ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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5月1日①

それから3週間。図書館に行き蔵書の確認。かなり充実しており、当面は本を買う必要はなさそうだ。

 

櫛田は毎日のように夕飯を食べにくる。毎度愚痴につきあわされるが、ストレスを溜め込んだ櫛田を相手にするよりはマシだろう。

授業で水泳があった日は愚痴が止まらなかった。正直、男からみても山内・池を含め男性陣に非があるのは明らかだ。この音声を録音して匿名で送りつけたい衝動にかられるが、よくよく考えると櫛田・星乃宮先生の連絡先しか知らないので断念した。

 

星乃宮先生の手伝いは必ずといって二日酔いの時だ。だらしなく机に突っ伏している先生を横目に書類整理等を手伝っている。姉がいたらこんなものなんだろうか。

……

「ちょっと静かにしろー。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けて貰うぞ。これから小テストを行う」

 

「え~、ずるいよ佐枝ちゃん先生~」

 

1年D組の生徒たちからブーイングの嵐だ。

 

「そう言うな。今回のテストはあくまで今後の参考用だ。成績表には反映されることさない。ノーリスクだから安心しろ。ただしカンニングは当然厳禁だぞ」

 

問題を確認すると難易度にばらつきはあるが文系科目は楽勝だな。理系科目は知らん。

……

5月1日。今日はポイント支給日だが、端末を見てもポイントは変動していなかった。

 

『まじか』

 

この1ヶ月間クラスメイトを観察していて不安は感じていたが、まさか0ポイントとは思わなかった。俺は普段の生活でほとんどポイントを使用してないのと星乃宮先生の手伝いで余裕はあるが、今日の授業は荒れそうだな。

ーーーーー

《グループチャット:比企谷・櫛田》

 

櫛田:何ポイント振り込まれてた?

 

比企谷:0らしいぞ

 

櫛田:やっぱりか、、、

ーーーーー

授業開始のを告げるチャイムが鳴った。程なくして、手にポスターの筒をもった茶柱先生がやってきた。

 

「これより朝のホームルームを始める。

 が、その前に質問はあるか?

 気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」

 

その言葉を聞き、数人の生徒が挙手した。

 

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど、毎月1日に支給されるんじゃなかったんですか?今朝ジュース買えなくて焦りましたよ」

 

「本堂、前に説明しただろ、その通りだ。

 ポイントは毎月1日に振り込まれる。

 今月も問題なく振り込まれたことは確認されている」

 

「え、でも...振り込まれてなかったよな?」

 

本堂が池や山内に問う。

 

「...お前たちは本当に愚かな生徒たちだな」

 

茶柱先生の纏う空気が変わる。

 

「愚か?っすか?」

 

間抜けに聞き返す本堂に茶柱先生は鋭い眼光を向ける。

 

「座れ、本堂。二度は言わん」

 

「さ、佐枝ちゃん先生?」

 

「間違いなく、ポイントは振り込まれた。

 これは間違いない。

 このクラスだけ忘れられたなんて

 幻想も可能性もない。分かったか?」

 

「はは、分かったよティーチャー。

 このなぞなぞのようなくだらない話の真相が」

 

足を机に乗せ、高円寺が続ける。

 

「要は、今月私たちに振り込まれたポイントは

 0ポイントだった。そういうことだろう?」

 

「は?何言ってんだよ。

 毎月10万ポイント振り込まれるって言ってただろ?」

 

「私はそんな説明を受けた覚えはない。

 どこか間違っているかい、ティーチャー?」

 

「態度には問題ありだが、その通りだ高円寺。

 全く、これだけのヒントをやっておきながら、

 気づいたのが数人とはな」

 

「……あの、先生。質問いいでしょうか。

 腑に落ちない点があります。

 どうしてポイントがゼロだったんでしょうか」

 

クラスのリーダー、平田が手を挙げる。

 

「遅刻欠席、合計98回。授業中の私語や携帯を使用した回数、391回。一月でよくもまあここまでやらかしたものだな。この学校は、クラスの成績がそのままポイントに反映される。この1ヶ月間のお前らDクラスに対する実力を調査した結果、評価は『ゼロ』だ」

 

