肌寒くなってきた秋の始まり。11月1日の月曜日。俺達Bクラス改めてAクラスと一之瀬達Cクラスの関係者一同が集まった初めての会合を開いた。Aクラスからはリーダーの堀北、おまけの清隆、発案者である佐藤、松下、王、前園、ブレーンの外村、池、俺から声をかけた桔梗、平田、須藤の計12名、一之瀬クラスからは一之瀬、白波、網倉、安藤、神崎、柴田の6人。これから文化祭当日の段取りについて、このメンバーにプレゼンをする。自業自得であるのだが…誰かに変わって欲しい…。
「みんな忙しい所、集まってもらってすまない。今日はメイド喫茶実施にむけたプレゼンを行いたい。途中不明点や改善点があればどんどん言ってほしい。書記は外村にまかせる。さて、早速だが文化祭の当日は朝9時から夕方4時までの7時間だ。一言にメイド喫茶というが時間毎にコンセプトを変えていきたいと考えている。まずは俺のプランを聞いて欲しい」
「続けてくれるかしら」
「まず最初の2時間だ。ここはAクラスの総力をつぎ込む。ウエイトレス役に櫛田・佐藤・松下・王・波瑠加と堀北が中心となって盛り上げて欲しい。あと当日にサプライズを準備している。ここで一気に流れを掴んで11時には一之瀬のクラスを吸収するつもりだ」
「ちょ…ちょっと待って。私もメイドになるの?」
「当然だ。満場一致試験での約束忘れてないよな」
「くっ。わかってるわよ」
「おぉっ。鈴音のメイド姿が見れるのか!」
「あなたは屋台の担当よ。須藤くん」
「開始2時間って早すぎないかな?」
「一之瀬の疑問も当然だ。だが、俺はいけると算段している。むしろ遅いぐらいだ。もし、無理だった場合でも各クラスで続けるだけだ」
「わかったよ」
「11時以降は昼食も視野にはいる時間帯だろう。ここで2つの会場のコンセプトを分けたい。俺達のクラスは落ち着いたイメージを押し出し昼食が取りやすい環境を提供する。ウエイトレス役で言えば、松下・波瑠加・堀北が中心だ。一之瀬のクラスは親しみやすさを全面に押し出す。そうだな櫛田・佐藤・王・一之瀬が中心となる。さらに希望者がいれば一之瀬のクラスから立候補してもらっても問題ない」
「にゃはは。やっぱり私もなんだね…」
「帆波ちゃんがやるなら私もやります!」
「少し興味はあるかな…」
「1時までの2時間はこの布陣で挑みたい。この時間帯が1番負担をかけると思う。できるだけバックアップを準備するからなんとか切り抜けて欲しい。この時間帯をどう乗り切るかは堀北、一之瀬相談にのって欲しい」
「わかったわ」
「了解だよ」
「1時からはアフタヌーンティーを楽しんでもらう。女性客を一気にとりこむ予定だ」
「どうするつもりかしら?」
「俺達のクラスを執事カフェにする。メンバーは王子様の洋介、ミステリアスな清隆、クールな神崎、親しみやすい柴田、おらおら系の須藤、俺様系の高円寺だ。この時間帯は清隆に取り仕切ってもらいたい」
「なぜ、オレが…」
「僕もなの?」
「聞いてないぞ」
「今、言ったが?女性陣に聞こう。問題あるか?」
「ないわね」
「うん。いけると思う」
「ちなみに神崎と柴田だが既に一之瀬の了承済みだ」
「「なっ」」
「にゃはは。ごめんねー」
「でも、高円寺くんは無理じゃない?」
「あいつは特別枠だがな。本人の了解はとっている」
「えっ」
「どうやったのかしら」
「今回の来賓は学校関係者だ。将来を見据えて関係を作っておいても良い人物もいるだろう。それにターゲットは年上の女性だ。高円寺が接客するに足ると思う人物に限定した。あいつのみ逆指名制だな。あとは時間内の飲食も自由にしている。女性に囲まれてお茶を楽しむ。あいつの普段の生活となんら変わらんだろ。しかも無料だ。この時間帯に女性陣は順番に休憩をとってもらうつもりだ」
「はぁ。さすがというかなんというか…。ここまでは分かったわ。最後の1時間はどうするのかしら」
「ラストは俺に任せて欲しい。詳細は当日その時間まで秘密だ」
「じゃあ、予算について聞かせて頂戴。男性の服装はどうするの?」
「男の服など大したポイントはかからん。今日の追加分でお釣りがくる」
「食材に関して予算が少ないけれど問題ないのかしら?」
「食事の提供はパスタとオムライスをメインにする。パスタは屋台と共有するんだろ?」
「そうね」
「この2種類ならソースさえ各種準備してれば最小限でなんとかなる。ソースについては任せてくれ。パンケーキは一之瀬達にまかせる。これもスイーツだけじゃなく食事用にもアレンジするつもりだ。不測の際も卵と調味料があればなんとかする」
「飲み物の原価が想定以上なんだけど?」
「食材で浮いた分をまわす予定だ。紅茶やコーヒーの原価を下げれば、普段親しんでいる層にはわかる。企画のコンセプトから回転率は期待できないだろう。1顧客あたりの単価をとるためには必要経費だ。それに食事と原価率を比べれば、こちらに予算をまわしたほうが有利だと考える。次に販売計画だ。飲食の提供以外にチェキの販売を行う。この価格設定は強気でいく。一之瀬には事前に話しているが、この売上は被写体でクラス毎の売上にするつもりだ」
「龍園くん達の対処はどうするつもりかしら?」
「清隆。どうすればいい?」
「おそらく『負けたら退学になるかもしれない』等の情に訴える宣伝はしてくるんじゃないか?その時用の対策をしておけば大丈夫だろう」
「それを採用しよう。今回は来賓や先生達が顧客だからな。いくらあいつでも直接的な妨害は難しいだろう。さて、外村、池。メイドや執事に必要な心構え説明してもらっていいか?」
外村と池はメイドとは?執事とは?を饒舌に語り始める。
「他に共有事項はあるか?」
「屋台だけど軽食に特化させつつ安価な設定にする予定よ。ここを本命であるメイド喫茶への布石にするつもり。購入者にはメイド喫茶で使用可能な1ドリンク半額のチケットを進呈する」
「了解だ。宣伝にも使えるしな。俺に異存はない」
「それなら私達のクラスも協力するよ」
「正直助かる。ただ、一つ注文してもいいか?その券が利用できる時間だが11時〜午後1時以外にして欲しい」
「なぜかしら」
「この時間はウエイトレスの負担が大きい。できれば昼食どきは避けたいと思う」
「わかったわ」
「これで最後だ。現時点でのタスク一覧と完了予定日をまとめている。ここにいる全員分準備しているから後で確認して欲しい。意見があれば遠慮なく言ってくれ。今回の企画はなんと言っても接客係が鍵だ。監修は全て櫛田に任せたいと思う。いけるか?」
「まかせて♪」
事前にできる準備はこのあたりだろう。あとは本番にむけて粛々と準備をすすめていくだけだ。当日のサプライズをどこまで引き出せるかが勝負だな。
一之瀬に要求した2人は神崎と柴田でした。