ドラゴンボールコネクト!Re:Dive   作:ぷぼっ!

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本当に申し訳ございませんでした。
書く暇が無かったんです、ほんとに許して…

あ、でももう一つの投稿してたし………あ………


第4話〜後編〜 リマリマ〜

森の中に迷い込んでしまったスズメとコッコロ…暗い森中には怪しく光る魔物達の眼が…

 

スズメ「あ、あ、安心してくださいぃ…ちょ、ちょっと道に迷っただけですからぁ〜…」ガクブル

 

コッコロ「は、はぁ…」

 

安心しろと言われてもまずはスズメが安心してほしい。

言ってる者がガクガクブルブルと怖がられていては安心のしようが無い。

 

コッコロ「しかし、昼間だというのに随分暗いというか…魔物とか…」

 

スズメ「ま、ま、ま、ま、ま、魔物!?魔物何処!?何処!?」

 

バサバサ

 

スズメ「で、出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

コウモリが通り過ぎただけでこんなざまである。

彼女は泣き叫びコッコロを置いて何処かに逃げていってしまった。ついでにロバもスズメについて行ってしまったためこの場に一人取り残されてしまったのはコッコロ…

 

コッコロ「す、スズメ様!落ち着いて!」

 

土埃を巻きながら逃げていくスズメだが軽く出ていた木の根っこに躓いてしまう。

 

スズメ「あ、」ガシッ

 

 

ズザザザザザザザザザザザザザザ〜〜……

 

勢い良く転んでしまったスズメ。

コッコロを置いていこうとしてしまった罰なのか、とても縁起が悪い。

 

コッコロ「大丈夫ですか!?」

 

スズメ「ケホケホ…だ、大丈夫です………!ロバは!?」

 

コッコロ「……何処かへ…」

 

スズメ「ど、どうしましょ〜!?ロバが居ないと荷馬車がぁ……ッ!」

 

コッコロ「!」

 

二人はガサガサと音をたてる草の方を見る。

すると何かが動いているのが分かる。

スズメは体を強張らせている。

 

コッコロ「逃げたロバかもしれません…」

 

二人は木に隠れ遠くから音の正体を伺っている。

丁度シルエットになって分かりにくいが動物の頭のようなものが見えてきた。

 

コッコロ「あれは…」

 

スズメ「ロバ?…馬?」

 

コッコロ「…荷台にあったロープをお借りしますね。あの動物を捕まえて荷馬車を引いてもらいましょう。」  

 

スズメ「ナイスです!コッコロちゃん!」

 

コッコロは荷台に積んであったロープをクルクルと回しだし動物捕獲作戦を実行することにした。

 

コッコロ「…」

 

スズメ「…」ゴクリ…

 

二人は集中し、特にコッコロは動物が逃げないように一切の音を出さないように。瞳は動物だけを映し出していた。

スズメも声を押し殺しコッコロの邪魔にならないようにして、隠れていた。

 

コッコロ「ふっ!」シュン

 

そしてコッコロの投げたロープは上手く動物の頭に巻き付いた。毛がフワフワモコモコしていて、羊のような感触だった。

 

…が、

 

「リマリマーーーッ!?!?」

 

コッコロ「え?」

 

スズメ「え?」

 

二人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

なんと、動物だと思っていた音の正体は人型であった。

体こそ羊などの類に近い、顔もそれだ。

だが、動物にしては甲高すぎる声、それこそ人間の女性らしい声でちゃんと服も着ていた。

 

「苦しい!…食べないでリマーーーーーッ!!」

 

二人「「喋ったーーーーーーーーッ!!!」

 

某ハンバーガーショップのCMのような二人の反応。

そう、この生物、喋ったのだ。

 

「びっくりしたリマ〜…かわいくセットしてきた髪大丈夫かな〜?どう?変じゃないかしら?」

 

コッコロ「ちょ、ちょっといいですか?貴女はロ…いえマモ…えっと…」

 

ロバだったり魔物だったり言いかけていたがなんとも言い難いその容姿。コッコロは何と呼べば良いのか分からなかった。

 

「ちょっと!私はロバでも魔物でも無いわよ!こんなかわいいモンスターが居るわけ無いでしょう?確かに見た目はちょっとモフモフだけれども!!」

 

コッコロ「確かに…」

 

スズメ「…喋りますもんね。」

 

怒ったり、お茶目になったり、また怒ったりと色々と感情の高低差が激しいこの生き物…コッコロ達は未だにどう接していいのかわからなかった。

 

「流行りのコーデでキメてきたし、動物に間違えられる事は無いと思ってたんだけどなぁ〜…う〜ん、ざ〜んね〜ん。」

 

