護法戦記   作:ほすほす

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護法戦記 26話 護法戦記

私は平安。

私は、もう――迷わない。

――これは層岩巨淵のイベントストーリーの裏側で巻き起こる、もう一つの護法夜叉の話。


護法戦記 26話 護法戦記

 窓から差し込む光に、目が覚めた。

 

 シンと静まり返った寝室。

 

 聞こえるのは自分の動きに合わせた衣擦れ音だけ。

 

 

 こんな孤独感を感じる朝は、いつぶりだろうか。

 

 

 私は布団をめくりあげ、ベッドから足を下す。

 

 舞い上がった塵が、朝日に照らされてキラキラと輝いていた。

 

 ベッドの脇には、傷だらけになってしまった私の鞄が横たわっている。

 

 私はそこから目線を外し、ゆっくりと部屋を見回す。

 

 

 机には書きかけの小説。

 

 サイドテーブルにはしおりが挟まった読みかけの本。

 

 煤で汚れた暖炉と、椅子の背もたれには脱ぎっぱなしの上着。

 

 

 ああ、そうか。

 

 

 私は――。

 

 

「帰って、来たんだな」

 

 

 ぽつりとつぶやいた言葉は誰に届くわけでもなく、朝の少し冷えた空気へ緩やかに溶けていく。

 

 体の節々が少し痛む。

 

 昨日までの日々が、夢ではなかったのだとぼんやりと感じる。

 

 夢、という言葉が頭に浮かび、私は「あ」と小さく声を漏らした。

 

 

 そうだ。

 

 そういえば。

 

 今朝は、夢を見なかった――。

 

 

 なぜだかわからないが、胸が震えた。

 

 目が覚めて来たのも相まってか、浮遊感が消え、地にしっかりと足がついていることを実感する。

 

 

「あぁ……」

 

 

 声にならない音を喉の奥からこぼしつつ、心の底から安堵した。

 

 ここ最近ずっと夢に縛られていた自分に、やっと気が付いたのだ。

 

 私は両手で顔を覆う。

 

 そうやって暗闇を感じると、今でも思い出す。

 

 はっきりと、鮮明に。

 

 私の記憶に消えない傷跡の如く刻まれるほど、あの夢たちは私の心に重くのしかかっていたのだ。

 

 

 大きくため息をつきながら、掌をあごの下まで滑らせる。

 

 指先にちくちくと、伸び始めた髭が触った。

 

 

「……顔を洗おう」

 

 

 私はふう、と軽く息を吐き立ち上がる。

 

 

 

 私の平凡でありきたりで、平和な一日が幕を開けた。

 

 

 

 顔を洗い、干してあったタオルで水気を拭きとる。

 

 鏡を見ながら歯を磨く。

 

 そんな当たり前の行動一つ一つが、なぜだか特別なことのように感じられた。

 

 私はそれらを噛み締めながら、口をゆすぎ、髪をかき上げる。

 

 いつもと同じように、鏡の前に置いてある剃刀を手に髭を剃った。

 

 

「痛っ!」

 

 

 剃り終わる直前、手を滑らせてしまった。

 

 あご下に走った爪の先ほどの細い線が赤く染まり、ぷっくりと血の玉が膨らむ。

 

 私は鼻を軽く鳴らし、剃刀を洗った手で、傷口を乱暴に拭った。

 

 まだかすかに血が滲んではいるものの、大したケガではない。

 

 私はあごの皮膚を軽く伸ばしたり縮めたりした後、もう血が止まったのを確認し、さっと水で洗い流して洗面台を後にした。

 

 軽く朝食を済ませ、私は自室の机に座る。

 

 目の前には、書きかけの小説「護法夜叉英雄伝」が広げられたままだ。

 

 何日かそのまま放置していたせいか、少し埃をかぶっている。

 

 私はふっと息を吹きかけ、埃を手で払い原稿をたたんだ。

 

 今日は、こちらには用がない。

 

 私は身をかがめると机の下から4、5冊ずつの束に縛られた本を取り出し、机の上に置いた。

 

 布で丁寧にそれらを包み、壁に掛けてある竹籠へとしまい込む。

 

 竹籠は肩から腕を通せるようになっていて、私はこれを背負って璃月港に向かうのだ。

 

 

 私は竹籠を背負いかけたところで腕を止めた。

 

 

「おっと、いけないいけない」

 

 

 そう繰り返しながら、私は本棚に立てかけてあった仮面へと手を伸ばす。

 

 どこかの土産で買った、儺面。

 

 これを見るたびに身が引き締まる。

 

 二度と同じ過ちを犯してはならないと、心の中で三度ほど唱えた。

 

 大きく息を吸って吐けば、少しが気が楽になる。

 

