『いろは。すまん。助けてくれ』
先輩から来たメーセージは簡潔な3文。
なんなんですか。どんなトラブルでもなんでもなかった顔で解決してきた先輩が助けを求めてくる。これがギャップ萌というやつですか。でも、ごめんなさい。この流れでというのもやぶさかではありませんが、告白されるなら弱っている時ではなく、いつもの先輩でお願いします。
そんな事を考えながら、求めに応じて先輩の部屋を訪れると同じクラスの天沢さんいた。
「話せば長くなるんだが…同じクラスだろ。
こいつ引き取ってくれないか」
「……なにがどうなったらこの状況が生まれるんですか?説明してもらえないと私も対応のしようがありません。とりあえず櫛田先輩も呼びますので、その後、説明をお願いします。そうですね…。場を少しでも和ます為に夕食は準備しておいて下さい」
「ちょっ。桔梗も呼ぶのか?」
「何言ってんですか先輩。完全に厄介事ですよね?すぐに櫛田先輩に話をしておかないと後々大変ですよ?」
「…だな。食材は揃っているから任せろ」
「八幡さん。私もお手伝いするよー!」
「いらん。そのまま待っとけ」
「これが…おあづけ…」
「いや。違うだろ。
すまん。いろは。そいつの相手も頼む」
「あの天沢さんがこんなになるなんて
少し目を離したうちになにしたんですか」
「とりあえず桔梗が来てからだな…」
『あっ…もしもし、櫛田先輩ですか?今すぐ先輩の部屋に来れますでしょうか。はい。はい。そうですね。緊急です。分かりました。では、お待ちしておりますので宜しくお願いします』
……
桔梗・いろは・天沢と夕食を囲みながら、今日の出来事を説明した。
「とりあえずきよぽんを退学にしたらいいのかなっ?」
「それはやりすぎですが
何らかの制裁は必要ではないでしょうか?」
「八幡さんのご飯!やっぱり美味しいです。わたしの専属料理人になりませんか?色々サービスしますよ?」
「黙れっ!ガキ」
「桔梗さん。その子喜ぶのでほどほどに…」
「そんなー
誰にでも反応するわけないじゃん」
「「「えっ?」」」
「櫛田先輩のは少し殺気混じってましたけど、そんなのは慣れてるんですよね〜。私こういう性格じゃん?悪口言われる事なんて日常じゃない?そんなの別にどってことないよー。八幡さんのはなんというか…厳しい中にも愛があるっていうか?表現は難しいんだけど、なんか特別ってかんじ?」
「非常に遺憾ではありますが、
分からない事はないですね」
「……うん。決めたよ。天沢さんはペットだ!」
「いきなり何言ってんの?」
「いやに決まってんじゃん」
「八幡の♪」
「おっ…おい!」
「八幡さんのペット……いいかも♪」
「天沢。何を言っている?」
「八幡には絶対服従。夕食は八幡が作るから食費は天沢さん持ち。もちろん二人分だけじゃなく、八幡が作る全員分ね」
「なんでですか!」
「じゃあ!無し♪」
「仕方ないですねー」
「八幡の部屋に入る時は私かいろはに必ず連絡する事。この部屋以外では私達の関係は何もないように振る舞う事。これでどうかな?」
「多すぎませんか〜」
「で、最後なんだけど…」
「まだあるんですかー」
そこまでのやりとりとは打って変わって桔梗といろはから殺気が漏れる。
「八幡に(先輩に)手を出したら潰す」
「へぇ〜…嫌いじゃない。想像してた以上かも。ただの地雷女と優等生かと思ってたけど、ふたりともそんな表情もできるんだ〜。ヤりあってみたくなるじゃん。でも、それだと八幡さんに迷惑かけちゃいますね〜。わかりました。ご褒美に情報提供でーす。1年の一部に櫛田先輩の過去が周知されてますよ〜」
「はあ?それが何?なんの問題もないよっ。私はこの一年で揺るぎない立場を獲得してきた。いまさら過去を持ち出したって罅ひとついれさせないよっ」
「あ〜やっぱり良いです。櫛田先輩♪あいつもアテが外れたかな〜。あと、綾小路先輩への制裁ですが、今回は私に任せてもらえませんか?計画してた事があったんで」
「別に制裁とかいらんだろ」
「「許す!」」
「いやいやいやいや」
「大丈夫ですよ。ちょっとしたテストみたいなもんですし、綾小路先輩なら切り抜けられないわけがないですよー。このナイフちょっと借りていきますね〜。『桔梗先輩』『いろは』またね〜」
そう言って天沢は嗜虐的な笑みを浮かべ帰っていった。
「おいっ!ホントにいいのか?」
「たまには痛い目あえばいいんじゃない?」
「あそこまでとは思ってませんでした。
天沢押し付けられたほうが厄介です」
「はあ〜。いまさらだが、いろはは俺がパートナーでよかったのか?お前ならかなりのポイントで交渉できただろ」
「上位5組に入れば10万ですから、それで十分じゃないですか?というわけで明日から数学と化学特訓ですね」
「はっ?」
「櫛田先輩もお願いします。
報酬ですが5万で大丈夫ですか?」
「ふふっ。ただで大丈夫だよっ♪」