言葉とは真逆に自身のコーデが気に入っているのか自身満々の笑みを魅せる。ルンルンと自身の世界に入り込んでいるようだ。

 

コッコロ「そ、そのリボンが良くお似合いで…」

 

「本当!?やっぱ似合ってる?褒めてもらえると嬉しいな〜。ヴェッ!!」

 

二人「「!?」」

 

「あはは!いっけな〜い!つい癖でごめんね〜私興奮するとつば吐いちゃうの〜!」

 

そんな癖があってたまるか、とついつい心の中でツッコミを入れたくなるのだが、世の中にそういう特性を持つ生物も少なくないだろう。

 

コッコロ「い、いえ…先程は失礼を。私、コッコロと申します。」

 

スズメ「私はスズメです!はじめまして!」

 

「私は『リマ』。この森を抜けた先にある"エリザベスパーク"という牧場で働いてるの。貴女達はこんな森の奥にどうして?」

 

コッコロ「実は荷馬車を引いてきたのですが、ロバが逃げてしまい…」

 

リマ「それは大変!よかったら私荷馬車引こうか?」

 

スズメ「本当ですか!」

 

リマ「私、こう見えて力持ちだから!」

 

それは見れば分かります、と二人は心の中でツッコんだ。

どうやら話を聞く限り悪い者では無いようだ。

見た目からして分かる通りロバのような馬のような羊のような見た目をしている女性だ。

とても明るく活発的で前向きな性格、人助けまでしてくれる優しさが伝わってくる。

 

リマ「よいしょっと!」

 

コッコロ「重くないですか?リマ様。」

 

リマ「平気、平気!これくらいお茶の子さいさいだし!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

場面は変わって再びギルドハウスへ。

まだまだ内装の掃除は終わっていない。キャルは天井付近の窓を拭くべく椅子を4段重ねにして登っている。

 

キャル「よ、あと少し…!」

 

キャル(日頃から動いていない証拠ね…こんな高さでも息切れするなんて………戦闘にも遠距離型だし仕方無いか…)

 

悟空『おめぇがやったんだろ?』

 

キャル「…」

 

あれから悟空に言われていた事が常に頭の中を駆け巡っていた。それは焦燥か…迷いか…あるいは…

 

キャル(…別に…関係無いじゃない…あんたには…ッ!)

 

ガタッ!

 

キャルは考え事に集中して登る事に意識していなかった。

そのため足を滑らせ椅子から落ちしまう。

 

キャル「ッ!………あ、あれ?」

 

木の板にキャルが打ち付けられる…そう思ったが打ち付けられたというよりも抱きかかえられていた。

それは少しゴツゴツしており、温かい感触だった。

 

悟空「おいおい…ちゃんと前見ねぇと怪我しちまうぞ?」

 

悟空だった。

悟空は力仕事から窓を拭いたり床を拭いたり木を切ったりなどありとあらゆる事全ての掃除を任されていた。

 

キャル「あ、え……ちょ、もう降ろしなさいよ!」

 

悟空「お、悪ぃ悪ぃ。」

 

キャル「…………あそこの窓、拭きたいんだけど。」

 

悟空「ん?…あ〜あそこかぁ。高いなぁ、おらが拭くぞ。」

 

キャル「いや、あれはあたしの仕事なの!だからあたしが拭く!良いわね!」

 

悟空「お、おぉ。分かった。」

 

キャル「………まぁ、手伝わせてあげるけど。」

 

悟空「?」

 

それからキャルは窓を拭くべく悟空に手助けしてもらう。

階段がある場所はなるべくキャルが拭き、悟空は階段の届かないところ、つまり浮遊したまま窓を拭いている。

 

キャル「ふぅ。これでこそよ。生活の乱れは心の乱れって言ってね。生活の基盤になる家なんだから…ピッカピカにするわよ!」

 

悟空「へぇ〜、そんな言葉があんのか〜。おめぇは頭良いのか?」

 

キャル「良いに決まってんじゃない!馬鹿にしてんの?あんたの歳が幾つか知んないけど、これくらい常識よ!常識!」

 

悟空「へいへい分かってっさ。」

 

キャルに非常識だ!と指されるが悟空は気にしていない。

悟空自身別に勉強が出来ない事に関して何を言われようとも何も思わない。事実、本人もそれは認めている。

……また、悟空はこの状況を懐かしんでいた。

 

悟空(前にベジータみてぇって思ったけんど、チチにも似てんなぁ……懐かしいなぁ…今頃皆どうしてっかな〜………本当に消滅しちまったんかな…)

 

ところどころ悲しい気持ちにもなりながら、今は窓にこびりついてある汚れを拭き取る。

中々上手く落ちない…しぶといという意味では今の悟空のようだ。過去の出来事、あの世界での出来事は忘れられないのは未練がまだあるからだろうか。

 

キャル「ちょーい!やる気無いでしょー!」

 

スルスルスル…

 

キャルの足、正確に言うと太ももにムカデが一匹スカートの中に這っていった。

 

キャル「にゃああああああああああ!?!?!?!?」

 

悟空「お、おいおい!暴れたら落ちるぞ!」

 

キャルは変な感触に気が動転して椅子から落ちてしまう。

 

ガタンッ!