 こうでもしなければ、いつ自分が再び過ちを犯してしまうのではないかと、ふとした瞬間不安になるのだ。

 

 それほど私の心はなびきやすく、決意が脆いことなんて自分が一番知っている。

 

 私はベッド脇の鞄を持ち上げ仮面を中へと放り込んだ。

 

 

 カツン、と木がぶつかる音が中から聞こえる。

 

 

 私は鞄の中身を確認することすらせず、肩からベルトをぶら下げた。

 

 切れていた部分を乱雑に糸で縫ったところから、キチキチと音が鳴る。

 

 途中で切れてしまわないか少し心配になったが、その時はその時だ。

 

 私は先ほどの竹籠を背負うと、靴を履きなおし、踵を鳴らす。

 

 玄関のかんぬきを外し、軽く押せば、璃月港に続く小路がどこまでも続いていた。

 

 

 私は家に向かって小さく「いってきます」とつぶやき向き直ると、ゆったりとした足取りで歩き始めた。

 

 

 

 

       ※

 

 

 

 

「あら、平安じゃない。今回はずいぶんと時間がかかったねぇ」

 

 

 万文集舎の店主である紀芳が目を丸くする。

 

 

「すみません、少し立て込んでいたもので」

 

 

 私が軽く会釈をすると、紀芳はじろりと私を横目でにらんだ。

 

 

「さては、女の子のお尻を追いかけてたんじゃないだろうね」

 

 

 紀芳の冗談に、私は愛想笑いを返す。

 

 

「あはは、そんな甲斐性、私にはないですよ。はいこれ、依頼されていた分です」

 

 

 私は背中の籠を下ろし、中の本たちを店主へと受け渡す。

 

 

「7、8、9……うん、これで全部ね。助かるわほんとに。しっかり天日干ししたはずなんだけどねぇ。どんなに乾かしたつもりでも、古本に虫はつきものね。また虫食いがひどくなった本がまとまったら、修理お願いね」

 

 

「はい、いつでも喜んで」

 

 

 私は店主から駄賃のモラを受け取り、財布へとしまった。

 

 

「それと、なんですが。あのう……」

 

 

 もじもじと私が言いにくそうにしていると、紀芳は少し目を細める。

 

 

「ああ、あの本のことね」

 

 

 彼女が視線を向けたさきを追えば、陳列された本の隅っこに、それはあった。

 

 ため息交じりに紀芳は首を横に振る。

 

 

「まだ、売れてないよ」

 

 

「そう、ですか……」

 

 

「せっかく自費出版してくれたところ悪いけど、もうこれで一月になる。もう一月様子を見てあげるけど、それでもだめなら、引き取ってもらうしかないね。こっちも生活が懸かってるから、スペースは有効活用したいのよ」

 

 

「……お心遣い、感謝します」

 

 

 私は深々と頭を下げる。

 

 店主はいいのよ、と笑って返した。

 

 

 なんとも言えない気まずい空気が流れる。

 

 

 するとちょうどいいところに、棚を見ていた客のひとりが一冊の本を片手に、カウンターへと近づいてきた。

 

 

「では、これで」

 

 

「ええ。また――ああ、いらっしゃい、あら、この前の本の続きですか? あなたもその本に、すっかりはまっちゃったのね――」

 

 

 背中で先ほどまでとは打って変ったような軽やかな紀芳の声を聞きつつ、私は万文集舎を離れた。

 

 

 大丈夫だ。

 

 いつものこと。

 

 こういった扱いには、もう慣れた。

 

 

 

 私は心の中でそう言い聞かせながら、ため息を一つつく。

 

 

 

 するとちょうど、向かいの建物に続く連絡橋を渡り終えたぐらいだろうか。

 

 若々しい声が私を呼び留めた。

 

 

「ねぇ、もしかしてあの本を書いたのは、貴殿かな?」

 

 

 声のする方へ目をやると橋の欄干に腰掛けた身なりの良い少年が、本を片手に私を上目遣いで見上げていた。

 

 

「えっと、君は?」

 

 

 私が尋ねると少年は広げていた本を片手でぱたんと閉じ、軽く微笑む。

 

 

「僕かい? 名乗るほどの者じゃないよ。それより、あの小説さ。一応、万文集舎に並んだ新作には必ず目を通すようにしているんだ」

 

 

「あ、ああ、それはどうも」

 

 

 私は少年のあまりにも堂に入った語り口に、ややたじろぐ。

 

 

「いち読者からの感想なんだけど、伝えても構わないかい?」

 

 

 キリッとした眉に、くりくりとした目をした少年はずいと顔を寄せて来た。

 

 

「か、感想ならどんなものでも嬉しいが……」

 

 

「なるほど」

 

 

 少年は少しあごに手を当てつつ、ちらとこちらを見、「率直に言うと」と前置きした上でバッサリと言い切った。

 