「ですが先生、僕らはそんな説明は……」

 

「受けた覚えはない、か?」

 

「はい。もし説明を受けていれば、

 誰も私語や欠席なんてしなかったはずです」

 

「それは不思議な話だな平田。お前たちは小、中学校で授業中の私語や遅刻はしてはいけないことだと習わなかったのか? そんなわけがないだろう。その程度のことを説明しないと分からないのか。お前たちが当たり前のことを当たり前にこなしていれば、こんな結果にはならなかった。全てお前らの自己責任だ。大体、高校に上がったばかりのお前たちが、なんの制約もなく1ヶ月に10万もの大金を使わせてもらえると思ってたのか?優秀な人材を育成することが目的のこの学校で?あり得ないだろう。常識を少しは身につけたらどうだ。なぜ疑問を疑問のまま放置しておく?」

 

「このクラスで確認にきたのは

 櫛田・比企谷の2人だけだ。」

 

クラスメイトは一斉に櫛田に目を向ける。

 

「では…せめてポイント増減の詳細を教えてください。

 今後の参考にします」

 

「それは出来ない相談だ。人事考課、という言葉は知っているだろう。ポイントの増減は、この学校の決まりで公開出来ないことになっている。……しかし、そうだな。私も一応お前たちの担任だ。一ついいことを教えてやろう」

 

そう言うと、茶柱先生に一気にみんなの視線が集まる。

 

「お前たちが今後、私語や遅刻を完全に無くし、マイナスをゼロにしても、プラスになることはない。来月も、その次も0ポイントだ。つまり、お前たちが今までやってきた私語も遅刻も、授業中の携帯使用もし放題というわけだ。どうだ、覚えておいて損はないだろう?」 

 

「っ....」

 

話の途中だが、ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

「どうやら、少し無駄話をしすぎたようだ。

 本題に移るぞ」

 

そう言うと、先生は持ってきていた大きな白い紙を黒板に張り出す。そこには、A〜Dクラスの名前が表示されており、その横には数字が書かれていた。

 

「これは各クラスの成績ということ...?」

 

 Aクラスが940。

 Bクラスが680。

 Cクラスが490。

 Dクラスが0。

 

「お前たちは入学してから昨日まで、好き勝手にポイントを使った。もちろん、それを否定する気もない。ただの自己責任だからな。事実、学校側はポイントの使い道に関しては制限をかけなかっただろう」

 

「そ、そんなのあんまりっすよ!

 こんなんじゃ生活できませんって!」

 

「バカが、よく見てみろ。お前たち以外のクラスには1ヶ月生活するには十分すぎるほどのポイントが支給されているだろう。言っておくが、一切不正は行われていない。なぜ、このような差が生まれているのか段々分かってきたんじゃないか?そして、お前たちがDクラスに選ばれた理由が」

 

「え? 理由なんて適当じゃないのか?」

 

「普通そうだよね」

 

「この学校では、優秀な生徒たちとそうでない生徒たちのクラスを順に分けて編成することになっている。優秀な人間はA、ダメな人間はD、とな。つまりお前らはこの学校では最下位。最悪の『不良品』というわけだ。」

「私は逆に感心しているんだ。歴代Dクラスでも、1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのはお前たちが初めてだ。立派だよ」

 

 茶柱先生のわざとらしい拍手が教室に響く。

 

「このポイントが0である限り、

 僕らはずっと0ポイントということですか?」

 

「そうだ。だが安心しろ。この敷地内では、お前たちのような不良品のために無料で購入できるものや利用できる施設があるだろ? ポイントがなくても死にはしない」

 

「……俺たちは卒業まで

 ずっとバカにされ続けるってことか」

 

ガン、と須藤が机の足を蹴った。

 

「なんだ、お前にも気にする体面があったんだな須藤。だったら頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」

 

「あ?」

 

「クラスのポイントは、なにも個人に支給されるポイントだけではない。クラスのランクに反映される。つまりお前たちが490より上のポイントを保有していたら、お前らはめでたくCクラス、そしてCクラスがDクラスへと変動する」

 

「さて、もう1つお前たちにお知らせがある」

 

そう言うと、先生はもう一枚の大きな紙を再び黒板に張り出した。その紙には、Dクラス全員の氏名、そしてその右には数字が書かれていた。

 

「いくら馬鹿でも、これが何のことかくらいわかるだろう。先日行った小テストの結果だ。不良品にふさわしい結果だな。お前たちは一体中学で何を勉強してきたんだ?」

「これが本番でなくてよかったな。もし本番だったら、下位7人はすぐに退学になっていたところだ」

 

「は、はあああああ!?」

 

「なんだ説明してなかったか?