 

キャル「わ!ねぇちょ!起きなさいよ!」

 

 

悟空は咄嗟にキャルを抱え込み、崩れてくる椅子からキャルを守るようにしてその場に蹲る。

キャルが声を掛けるが反応は無かった。

悟空は言ってしまえば超人、サイヤ人だ。普通ならばこんな事で蹲まったりなんかしない。

悟空の身に何があったのだろうか…?

 

 

 

 

 

アメス「お、起きた起きた。」

 

悟空「…ん?ここは…おめぇは?」

 

悟空は突如意識を取り戻す。

辺りを見渡してみると色鮮やかな空間に包まれていた。

そこだけまるで、街とは関係無さそうな神聖な場所に招かれていた。

 

悟空「あ!ユウキ!おめぇも居たんか!」 

 

ユウキ「よー!悟空ー!」

 

何故かユウキもこの場所に招かれていた。

悟空はユウキを見つけると声を掛け、それに反応したユウキは右手を挙げる。ユウキも多少驚いているのか、一瞬動きが止まっていた。

 

アメス「色々あったみたいだけど、無事にギルドも結成出来たみたいね。」

 

悟空「あ、おう!ギルドなら組んだぞ。なんて言ったかな…えーと…び、…び、…まぁいいさ!うめぇ飯をいっぺぇ食うギルドだ。」

 

アメス「…そんな理由で結成しちゃったのね…本当に…」

 

悟空「あぁ。…ん?おめぇなんでおら達がギルド組んだの知ってんだ?」

 

アメス「それは私があんた達の事を見てたからよ。」

 

悟空「見てた?…あぁ神様ならそんな事も出来るんだったな。」

 

アメス「!……え、えぇ…そうね。」

 

アメス(…私の正体に一瞬で気がついた?…なんでかしら…この男は…いわば『別の世界』から来た男……元の世界ではこれが当たり前なのかしら…?)

 

アメス「と、ところで私が神様だって良く気づいたわね?なんでわかったのかしら?」

 

悟空「神様っちゅうんは気を感じないんだ。普通の人間ならそれが当たり前なんだけんどおめぇからは一切気を感じねぇ。」

 

アメス「へぇ…そう。」

 

アメス(『気』?を感じ取れるのね…それがどんな代物かは詳しく分からないけど今までの行動を見るに、あの時の魔法のようなもの、空を飛んだり、一瞬で移動した事と関係があるのね…)

 

悟空「あ、そういやおらはギルドの掃除をしてたんだけんど…いつの間にかこんなところに来ちまった。」

 

アメス「それなら安心して。普通の人なら…彼[ユウキ]なら気を失うような衝撃でこっちに普通に来れたけど…あんたはそうはいかないからね。だから何か"機会"が欲しかったのよ。だから、あんな風に…ごめんなさいね。」

 

悟空「なんだ、そういう事だったんか!おらびっくりしたぞ。」

 

アメス「えぇ。紹介が遅れたわね。私はアメス。あなたは孫悟空で合ってるかしら?」

 

悟空「あぁ。流石は神様だな。で?ここに呼び出したには何か話があるんだろ?」

 

アメス「えぇ。ほら、あんたもこっちに来なさい。」

 

ユウキ「?」

 

ユウキは首を傾げながらも悟空とアメスの元に寄ってくる。ユウキとアメスは面識はあるが、悟空とアメスは無い。神にまつわる存在なので驚きはするかと思われたが、悟空にはそんな事は日常茶飯事の用なものだった。

神と接触し、神の力を手にし、神とも闘った。

今更驚くなんて方が、無理があるだろう。

 

アメス「まぁ、ここまで良くやったわね。まさかギルドのメンバーが意外なメンツというか…この世界の謎に関わる娘達とギルドを組む事になったわね。」

 

悟空「謎?」

 

ユウキ「謎?」

 