 

 

 

「面白くはなかった」

 

 

 

 

「うっ」

 

 

 子供は時に残酷だ。

 

 思ったことを歯に衣着せず、そのまま口にする。

 

 だがこの少年の言葉からは、そういった子供じみた幼稚さを感じられなかった。

 

 まるで書籍に造詣の深い、編集者のような重みを感じる。

 

 

「でもそれには理由がある」

 

 

 少年は人差し指をピンと立て、口角を上げた。

 

 

「理由……?」

 

 

 私が首をかしげると、少年は手に持っていた本の角を私の胸にとん、と押し当て、こう付け足す。

 

 

「きっと、どこかで取り繕おうとしているんじゃないかな。全体を通してそう感じた。もっと自分をさらけ出せば、貴殿の小説はもっと面白くなる」

 

 

「は、はあ……」

 

 

「楽しみにしてるよ、平安さん」

 

 

 少年はそう私に告げると、颯爽と去っていった。

 

 その背中が見えなくなって、ようやく私は我に返る。

 

 

 

「あ、名前……」

 

 

 

 少年は確かに、私の名前を最後に告げた。

 

 

 ほんとうに私の本を手に取り、読んでくれたのだろう。

 

 自分の作品にちゃんと読者がいると考えると、こそばゆい気持ちと喜びがこみ上げてくる。

 

 

 だが、それも長くは続かなかった。

 

 

 少年の口から飛び出した辛らつな言葉がよみがえる。

 

 

「ははっ……。前作がまるで売れず、次回作のめども立っていないというのにな……」

 

 

 私は自嘲気味に笑うと、万文集舎の雑務で得たモラをポケットの中で遊ばせつつ、璃月の大通りへと続く階段を踏みしめるように降りて行った。

 

 

 ぶらぶらと歩いていると、腹が音を立てて鳴る。

 

 

「……腹ごしらえでもするか」

 

 

 人の流れに身を任せつつ、私は商店街へと向かう。

 

 まだ昼前だというのに、万民堂の前にはもうすでに列ができ始めていた。

 

 とはいえ、万民堂のことだ。

 

 十名ぐらいの列であれば、すぐに掃けていくだろう。

 

 私は何を考えるでもなく、ただぼーっと前に並ぶ客の後頭部を眺め続ける。

 

 

 すると港の方からごとごとと石畳を鳴らしながら、荷車と弾む息が近づいてきた。

 

 

「ごめんねー! 通るよー!」

 

 

 見れば万民堂の看板娘兼天才シェフ、香菱が鮮魚を山のように乗せた荷車を押しながら、こちらへと向かってくるではないか。

 

 

「おう香菱! ご苦労様っ!」

 

 

 厨房で鉄鍋を振りつつ、店主の卯が威勢の良い声を上げる。

 

 

「ただいまお父さん! って、あ!」

 

 

 香菱が私の顔を見て、顔を輝かせた。

 

 

「久しぶりー! ひとり言のお兄さん!」

 

 

「なんて覚え方だ!」

 

 

 大衆の面前でその呼び方はないだろう。

 

 私は少し赤面しつつ、訂正をくわえる。

 

 

「前来た時のあれは、ひとり言じゃないっ!」

 

 

「ふーん、そうなんだね!」

 

 

 にこっと眩しい笑顔で香菱は笑い、厨房の中へと食材を搬入する。

 

 たぬきのような動物が、魚をくわえたまま上機嫌な様子で彼女の後に続いた。

 

 前に並んだ人がチ虎魚焼きを受け取り列から離れると、私が先頭になる。

 

 

「お客さん、ご注文は?」

 

 

「モラミートを一つで」

 

 

「あいよ! 香菱、モラミート頼めるか? 今持ち帰りの調理で手が離せないんだ!」

 

 

「はいはーい!」

 

 

 店の奥からはつらつとした声が響く。

 

 私はポケットの中から数枚のモラを取り出し、店のカウンターへと置く。

 

 ほどなくして白い湯気の立ち昇る、モラミートの包み紙を持った香菱が現れた。

 

 

「お待ちどおさまっ!」

 

 

 その姿を見て、私はちょっと困惑する。

 

 

「えっと、すまない、モラミートは一つしか頼んでいないのだが……」

 

 

 香菱は両手に持ったモラミートを私に差し出す。

 

 

「しーっ! お父さんに聞こえちゃうでしょ! これは私からのサービスだよ!」

 

 

「そんな、悪いよ」

 

 

「いいのいいの! だって、お兄さん、とっても落ち込んだ顔してるもん。前に見た時とは大違い。もしかして、友達と喧嘩しちゃったとか?」

 

 

 その言葉に私は思わず顔を強張らせる。

 

 ん? と首をかしげる香菱と目が合った。

 

