ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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夏休み② プライベートプール

豪華客船での夏休み生活は、早くも折り返しを過ぎた。

 

水着に着替え扉を開けた先、俺の視界には誰もいない大きなプールが目に飛び込んだ。この豪華客船には無料で誰もが利用できる大型のプール施設があるが、他にもう一つプールが備付けられている。それがプライベートプールと呼ばれる、所謂貸し切りにして楽しむことができるプールだ。

 

「うお、でかいな!」

 

清隆に遅れてプールサイドに姿をみせた明人が興奮気味に言う。

 

「啓誠は?」

 

「トイレを済ませてから行くってよ。女子はさすがにまだまだだな。」

 

そんな話をしていると更衣室へと繋がる扉が少しだけ開かれた。俺達はほぼ同時に振り返るが、そこから人影が出て来る様子もない。その代わりに、話し声が耳に届く。

 

「ちょっと愛理何してんの?早く行きなって」

 

「でででで、でもでも!恥ずかしいよ波瑠加ちゃん!」

 

女子2人の会話は続く。

 

「なんて言うか、見えない良さってあるよな」

 

意外にもそんな事を言う明人。

 

「まあ、そうだな」

 

「女子が聞いたらバカだのなんだの言うだろうけどな」

 

「いつまで経ってもバカでいられるのが男の特権じゃないのか」

 

そんな話をしているのだが女子2人は言いあっているようで、なかなか出てこない。

 

「恥ずかしいよぉ」

 

「あのね!こっちだって同じ気持ちなんだから!」

 

「きゃああっ!」

 

半開きだった扉が勢いよく開いた。そして前のめりに愛理が飛び出してくる。

 

「お、押すなんて酷いよ波瑠加ちゃん!」

 

「あんたがさっさとでないからでしょっ」

 

そういって愛理の登場後すぐに波瑠加も姿をみせた。

 

「お、おいおい…」

 

愕然とした様子を見せる明人と清隆。なるほど普段の2人では想像できない大胆な水着を着ている。

なにか気になった事があるのか明人が言った。

 

「愛理は随分と印象が違うよな?」

 

「そうか?プールなんだ。メガネを外すのは当たり前だろ?」

 

「…………」

 

あれっ?俺おかしな事言ったか?

 

「いやいやいや。明らかに垢抜けた感じだろ?」

 

「ハチ君…なんと言うか流石だね…」

 

「…ちょっと泳いでくる」

 

明人は少し冷静になるためかプールへ飛び込んだ。

 

「ほらほらきよぽん、生まれ変わった愛理はどう?」

 

そう言って愛理を前に押し出した。

 

「わ、ぁっ……。わ、私もプールの中入ろっかなっ!」

 

「ちょっと愛理っ……」

 

「じゃあ、オレもいってくる」

 

そう言って清隆もプールに飛び込んだ。

 

「一応言っとくけれど、このとんでもない水着選んだの愛理なんだからね?」

 

【小町の教え③

 女の子が普段と違う格好をした時はとにかく褒めるべし】

 

「二人ともよく似合ってるな。正直見違えた」

 

「いや〜直球でそう言われると…これはなんと言うか、愛理に付き合ってあげてるって形?」

 

「どういうことだ?」

 

「あの子も必死で変わろうとしてるってこと。それに私だって。自分で言うのもなんだけどさ……ちょっと他の子より目立つところってあるじゃない?気にしなきゃいいった分かっていても、視線が不愉快って言うか。あの子に勇気つけさせるためにちょっと大胆な水着を選んだら、私も着るならいいよって返してきてさ。こっちも愛理改造計画の初手で躓くわけにもいかないからね。意地ってやつよ。それに私も愛理も、向こうのプールじゃこんなの着られないけど、こっちならね」

 

仲のよい男子4人だからこそ、何とか実現にこぎつけたってことのようだ。

 

「…見ちゃう?」

 

「考え方次第じゃないか?波瑠加も愛理も容姿やスタイルは一般的な女子より優れているのは事実だ。異性から見られる事で優越感を持つのか嫌悪感を持つのかは本人の捉え方次第だろ。もちろん気持ちのいいものではないんだろうけどな」

 

まあ、この手の事は散々桔梗に愚痴られている。

 

「私も自意識過剰過ぎるって分かってるんだから。好き好んで見てるわけじゃないことくらいは分かるし。目立つものがあれば視線を集める。何だってそうなのよね。ただ、それが自分だって思うとどうしても良い気分にはなれなくってさ」

 

「波瑠加の場合、人より優れているという事をもっと認識するべきだ。確かに好奇や嫉妬の視線もあるんだろうが、決して悪意や嫌悪のものではないからな」

 

「もしかして、口説いてる?」

 

「なぜそうなる?」

 

「やっぱハチ君って、他の男子より聖人みたいな所があるよね」

 

「??」

 

「表情とか、視線とか、そういうのが他の男子より極端に少ない感じする」

 

俺もれっきとした高2男子だ。人並みに興味はある。ただ、こういうのは正直慣れだと思う。桔梗はいつも俺の部屋ではこんな感じである。

 

 

【挿絵表示】

 

 

嫌でも自制心は養われる。

 

「うお…」

 

遅れてきた啓誠が姿をみせるなり、驚いた声をあげる。全く免疫のない男子のモデルケースだ。

 

「オッスオッス」

 

平常心を保つためか、波瑠加はとぼけた顔と声を出して啓誠に挨拶する。

 

「お、おう……」

 

「さて……俺もちょっと泳ぐかな」

 

一律男子の反応と逃げ方が同じなのがまた、このグループらしさを表している。

 

「愛理だがメガネ外して髪型変えただけだろ?そんなに驚くもんか?」

 

「うん。ハチ君だけはそれを言ったら駄目だね」

 

「??」

 

「ハチ君はハチ君だね」

 

「まあいい。愛理が変わろうとしてるのは清隆のためだろ?」

 

「まぁ…ずっと一緒にいれば分かるよね…」

 

「近い将来きっと精神的にショックを受ける。その時は波瑠加。愛理を支えてやってくれ」

 

「どういう事?」

 

「ただの勘だ」

 

「…分かった。その時がきたらね。で?で?ハチ君はきょーちゃんとはどこまで進んだの?」

 

「何の事を言ってるんだ?」

 

「…………」




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