アメス「そう。あの世界に住む人たちは当たり前だと思ってる真実は…真実では無いの…ペコリーヌちゃんにキャルちゃん、そしてコッコロと。…彼女達にはそれぞれ問題や使命がある。………特に、キャルちゃんは難しい立場に居るわ。」

 

悟空「………そっか。」

 

ある程度キャルが何をしているのか、に勘付く悟空。

最も、キャルの真相に一番近い人物である。

あの日、モンスター達の暴走するというのは全て原因は彼女にある。…だが、だからといって悟空はキャルの事が気に入らない訳では無い。

ただ、キャルの目的が何なのかを知りたかっただけだ。 

まぁ、かくいうユウキはアメスの言う事に追いついて来れていないが…

 

アメス「今あんた達に、私が知りゆる全てを伝えたとしても解決にはならない。…気をつけて、敵もあんた達の存在に気づいているわ。」

 

悟空「!」ボォォォォォ…

 

ユウキ「…」キィィィィン…

 

キィィィィン…と当たりが虹色の光に包まれ、そのあと悟空とユウキは金色の光に包まれる、ユウキは鮮やかに、静かに輝く金色だったが、悟空は()()()()()()()()()()()()()()金色に包まれていた。

 

アメス「これから彼女達と紡いでいく絆が…きっとあんたを成長させる。その時が来たら、私も昔のようにあんたの力になるから…」

 

ユウキ「…!」

 

アメス「…頑張って。」

 

その瞬間、ユウキは消えた…

この空間から消えただけであって、別に身になにか起きたわけではない。

次に、アメスは悟空を見る。

ユウキとは違う黄金のオーラ、それは時より穏やかに…時に激しく…炎の如く揺らめいていた。

 

アメス「あんたは凄い力を持ってるのね。」

 

悟空「…まぁ、そうだな。おらはちょっと特別な力を持ってるのかも知んねぇ。」

 

アメス「…そう。…あなたは確かに強いわ。あの街の人達が束になってかかっても勝てそうにないもの……。

でも、でもね?その力はいつか強大な()()()を生むかもしれないの。」

 

悟空「強大な…何か…?」

 

アメス「えぇ。…私はあなたの事を詳しく知らない。…でも、いつか()()()()()()()()()()()()()()()かも知れないの…それだけは覚悟しておいて。」

 

悟空「あぁ、分かった。」

 

悟空はこれについて馴染みがあった。

悟空の強さについて憧れ、敬う者はあの世界には居た。

…だが、それとは裏腹にその力を妬む者もいた。

過去の因縁であったり、存在が許せない者であったり、力くらべとして悟空へと牙を剥ける事は多かった。

最後の事に関しては、悟空達にも言えた事だ。

 

何時からだろうか、悟空は次第に地球を護るべくして自分を犠牲にする事もあった。

その結果、地球へと、悟空へと攻撃する事は少なくなっていった。

悟空は気づいていたのだ、『自分が居るから地球が攻撃される』という事に。

きっとその頃の事から、こういう事に関しては馴染み深い物を感じるようになっていたのだろう。

 

アメス「あなたも頑張りなさい、選択は間違わないようにね…」

 

悟空「…あぁ。ありがとな。」

 

悟空もユウキと同じく、意識を手放した。

 

 

場面は元に戻り、再びギルドハウスへ。

キャルは心配なのか悟空の傍から一切離れる気配は無い。

 

悟空「…ん…あ。」

 

悟空は目を覚まし、ようやく戻ってきたのか、と心の中で呟いた。

目が覚めるとキャルと目が合う、そのとき悟空は少なからずこいつは悪ぃ奴じゃねぇと確信した。

 

キャル「あ、良かった〜…引っ越し早々事故物件になるところだったじゃない…」

 

悟空「あ、あぁ…悪ぃ悪ぃ…」

 

 

アメス『特に、キャルちゃんは難しい立場に居るわ…』

 

悟空はアメスの言っていた言葉を思い出す。

自身はキャルという少女が、何者なのかは知らない。

それはこのギルド全員にも言える事だ。だが、決して知られてはならない悩みや秘密の一つだってある…悟空は今、人として成長しているのかもしれない。

 

悟空「へへっ!心配すんな、おら多分貧血かなんかだと思うからさ。」

 

キャル「…そう、それなら良かったけど。」

 

遠くからペコリーヌの声が聞こえた、どうやらテーブルの出来上がりらしい。外に出ると、ユウキとペコリーヌが居た。

悟空とユウキは目を合わせ、互いに"あの事"はナイショだと促した。それを見たキャルとペコリーヌは首を傾げるが、気にしなくて良いと言う。

ま、それはさておき出来上がったテーブルは傷一つ無く削れていた。ペコリーヌは大変器用であり、どんな仕事も熟すらしい。今朝、悟空が木の斬り方を教えていた際も直ぐに覚えてくれたので助かった。