 

「あ、ああ、まあ、そんなところだ……」

 

 

「じゃあ、このモラミートはその友達と一緒に食べて! おいしいご飯を一緒に食べたら、きっと仲直りできるよ!」

 

 

 私は胸元に押し付けられた二つのモラミートを、勢いに押されるがまま受け取った。

 

 

「まいどありー!」

 

 

 大きく手を振る香菱に礼を言い、私はとぼとぼと歩き出す。

 

 両手に持ったモラミートから、じんわりと熱が伝わってくる。

 

 

「はは……困ったな」

 

 

 私はそのまま街道を進み、フリースペースのベンチを見つけて腰掛ける。

 

 

 包み紙を開けると、そこには以前万民堂で注文した黄金のモラミートが入っていた。

 

 すでにメニュー入りし看板を掲げられた黄金のモラミートは、数十モラ普通のモラミートより高かったはず。

 

 

「卯に怒られるぞ、香菱」

 

 

 私はふっとひとりで笑いながら、スイートフラワーの香り立つモラミートを頬張った。

 

 ふかふかの饅頭に歯を沈ませると、奥から熱気と共に肉汁とソースがあふれ出す。

 

 ハフハフと口の中の熱気を覚ましつつ、再び黄金色に輝くモラミートへかぶりつく。

 

 私はぺろりとひとつ目のモラミートを食べ終えると、もうひとつのモラミートへと目をやった。

 

 

 腹にこのモラミートを詰め込む余裕はまだまだある。

 

 

 だが、私は食べるのを躊躇した。

 

 

 散々迷った挙句、私は鞄を開け、モラミートをしまい込む。

 

 なんとなく、まだ食べなくてもいいような気がした。

 

 

 

 ただ、それだけ。

 

 それだけだ。

 

 

 

 私はテーブルに置いてあった楊枝を口にくわえ、後ろ頭に手を組み椅子の背もたれに体を預ける。

 

 そのまま食べたモラミートが腹にこなれるまで、通りの人々の往来を呆けたように見つめ続けた。

 

 

 

 昼時になり、あたりが騒がしくなり始めたところで私は席を立った。

 

 

 あまり占領していると他の人に悪いだろう。

 

 

「さて、と」

 

 

 私は大きく伸びをして、足元に置いてあった竹籠を背負った。

 

 今日はまだすることが残っている。

 

 

「行くか」

 

 

 そうひとり言をこぼし、私は歩き出す。

 

 商店街を抜け、広場を通り過ぎ、石橋を超えていく。

 

 向かう先は、私の管理する銅雀の寺院。

 

 

 璃月港からはやや距離のある天衡山の麓へ到着したのは、3時間ほどたった後だった。

 

 

 とはいえ誰かを待たせているわけでもないので、休憩をはさみながらの道中である。

 

 なので特段疲れるほどの距離ではない。

 

 

 私は竹籠を入り口の柱のそばへ下ろし、礼をしてから寺院へ入る。

 

 門扉は常に開かれているため風が吹き込むのか、数日あけるとそこかしこに細かい砂埃が付いていた。

 

 私は慣れた手つきで清掃を始める。

 

 

 掃除はいい。

 

 寺院の貯蔵品を磨いているときだけは、本当の意味での無心になれる。

 

 自分の家はあまり片付いていないのに、こういった場所に来るとなぜか襟を正される気がして、掃除をする手に力が入るものだ。

 

 

 清掃を終えると、私は備え付けの線香に火をつけ、銅雀に手を合わせた。

 

 これで一通り、やることは終わったと言えよう。

 

 

 一段落ついたので、湯を沸かし茶を入れた。

 

 私が自分用に買ってきた茶なので大した品質のものではなかったが、腰を落ち着けてのどを潤せば、心は安らぐ。

 

 

 外を眺めれば璃月の雄大な山々が、夕日で朱色に染まっていた。

 

 自然が織りなす絶景を臨みつつ、私はゆったりと茶をすする。

 

 鳥たちのさえずりに耳を傾ければ、時の流れが、より緩やかに感じられた。

 

 私にとっては、今この瞬間が一番、充実した時間だ。

 

 

 巨万の富があるわけでもなく、贅を尽くした美食に舌鼓を打つわけでもない。

 

 この大地から与えられる美しい光景に目を細め、ただただため息をこぼすだけ。

 

 心躍るような冒険も、命を懸けるような戦いも、湧き上がるような生の実感も、必要ない。

 

 

 

 これで、十分なのだ。

 

 

 

 私のような凡人には。

 

 

 

 なにも、必要ない――。

 

 

 

 そう思うと、急にギュっと胸が締め付けられる思いがした。

 

 私は思わず、壁に立てかけていた肩下げ鞄へと視線を送る。

 

