堀北・清隆との打ち合わせが終わった後、今度は桔梗から連絡があり、自然と俺の部屋集合となった。あれっ?俺働きすぎじゃない?
「いろはに確認したいんだ。
1年Bクラスの八神って、中学にいた?」
「あの八神はいませんね。
同姓同名の人物はいましたが全くの別人です」
「えっ?なんでそんな事分かるんだ?」
「仮にも生徒会長でしたからね。全校生徒の顔と名前ぐらい一致します。というのは建前ですが、雪ノ下先輩もできたじゃないですか。真似しておぼえました」
「う〜ん…
それだとなんで私に近づいてきたのかな?」
「今の段階だと考えても分からんだろう。
向こうからのアプローチ待つしかないな」
「今回の試験、
パートナーに誘われたんだけどどう思う?」
「そいつは学力高いのか?」
「OAAだとAだね。調べたらわかるよね?」
「見とらん。人を数値で表すなんてナンセンスだ。自分のも知らんぞ。八神とかいうやつの意図は知らんが候補にこだわりないんなら便乗しておけ」
「りょ。なにかあったら相談するねっ」
「私も八神について調べておきます」
……
次の日の放課後、綾小路はギャルっぽい見た目の女子生徒を連れてきた。軽井沢といい、こいつギャル好きなのか?そういえば佐藤にも告白されてたらしいな。佐倉…先は長いぞ…
「おじゃましまーす。って、誰かいる!?
それに部屋に本しかない!?」
「料理はこいつに作ってもらう」
「え〜先輩が作ってくれないんですか?」
「男子だったら、誰でも問題ないんだろ?」
「確かに言いましたけど〜」
「遅くなる前に早速始めたい、作る料理は?」
「もー強引ですね。じゃあ発表しまーす。
先輩に作ってもらう料理はー
トムヤムクンです!」
「トムヤムクン……か」
「出来るかなー?お願いします。せぇんぱい」
「いけそうか。八幡?」
買ってきた食材を確認する八幡。
「この食材だけだと最低限のものしか作れんぞ。
それでも問題ないか?」
「作れるのか?」
「??世界三大スープだろ?基本じゃないのか?
あと泡だて器やベティナイフはいらんだろう。
なんであるんだ」
「後でお願いしようと思ってたんだけど、リンゴ剥いてもらおうかなって。余った食材は、先輩達がこの後美味しく頂いちゃってね。」
「まじか!助かる!」
「おい!それオレのポイントなんだが」
「知らん。そろそろ始めるからできるまで、
本でも適当に読んで待ってくれ」
さて、引き受けたからには本気でやらせてもらおう。
特級厨師の力みせてやろう(嘘)
……
「うん。こんなものだな。
そろそろできるから準備していてくれ。
リンゴは剥いて持っていけばいいのか?」
「剥いている所、
確認したいからこっちでやってね」
生意気なガキだ。
「はいはい。これでいいのか」
俺は手慣れた手つきてリンゴの皮を剥いていく。
「わー凄い凄い。包丁さばきは合格って事で」
「さて、次は本命のトムヤムクンだな。
清隆の分も作ったから食べていってくれ」
「ちゃんとここに座って審査員の判定をまってね」
ホント生意気なガキだ。
「それじゃ頂きまーす」
熱々のトムヤムクンを、ゆっくりと口に運ぶ。
「うまっ!?」
「美味いな。流石八幡だ」
「ところで、結局なんなんだ?これっ」
「須藤のパートナー探しだ。パートナーになってもらう条件が指定された料理で満足させる事だったんだ」
「はあ、そんな事に巻き込んでんじゃねぇよ」
「堀北も言ってただろう。八幡以外料理ができる男子に心当たりがなかったんでな」
「で、結果はどうなんだ」
「そうだねー。そろそろ発表しないといけないよね。
迷うなぁ」
なんて考える素振りを見せながら、右側のリボンの位置が気に入らなかったのか、自分の携帯の反射を鏡に見立てて利用し、一度外して付け直し始めた。
イラッ。なんでこの茶番につきあわなくちゃならん。そう思って発した1言を俺は後悔する事になる。名前聞いてなかったから仕方ないよね?
「おいっ!メスガキ。さっさと発表しろっ」
【ぞくっ】
「…………」
「な…なんだ?」
「も…もう1回言ってくれる?」
「さっさと発表しろ」
「違うっ。そこじゃないっ!」
「メスガキ?」
【ぞくぞくっ】
「いい…なんかぞくぞくする…」
恍惚な表情を浮かべながらそう言う。
「おっおい…」
「あなた名前は?」
「比企谷八幡だ」
「八幡さん!わっ…私、1年Aクラス天沢一夏と言います。料理が上手い男性が好きといいましたが嘘ではありません。今後、私の事はメスガキと呼んで頂けませんか?」
「…………」
「あぁ…その腐った目で
見下されるのもいいかもしれません」
「…………」
「放置ですか?これが噂に聞く放置プレイなんですね。綾小路先輩より素敵かもしれません」
「おいっ。清隆。なに変態連れてきてんだ」
【ぞくぞくっ】
「こいつ最強か?」
「そんなに…褒められると…恥ずかしいです…」
「で?結果はどうなんだ?」
「何、無かった事にしてんだ!」
「OKする事で八幡さんは喜んでくれますか?」
「ああっ。もちろんだ」
「勝手に話すすめんな!」
「やります!やらせて頂きます!」
「では、ここで須藤に申請してくれ」
「わかりました」
それからすぐ携帯の画面をこちらに見せながら操作を始め、須藤にパートナー申請を行った。これでこの日の内に須藤が対応するのなら確実に契約は成立だ。
「おいっ。何をいい感じで終わろうとしている。
責任とれよっ。清隆〜」