ようこそ正反対の二人がいく教室へ   作:ゆうき35

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ののんさんから支援画像頂きましたのでいれてみました。画像はあくまでイメージです♪


文化祭⑥ サエちゃんとチエちゃん

いよいよ午後3時が近づいてきた頃。俺は最後の一手を打つべく、メイド喫茶を後にしていた。

 

「わざわざ呼び出してすみません茶柱先生。プライベートポイントは使い終わりましたか?」

 

「ん?あぁ、残りは80ポイント。使い切ったと言っていいだろう。それがどうした」

 

時間が時間だけに、しっかりと教師として文化祭に貢献を終えたようだ。

 

「約束を果たしてもらう時が来ました。これから1時間茶柱先生に協力を仰ぎたいんです」

 

「待て比企谷。約束?おまえの言っている事が分からないのだが…」

 

「メイド喫茶で売上をたてる為、茶柱先生にメイドになってもらいたいんですよ」

 

「…は?」

「私にメイド?そんな話聞いたこともない…お前は何を言っているんだ」

 

「今、話しましたが?」

 

「何故私がメイドになる必要が。メイド喫茶の評判は嫌というほど聞いた。佐倉の活躍もあり、既に上位は確定だろう。そもそも私は教師だ。そして、クラスの担任でもある。特定のクラスに肩入れするなど許されるはずもない」

 

「先生こそ何を言ってるんですか。俺は既に茶柱先生の口から文化祭に協力してもらう事の同意をとっている。学校側からも今日まで異議申し立てはされていない。もし、ルールに違反するならそれは学校側の過失ですね」

 

「同意などした覚えはないぞ」

 

「忘れたんですか?満場一致特別試験の最終問題で俺が何を要求したのか」

 

「……!?」

 

「そう。俺は『例外なく』『この場にいる全ての人間』が協力する事を要求した。この申し出を先生は受理してくれたじゃないですか。それも他学年の先生がいる目の前でです。もし、この契約自体に問題があれば同席した先生にも問題がありますよね?」

 

「……」

 

「少し意地悪をしました。教師の協力を仰ぐ場合、1時間毎に10万ポイント支払うこと。これが今回学校側が用意したルールです。確認頂いても問題ありません」

 

慌てて茶柱先生は携帯で文化祭に関するルールを読み漁り始めた。

 

「確かにな。だが、1時間に10万ポイントだぞ。安くない案件だが…本当にいいのか?」

 

「いいのかもなにも星乃宮先生に支払い済みです。先生には拒否権はないんですよ」

 

「本当の本当にいいんだな?」

 

「くどいです」

 

「ま、待て。そうだ、チエにお願いしたらどうだ?この手のことはアイツのほうが上手くやる。文化祭では既にチエのクラスとは協力関係だ。しっかり教師としての務めも果たすはずだ」

 

「既に星乃宮先生にはメイドになる事を了承してもらってます。代わりにはできませんよ」

 

「ひ、卑怯だぞ比企谷」

 

「茶柱先生。この前の満場一致特別試験はあなた達にとっても重要な試験だった。最終問題。俺が時間切れを人質にした時、昔を思い出したんじゃないですか?」

 

「チエが話したのか?」

 

「結果だけです。あなたはあの試験の時に過去を乗り越えたのかもしれない。でも、星乃宮先生は未だ引きずったままです。そろそろ過去の呪縛から解き放ってあげてもいいでしょう。協力してくれませんか?茶柱先生」

 

「…そうだな」

 

……

茶柱先生の協力を取り付けた俺は携帯であらかじめ用意していたメールをクラスメイトへ一斉に連絡事項として送信する。ラスト1時間間限定で茶柱先生と星乃宮先生が各クラスでメイドとして働く事、2人にはチェキの売上で対決してもらう事を伝え、手の空いている生徒達に学校中に宣伝して回る事を通達した。

 

「き、来たぞ比企谷。は、早く教室の中に入れてくれ!」

 

「ねぇ〜どうかな八幡くん?

