

次はここだ。

 

坂柳はその一手を見て、焦燥を感じでいる。

そして、オレは生まれて初めて微笑んだ。

 

オレはその一手を確認して関与を終わらせる。

 

「何故ですか?勝負を諦めたのですか」

 

「お前は比企谷を舐め過ぎだ。

 この勝負…オレに固執しすぎた。それがお前の敗因だ」

 

……

「最後は八幡にまかせる。その覚悟をしておけ」

 

「おいっ!」

……

 

八幡にミスはない。これで勝負は決まるだろう。

 

「はぁ…はぁ…」

「これでチェックメイトだ」

 

Aクラス対Cクラス 4勝3敗 Cクラス勝利




「あ〜疲れた。一年分働いた気がする」

対局が終わり、
特別棟から出ようとすると桔梗が待っていた。

「なっ。おっおま…」

【挿絵表示】


……
これで1年生編完結です。後書き?の後に前半部分を改定していく予定です。ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。

ののんさんに支援画像頂きましたので、
エピソード追加してみました。
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