 この学校は、赤点を取ったら即退学だ。

 今回で言うと32点未満の生徒は全員対象になる」

 

「き、聞いてねぇよ!退学なんて冗談じゃねえよ!」

 

「私に喚かれても困る。これは学校のルールだ」

 

「ティーチャーの言うように、

 このクラスには愚か者が多いようだねぇ」

 

爪を研ぎながら、机に足を乗せたまま高円寺が微笑む。

 

「なんだと!?お前もどうせ赤点組みだろ!?」

 

「フッ。どこに目が付いているのかね?

 上の方をよく見たまえ」

 

言われて、上の方を見る。

 

すると、高円寺六助の名前があったのは、上位中の上位。点数は90点だ。

 

「そんな、須藤と同じくらい馬鹿だと思ってたのに……」

 

「それともう1つ加えておこう。この学校は高い進学率と就職率を誇っているが、その恩恵を受けることが出来るのはAクラスのみだ。お前らみたいな低レベルの人間が、自由に好きな大学、好きな就職先に行けるなんて上手い話が世の中で通るわけがないだろう」

 

「Aクラスだけ!?そんな話はあんまりですよ!?」

 

そう叫んだのは、眼鏡を掛けた幸村という男子。

テストでは高円寺と同じく90点を獲得している。

 

「みっともないねえ。男が慌てふためく姿は」

 

「お前……不服じゃないのかよ。Dクラスの落ちこぼれに配属されて!しかも、進学も就職も保証されないなんて!納得出来るわけないだろう!」

 

「不服? なぜ不服に思う必要があるのか、私には理解できないねえ。それは学校側が私のポテンシャルを測れなかっただけのこと。私は私自身が誰よりも素晴らしい人間だと自負している。学校が私をDクラスだと判断しようが私には何一つ意味をなさないのだよ」

「それに、私は進学や就職を学校側に頼ろうなんて微塵も考えていないのでね。私は高円寺コンツェルンの後を継ぐことが決まっている。DだろうがAだろうが私にとっては関係ないのさ」

 

将来を約束されている高円寺の言葉に幸村は何も言うことが出来ず、そのまま腰を下ろした。

 

「どうやら、浮かれた気分は払拭されたようだな。中間テストまで残り3週間。精々頑張って退学を回避してくれ。私はお前たち全員が赤点を回避して、退学を免れる方法があると確信している。それまでじっくり考えて、出来ることなら、実力者にふさわしい振る舞いを持って挑むことを期待している」

 

そう言い残すと、扉をピシャリと閉め、茶柱先生は教室を出て行った。




今回システムの説明回になりましたので過去最長になりました。多くの方から評価・感想頂きありがとうございます。

感想に『やらかしてない櫛田がなぜDクラス?』とのコメント頂きました。そーですよね。自分も思ってました。

Dクラスになった経緯ですが

けいじばんに投稿していた事実は変わっていません。サイト発覚後、八幡のおかげでクラス内では犯人がうやむやなまま終息。学級崩壊に至る暴露大会イベントは発生しませんでしたが、学校側(教師)では大きな問題となっており、櫛田さんが第一容疑者と認識されてます。
また、この事件をきっかけに友人との距離感に大きな変化が発生しました。このあたりは今後上手く表現できればと思ってます。

まぁ。普通に考えたらBクラスですけどね。二次創作のご都合主義ということでご理解頂けたらと思います。

一之瀬さん:事件は起こしたが家族を思っての事であり、情状酌量の余地あり。罪の意識を抱えつつ、その後も本質的な善性は変わっていない。

櫛田さん:事件は自身のストレス解消の為であり、発覚後も罪の意識は感じていない。その後の変化により内申点マイナスに
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