 昨晩の自分の言葉が脳裏をよぎった。

 

 

 

 

「しばらく、ひとりにしてくれ、弥怒」

 

 

 

 

 そう告げると、弥怒は短く一言、『わかった』とだけ答えた。

 

 

 

 もちろん完全にひとりになることなど不可能だ。

 

 今も弥怒は私の頭の中にいる。

 

 だが今日だけは、弥怒の小言に邪魔されず、自分を見つめなおしたかったのだ。

 

 私に何が必要で、私自身どうしたいのか。

 

 それを、見極めたかった。

 

 

 

 私は杯が空になったのに気が付き、急須を再び傾ける。

 

 ゆるりと昇る湯気を鼻から吸い込みつつ、私は程よい熱を体に染みこませた。

 

 じわりと、言葉にできない諦めのような感情が胸元に広がる。

 

 今日一日を思い出し振り返ってみれば、よりいっそうその思いは強くなった。

 

 

 うだつの上がらない、無名の物書き。

 

 

 しゃかりきに何かへ取り組むわけでもなく、ただ漫然と日々を過ごしていく。

 

 きっとそうやって、何かを掴み取ることなく、私という人間の人生は終わりを迎えるのだ。

 

 

 夢は夢。

 

 現実は現実。

 

 なんてことはない、当たり前の話だ。

 

 このような考えの凡人に、大事など成せるはずもない。

 

 誰からも認められず、ただ時間とともに朽ちていく。

 

 それが私には、お似合いだ。

 

 そう自分に言い聞かせると、なんだか踏ん切りがついたような気がして、ふふっと乾いた笑い声が口から漏れた。

 

 

 杯に残った茶をぐいとあおり、私は腰を上げる。

 

 そろそろ片づけをして、家に帰らねば。

 

 夕食を食べ、明日に備えよう。

 

 いつもと同じ平坦で、変わり映えのしない、だがやることだけはちょうどよくある、そんな日々が私を待っているのだから。

 

 

 

 そう思った、その時だった。

 

 

 

 

 コンコン、と寺院の入り口で、木をノックする軽い音。

 

 来客だろうか、と顔を上げ、私は身を固くした。

 

 そこに立っていたのは、ピシッと整えられた制服に、綺麗に磨かれた槍を持つ、精悍な顔つきの男。

 

 

 

 千岩軍だ――。

 

 

 

 何か悪いことをしていたわけでもないのに、急に動悸がした。

 

 こんな辺境の寺院に、いったい千岩軍が何の用だろう。

 

 私は訝しがりながら、恐る恐る返事を返した。

 

 

「……はい、おります。どうされましたでしょうか」

 

 

 顔色を窺うように覗き込むと、男は白い歯を見せて笑った。

 

 

「そうかしこまらずとも良いですよ。ここには誰かを捕まえに来たわけではないですから」

 

 

 それを聞いて、私はほっと胸をなでおろす。

 

 

「もしや、あなたが平安さんですか?」

 

 

「は、はい。間違いありませんが……」

 

 

 名前を呼ばれるとドキッとした。

 

 

 千岩軍に名が知られるようなことが、私にはあっただろうか。

 

 

 

 

 

 ……ありすぎる。

 

 しかもよくない方向で。

 

 

 きっと私を捕まえないにしろ、あまりよくない話なのだろうと、私は腹をくくった。

 

 ここまで来られては、私にはなす術もない。

 

 

 詐欺の被害者たちには誠心誠意尽くしてきたつもりだが、過去を消すことはできない。

 

 何かしらの処罰があるのであれば、謹んでお受けしよう。

 

 

 そう思って顔を上げたが千岩軍の男の口から飛び出してきた言葉は、私が予想だにしていないものだった。

 

 

 

 

「璃月七星より、平安さん個人への報奨金と、寺院維持のための資金援助が認可されましたので、ご報告に上がりました」

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 私は耳を疑い、目を白黒させる。

 

 報奨金?

 

 資金援助?

 

 璃月七星から?

 

 一体何の話だろう。

 

 驚きのあまり固まった私に、男は話を続ける。

 

 

「璃月では現在、人と仙人に関わる文化財保護の方策が進められています。岩王帝君亡き今、璃月という国をより盤石にするため、天権の凝光様と玉衡の刻晴様は璃月の観光資源へと目を付けられました。テイワット最大の商業都市である璃月港には、毎日他国の商業船がなん百と往来します。彼らは港に宿泊し長旅の疲れをいやすでしょう。次の仕入れを行うまでの間、周辺地域へ観光に赴かれることも少なくありません。その期間、璃月の素晴らしい歴史的な文化財に触れていただき、思い出を自国に持ち帰ってもらうことができれば、旅の話を聞いた次の顧客を港へと呼び寄せることができるでしょう。計画の実現には長い時間が必要ですが、未来の璃月にとって必要なことです。そういうわけで、今回の話が持ち上がりました」