 まだまだ現役JKにも負けてないよね〜」

 

【挿絵表示】

 

「お待ちしておりました。それでは説明させて頂きます。お二人にはこの1時間、チェキの売上で競ってもらいます。注文がはいる度にこちらの表に加算していき、周りにもどちらが優勢か分かるようにしています。池、外村、チェキの在庫大丈夫だろうな?」

 

「もちろん。大丈夫だ」

 

「き…聞いてないぞ」

 

「なので、今説明しています。茶柱先生はそこに立っていてもらえれば問題ありません。あとは池達の仕事です」

 

「勝ったらご褒美あるのかな〜」

 

「ないです」

 

「じゃ〜あ、勝ったらチエって呼んでくれるかな〜」

 

「イヤです」

 

「え〜あの時は呼んでくれたのに?」

 

「誤解を生む言い方止めて下さい」

 

そして、櫛田さん。睨まないで下さい。

 

「なんか比企谷くん。先生の扱い手慣れてるよー」

 

「気のせいだ。一之瀬」

 

星乃宮先生に近づき、俺は先生だけが聞こえる声で話す。

 

「わざわざ茶柱先生と正面から戦える状況をつくったんですから、とっととケジメつけてきて下さい。前回の嫌がらせだけじゃ足りてないんですよね?はぁ…これはサービスです」

 

『応援してるぞ。知恵』

 

「!!!?」

 

「よ〜し、絶対負けないからねー。佐枝ちゃん!」

「行くわよ。一之瀬さん。この勝負にも勝って、直ぐにAクラスも奪ってやるんだから!!」

 

「比企谷…お前チエに何言ったんだ…」

「八幡♪あとでね♪」

 

よしっ。俺は何も見なかった。そうしよう。実際の所、茶柱先生が勝つか星乃宮先生が勝つかは好みの差だ。ギャップという面では茶柱先生が圧倒しているが…。

 

これからの最大の懸念は教室に入りきらない大勢の来客たち。この物理的な問題を解消するにはお客たちにもそれなりの代償を払ってもらう必要がある。俺はこれを見据えて特別棟二階にある奥の2教室を確保していた。教室に向かうまでの廊下に入場口を設けて2000ポイント払って入場する変わりに飲み物や食事を無料にした。

 

「メイド喫茶で入場料なんて聞いた事ないよ。それに残っている飲み物や食事は全てセルフサービスって大丈夫なの?」

 

「今はまだ人数制限をしているがな。ここからは先生達が目的の客だ。気にもしないだろう。飲み物や食材が残ってももったいないしな」

 

今後2度と見られないであろう姿見たさに、現役教職員達も興味津々だ。それはケヤキモールで普段働く大人たちにしても同様だ。まるで波のように押し寄せてくる大人、大人、大人たち。

 

「なんか私達の頑張りが霞んでいくような…ちょっと落ち込んじゃうかも」

 

「これまではメイド喫茶。今はパンダがいる動物園。比べられるものじゃないだろ」

 

「ふふっ。ちょっとひどくない?」

 

「事実だろ」

 

「いつからこれ考えてたの?」

 

「佐藤達の企画書を見た時に。朧気だがな」

 

「全く…普段からこれくらいやる気だせばいいのに…やっぱり八幡は敵にまわしちゃダメだね」

 

「そんなことあんのか?」

 

「あっ。なかったよっ」

 

こうしている間にも、先生達の撮影を希望する者は後を絶たない。そろそろ人数制限も限界になってきた。

 

「さて、これで終わりだな。明日からはもう働かん」

 

「まだ、何かやんの?」

 

「並んでいるお客のポイントを根こそぎ刈り取るぞ」

 

俺はスタンバイさせていた男子生徒に合図を送る。すると今まで閉まっていた扉や窓が一斉に開く。入場口からは中が見えるか見えないか微妙な位置取りだ。そして、廊下でのメイド達によるケータリングサービスの準備を整える。

 

「特別に現時点で1ポイント以上残っている方々は全額を支払って頂く事で入場可能とさせて頂きます。飲み物や食事は廊下にも配置させて頂きます。引き続きご自由に楽しんで頂いて問題ありません」

 

こうして午後4時まで先生達の公開は続けられた。チェキの販売数は茶柱先生に軍配は上がったが、終了後の茶柱先生の憔悴した姿を見て、星乃宮先生はどうやら溜飲は下がったらしい。なお、両先生分の売上は俺達Aクラスのものなのは言うまでもない。

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