ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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夏休み③ 八幡くんとチエちゃん

既にほとんどの生徒たちが寝静まっているであろう深夜2時過ぎ。本来なら大人だけが利用できる夜のバーラウンジに俺は呼び出された。あの酔いどれ天使。生徒が夜間の外出を禁じられてるの知ってるだろうが。断ってもよかったんだがな…。無駄な努力とは分かっているがメガネ&ヘアセットスタイルで現地に赴いた。そこで待っているのは一之瀬クラスの担任である星乃宮先生だ。

 

「お待たせしましたか?お嬢さん」

 

「はあ?何っ。ナンパならお断りだけどっ」

 

「自分で呼び出したんでしょうが。お呼びでないなら帰ります」

 

「え〜八幡くんなの〜。メガネと髪型で随分変わるもんね〜。その格好なら女の子手当たり次第だよ〜」

 

「何言ってんッスか。それに夜間の外出は禁止されてるの知ってるでしょ。大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫大丈夫っ。教師の見回りは0時までだしね〜。それにこんな時間まで働いてる人なんていないよ〜。っていうか0時まで働かされるってひどくない?」

 

「全くですね。ますます社会にでるのイヤになりました。で、今日はなんですか?」

 

「久々に思っいっきり飲みたい気分なの〜。真嶋くんもサエちゃんも帰っちゃった。1人じゃ淋しいじゃない?」

 

いやいや、いつも思いっきり飲んでないか?

 

「どうせ先生がダルがらみしたんでしょ。はあ…少しだけですよ」

 

「はちま〜ん優しっ」

 

基本的に星乃宮先生はお酒が強い。酔ってるようにみせている時が多いが、今日みたいに本当に酔いがまわっているのはレアだ。何かあったんだな。

 

「じゃあ、マックスコーヒーを」

 

「はははっ。ないよ〜」

 

「ですよね。じゃあ、ペリエをお願いします」

 

「へ〜よく知ってるね〜」

 

「たまたまです。響きがなんかかっこいいじゃないですか」

 

「でわー。八幡くんの3位に乾杯?」

 

「上位陣が勝手に足の引っ張り合いしてくれただけです」

 

「謙遜しちゃって〜。ホントかわいいなぁ。でも、高円寺くんと八幡くんのおかげでAクラスも手の届く所にいる。やっぱりあの時無理やりにでも引き抜くべきだったかな〜。平田、櫛田、堀北、高円寺に綾小路と比企谷…ちょっとズルくない?」

 

「結果論です。去年の5月に同じ事言えました?」

 

「あの頃は全く眼中になかったね〜」

 

「それに一之瀬も頑張ってるじゃないですか」

 

「ここだけの話。八幡くんは私のクラスをどう見る?」

 

「前回の回答と変わりませんが…敢えて付け加えるならそうですね。クラス全体が一之瀬に依存しすぎです。俺は独裁者を否定はしませんがね。ただ、頭脳はいくらあっても困らない。一之瀬は入学早々に学級委員など役割を明確にしたのは共和制にしたかったんだと思うんですが、優秀過ぎたのが仇になってますね」

 

「相変わらず良く見てるね〜」

 

「桔梗の言葉を借りると「帆波ちゃん至上主義の教室」らしいですよ」

 

「はははははっ。上手い事言うね。八幡くんが言うとおり、いい子ばかりなんだけどね。そこ止まり。これから上位に上がるのは厳しいかな〜。もし、八幡くんがクラスにいればどうするかな?」

 

「退学しますね」

 

「ほえ?」

 

「あんな仲良しこよしのクラス耐えれません。…というのは半分冗談ですが、」

 

「半分は本気なんだね」

 

「一之瀬にも他のクラスメイトにも退学者が出たという現実を突きつけますね。それが一番効率的です。その為に犠牲になるなら構いません」

 

「なら、八幡くん引き抜けないね〜。私の看護してくれる人いなくなるのは困るし」

 

「本来、看護する側では?」

 

「ねぇ…。これから話すのはひとり言。もう少し付き合ってくれる?」

 

「ここまでくれば一緒です」

 

「私と佐枝と真嶋くんはこの学校の卒業生よ…」

 

それから彼女達の高校生活。そして、内容はふせられたが3年3学期に行われた特別試験。その顛末を語り出した。

 

「私達はどうすべきだったと思う?」

 

「ひとり言じゃなかったんですか?」

 

「細かい事はいいのっ」

 

「Aクラスになる為にクラスメイトを切り捨てようとした星乃宮先生。1人のクラスメイトの為にクラスを犠牲にした茶柱先生。どちらの選択も間違ってないと思います。間違ったのはそれからですよ」

 

「わかってる。本当はわかってるんだよね〜。私達の時計はあの時から止まったまま。八幡くん1つお願いがあるの」

 

星乃宮先生はお願いの内容を語る。

 

「なんの為にですか?」

 

「復讐♪あとは前に進むためかな〜」

 

「善処はします。『貸し』一つですよ。これまでだいぶ踏み倒されている気はしますが」

 

「何の事かな?まあ、無理強いはできないからね〜。さて、私の部屋で飲み直す?多少のアルコールは大目にみるよ〜」

 

「何言ってんすか、酔いどれ天使」

 

「そんな〜天使だなんて♪」

 

「褒めてないが?」

 

「ふふっ。ありがとねっ。八幡くん」

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