 

 

 

 ただひたすらうなずくことしかできなかった私は、かすれた声で何とか言葉を返す。

 

 

「私のような者が、そんな栄誉を受け取ってもよいのでしょうか……。私の過去は、他人様が聞けば眉間に皺を寄せるものばかりです」

 

 

 相手が千岩軍であることも忘れて、私は自分の身の上をつい話してしまう。

 

 男はそれを聞くと腰元より手帳を取り出し、ぱらぱらとめくってふむ、と首を傾げた。

 

 

「平安さんのおっしゃられる過去というものを私は存じ上げませんが、平安さんが過去になにかしらの契約を破ったという申し立ては、今のところありません。平安さん。ここは商売の街です。誰にだって、失敗はつきものですよ。大切なのは、過去がどうであったではなく、今がどうであるか、です」

 

 

 私は急に胸の奥から何か熱いものがこみあげてきて、言葉を失う。

 

 みぞおちで結んでいた拳に、思わず力が入った。

 

 

「平安さんが私財を投げうって、璃月の失われかけた寺院を復興した話は璃月七星の建設と土地管理を担う、玉衡の刻晴様を通じて何度も群玉閣へと上げられました。璃月七星ではこのエピソードをモデルケースとし、各地の遺跡や廃寺の復興に力を入れていく所存です。平安さんの名前は、その筆頭にしっかりと記録されていますよ」

 

 

「私の名が、璃月七星の帳簿に……?」

 

 

 男は深くうなずく。

 

 

「ええ。帳簿は群玉閣で編纂され、今後永久保管されていきます。平安さん。あなたは、璃月の悠久たる歴史に、その名を残したのです」

 

 

 ふいに温かい何かが頬を伝った。

 

 

 私が。

 

 

 私のような人間の名が。

 

 

 この璃月に残り続けるなど、夢にも思ったことはなかった。

 

 

 身に余る光栄に、まるで理解が追い付かない。

 

 

 同時にあふれ出る感情の波を抑えつける手段も、理由も思いつかなかなかった。

 

 

 

「平安さん、今まで大変だったことでしょう。もう大丈夫です。この寺院は認可を受けました。千岩軍共々、しっかりと支援させていただきます」

 

 

「はい、はい……!」

 

 

 目頭を押さえ震える私の背中を、男は優しくさすってくれた。

 

 

「私も実は、とても嬉しいんです」

 

 

 千岩軍の男は、先ほどまでの優しい口調にやや熱を帯びさせながら続ける。

 

 

「この寺院のことは、前から知っていました。夜叉銅雀を祀る寺。かつて璃月を守り抜いた夜叉の偉業を称える文化財は、驚くほど少ない」

 

 

 私ははっとして涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を上げた。

 

 

「せ、千岩軍は、夜叉たちの過去の行いを、知っているのですか⁉」

 

 

 男はゆっくりと首を横に振った。

 

 

「いいえ、夜叉については私が個人的に見聞きしたことがすべてです。とはいえ、大したことは私も知ってはいませんが」

 

 

「その話を、伺っても……?」

 

 

 尋ねると、男は照れくさそうに笑った。

 

 

「私の名は王大と言います。嘘か本当かはわかりませんが、私の先祖は夜叉のひとりだったそうです。名を王深と言います。私は曽祖父からその話を聞き、そのことをずっと誇りに思って生きてきました。かつての夜叉たちのように、この国を守りたい。そんな思いから、私は千岩軍へと志願したのです」

 

 

 王は遠くを見つめるような目を潤ませる。

 

 その姿を見て、私は感嘆のため息を漏らした。

 

 

 私の記憶にある、点と点がつながり一本の線になったような感覚を覚える。

 

 

 

「あなたは……私よりもずっと素晴らしい。その王深という人物は間違いなく素晴らしい夜叉だ……いや、そうに違いない。きっと私なんかより、あなたが選ばれるべきだった。私は千岩軍であるあなたのように、何かを守れたことは一度もない。行動に移せるということは、称賛されるべきです」

 

 

 王はやめてくださいよ、と顔の前で手を振った。

 

 よく見れば、目じりに少し涙を浮かべている。

 

 そのまま王は、まっすぐ私の目を見つめると、シャキッと姿勢を正し敬礼をした。

 

 

「守る、という意味では、私と平安さんは同士です。私は民を、平安さんは文化を。どちらに上も下もありません。民も文化も、璃月には決して欠かすことのできないものですから。報奨金や認可に関わる書類は後日お渡しに参ります。それでは璃月を守る同士へ、尊敬と深い感謝の意を込めて。千岩牢固、揺るぎない!」

 

 

 私はただ黙って、震える唇を噛み締めつつ、深々と頭を下げることしかできなかった。

 

 日が陰り、薄紫色に染まる空の下を王は去っていく。

 

 

 その姿が丘の向こうに消えて見えなくなっても、私はじっと熱いまなざしで見つめ続けた。

 

 

 

 

 なにかが、私の中で燃えている。

 

 

 

 それが何かわからぬまま、私は帰り支度をして帰路につく。

 

 腹の底でゆらゆらと揺れるその炎は時間が経っても消えることはなかった。

 

 自宅に着き、夕食を終え、身体を拭いて床についても、その炎は消えるどころか、より激しさを増すばかりだ。

 

 ただ一日の疲れもあり目を閉じればすぐに眠気がやってきて、私がまどろみに沈むまで、さほど時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 その日、私は夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 なんてことはない、普通の夢だ。

 

 私の背丈は低く、本の山の中をかき分けながら、誰かの名前を呼んでいた。

 

 不安の波が押し寄せて来た時、積まれた本と本の間から、皺だらけの手が差し伸べられる。

 

 私は安堵と共に笑顔を浮かべ、迷うことなくその手を取った。

 

 手に引き寄せられるまま、胸元に飛び込み顔を上げると、そこには生前の祖父の顔があった。

 

 祖父はにっこりと微笑むと、私を胡坐の上に座らせ、目の前で一冊の本を開く。

 

 

 その本の挿絵には、5人のシルエットが描かれていた。

 

 私が指をさすと、祖父は頷き、語り始める。

 

 それは昔、私が何度も祖父にねだり、読み聞かせてもらった夜叉たちの英雄譚。

 

 私は目を輝かせ、英雄たちの戦いに思いをはせる。

 

 しかし、話がクライマックスに突入した時、ふいに祖父の声が止んだ。

 

 不思議に思い振り返ると、もうそこに祖父はいない。

 

 

 きょろきょろとあたりを見回した後、自分の手を見つめれば、いつの間にか大人の体になっているではないか。

 

 

 不思議に思いつつ、顔を上げれば、誰かが遠くに立っている。

 

 

 

 風に琥珀色の外套をなびかせ、腕を組みこちらに背を向ける長身の丈夫。

 

 

 

 どくんと、胸が跳ねた。

 

 

 私は、彼の名を、知っている気がする。

 

 立ち上がり、一歩、足を踏み出してみた。

 

 ジャリ、と足元から砂が鳴る音が鳴り響く。

 

 それでも男は振り向かない。

 

 もう一歩、そしてまた、もう一歩。

 

 歩みは少しずつ早くなり、気が付けば走っていた。

 

 それでも男の背は遠く、手を伸ばしても届かない。

 

 

 手や足では、だめなのだと、私は悟る。

 

 なにか、なにか言わなければならない。

 

 だが、何を言えばいいのかわからない。

 

 胸をかきむしりたくなるほどのもどかしさを抱えたまま、私は大きく息を吸い、叫んだ。

 

 

 

「――‼」

 

 

 

 口から飛び出したのはきっと、彼の名前。

 

 男はやっと気が付いたのか、組んでいた腕を下ろし、こちらへと体を向けて――。

 

 

 

 はっと目を開ければ、朝だった。

 

 

 

 シンと静まり返った寝室。

 

 ゆっくりと身を起こせば、聞こえてくるのは自分の動きに合わせた衣擦れ音だけ。

 

 私は布団をめくりあげ、ベッドから足を下す。

 

 舞い上がった塵が、朝日に照らされてキラキラと輝いていた。

 

 ベッドの脇には、傷だらけの鞄が横たわっている。

 

 部屋を見回せば、机には書きかけの小説。

 

 サイドテーブルにはしおりが挟まった読みかけの本。

 

 煤で汚れた暖炉と、椅子の背もたれには脱ぎっぱなしの上着。

 

 

 

 

 私は大きく深呼吸をして、頭の中で語り掛けた。

 

 

 

(弥怒、聞こえているか?)

 

 

『なんだ』

 

 

 ひざの上に置いていた手を握りしめ、感情を言葉に、言葉を文字にして頭に浮かべていく。

 

 

(ありがとう。もう、大丈夫だ)

 

 

『………………そうか』

 

 

 少し安堵の混じったような弥怒の声を聞いて、私の決意はかたまった。

 

 

 私は勢いよくベッドから飛び出すと、机の上にあった執筆途中の原稿をわしづかみにする。

 

 

 そして、それらを力任せに――引き裂いた。

 

 

『お、おい! どうした⁉』

 

 

 弥怒が慌てた様子でもお構いなしに、紙を何度も何度も裂いて、細かな紙片へと変えていく。

 

 腕の中いっぱいになった紙くずを抱えて窓を開けると、炊事場の開けっ放しだった窓から今開けた窓まで、一本の風の通り道ができ上がる。

 

 

 背後から流れ始めた強く吹く風に、私は腕の中の紙片をありったけの力でぶちまけた。

 

 まるで花吹雪のように舞う白い切れ端は、澄み切った青空の向こうへ、どこまでも遠く飛んで行く。

 

 

 それをしっかり見送った後、私は窓を閉めることもなく机にかじりつくと、白紙の原稿を新しく取り出した。

 

 瓶の蓋を開け、毛筆にこれでもかと墨を染みこませる。

 

 勢いよく筆を引き上げると、墨汁が机に飛び散った。

 

 そんな些細な飛沫には目もくれず、私は原稿にでかでかと文字を書きなぐる。

 

 

 

「できた……‼」

 

 

 

 両手で持ち上げた紙に大きく踊るのは、新しい小説の表題。

 

 

『護法……戦記……』

 

 

 弥怒が頭の中で文字を読み上げた。

 

 私はかつてないほど晴れやかな気分と共に言い放つ。

 

 

「新しい小説を思いついたんだ。今までの作り話とはわけが違う。私の持てるすべてを吐き出した、ノンフィクション小説だ! 夜叉たちの織りなす珠玉の物語を、この手で最後まで、書ききってやる‼」

 

 

『……っ‼』

 

 

 驚く弥怒に、私は恥ずかしくて言いづらかった言葉を、勢いに任せて言うことにした。

 

 何もストレートに言う必要はない。

 

 私がずるい人間だというのは、私が一番知っている。

 

 それでもかまわない。

 

 大切なのは、過去ではなく、今。

 

 そして、行動と、結果がすべてを物語るのだ。

 

 

「舞台は璃月の極西、層岩巨淵! さあ、これから忙しくなるぞ、弥怒! なんせ、いい小説を書くためには、ロケハンが欠かせないからな‼」

 

 

『平安……っ‼』

 

 

 私は鼻を鳴らしつつ、胸を張る。

 

 

「弥怒に付き合ってばかりってのは、やはりよくないぞ。対等じゃない。だから今回は、私に付き合ってもらう! 弥怒が行きたいから行くのではない。私が行きたいから、層岩巨淵へ向かうのだ‼ あと、そうだな――」

 

 

 やはり、少し照れくさいが、これはきちんと言葉にすべきだ。

 

 

 そう思い、私は一拍あけて、口を開いた。

 

 

「だからえっと、一昨日のこととか、いろいろとその……すまん! 悪かった‼」

 

 

 誰もいない壁に向かって、私は勢いよく頭を下げる。

 

 数秒間の沈黙。

 

 そのあとには、豪快な笑い声が頭の中に響いていた。

 

 

『あっはっはっはっはっは‼ よい! よいぞ、平安‼ 己れはこれっぽっちも憤怒しておらぬが、あえて言おう! お主を許す! 平安‼』

 

 

「そう言ってくれると思っていたよ、弥怒。そうと決まれば、準備をしよう! あ、あと、私にできる範囲で何かをするというのは、変わらないからな!」

 

 

 念を押すと、弥怒は笑いながら肯定する。

 

 

『ああ、構わないとも。もとよりそのつもりだ。協力、心より感謝する!』

 

 

 私はむっとして言い返した。

 

 

「協力じゃない。私がしたいことをしているだけだ」

 

 

『ぬ……。お主……少し頑固になってないか……?』

 

 

「誰かさんの頑固がうつったんだよ!」

 

 

『はて、誰のことだ?』

 

 

「頭の中に居候する誰かさんのことだよっ‼」

 

 

 他愛のないやりとりを繰り返しつつ、私はタイトルだけの原稿を折りたたみ、鞄へとしまい込む。

 

 

 みれば、鞄の中には昨日食べ損ねたモラミートがそのまま残っていた。

 

 私はそれを、朝食代わりに口に押し込む。

 

 冷え切ってはいたものの、モラミートはやっぱりおいしかった。

 

 薄暗く湿っぽかった部屋を、乾いた風が心地よく通り抜ける。

 

 支度を終えた私は、流れる風をひとしきり浴びた後、窓を閉め、錠をかけた。

 

 他の戸締りも確認し、玄関の扉を勢いよく開ける。

 

 

「いってきます!」

 

 

 今度は腹の底からはっきりと、わが家に声を響かせる。

 

 私は閉じた扉に踵を返し、一歩目を踏み出した。

 

 目指すは遥か西の、層岩巨淵。

 

 幽霊だろうが、何だろうが、関係ない。

 

 

 すべてを糧にして、小説に落とし込み、描き切ってやる。

 

 決意を胸に私は自分の両足を、前へ前へと力強く押し進めた。

 

 

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