 

悟空「良く出来たな〜!」

 

キャル「あんた本当に料理と言い器用ね。」

 

ペコリーヌ「いや〜!修行の旅のおかげですかね?」

 

キャル「でも、これなら5人で食事とれそう!」

 

ユウキ「良いね!」

 

ペコリーヌ「ありがとうございます!さぁ!テーブルを中に運びましょう!」

 

そして4人でテーブルをハウスの中に運ぶのだが…

 

どう考えても入らなかった。

どの角度からも、どの向きも、ありとあらゆる事は試してみたが全く入る気配は無かった。

 

ペコリーヌ「………」

 

ペコリーヌからは気力が失われていた。

あれだけ、長時間掛けて作ったテーブルが、まさかのサイズを間違っていたなどとは…

今までやってきた事が全部水の泡に…

 

ポンッ

 

だが、落胆したペコリーヌに悟空が肩に手を置く。

 

悟空「まぁまぁ、こんな事もあるさ。失敗してなんぼさ。」

 

改めて悟空達とペコリーヌはテーブルを作り直す事にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方その頃、コッコロ達はというと…

盗賊に襲われそうになっていた。

数は3人、顔ほ見れば分かる、怖いやつだが弱い奴だ。

 

盗賊1「おい!ここを通りたきゃそのロバを……え?ロバ?…馬…?」

 

リマ「ひどい!?せっかくおしゃれしてるのにぃ!!」

 

盗賊2「ロバじゃないのか!?」

 

盗賊1「構わねぇ!とっ捕まえて見世物小屋だー!!」

 

すると3人の盗賊は一斉にリマへと群がっていくが、リマ自身体格が大きいため、別に力負けする事は無かった。

 

リマ「やめてぇ!!こういう事はお互いを良く知ってから!」

 

コッコロ「リ、リマ様!」

 

コッコロは心配で声を掛けるが、どうして良いか分からなかった。相手は弱いだろう、しかし武器は持っていた。

それに、コッコロは接近戦など筋力には自身が無かったため食い止める事が出来なかった。それはスズメも同じ理由だ。

 

盗賊3「うわっ!すげぇ力だ!!」

 

盗賊1「モフモフして良く掴めねぇ!!」

 

盗賊2「ちきしょー!暴れんなこのロバ!!」

 

この一言がリマを激昂させた。

ロバ、ロバ、と何度言われただろうか。

彼女の怒りは頂点へと達していた。

 

リマ「カッチーン 」

 

すると彼女は荷台に積んであった剣を手に取る。

金色で剣というには刃先が小さく可愛らしい物であった。

 

リマ「だから…ロバじゃないって言ってるのに…!」

 

剣を引き抜くと一つ振るい、それだけで3人の盗賊は数mほど吹き飛ばされる。

 

リマ「こんなおしゃれしたロバが居るわけ無いでしょ…」

 

盗賊「「「ヒッ…!」」」

 

リマ「必殺ッッッ!

 

 

もふもふストライク!!

 

 

剣先が赤色に輝くと、大きく振りかぶり横に一閃…

盗賊達の顔は後悔と恐怖に染まり蒼くなっていた。

だが、そんな青も彼女の放った赤き斬撃によって吹き飛ばされる。

 

 

ドォォォォォォォォォォォォンッ!!

 

森全体を揺らすかのような爆発、遠目からでも爆発したのがはっきりとわかる。そしてその背景に、3人の人影が断末魔を上げながら吹き飛んでいく。

 

リマ「ふんっ!強引な人は嫌い!」

 

グゥ~

 

リマ「戦ったらお腹空いちゃった…貴重な物だけど、背に腹は代えられないし…あむっ!」

 

戦い…?あれは一方的な蹂躙だったような気がするが、それはどうでもいい。

彼女のお腹から大きな音が鳴る、と、彼女はりんごを一つ取り出しかじる。

 

すると…奇跡が起るッ…

 

なんとなんとリマが突然輝きだす。

これにはコッコロとスズメも彼女の身に起きた異変に驚く。すると、プリキュアの変身か…、と思うくらいに彼女の姿が変わっていく。

光が止み、中から現れたのは…

 

一人の美少女であった…

 

コッコロ「…」

 

スズメ「…」

 

2人の空いた口が塞がらない。まだ衝撃が体に走る。

りんごの謎、もそうだが、ロバ…のような見た目からなんとなんと、絶世の美女に大変身!!

彼女は仰○チェンジに成功した!!

 

リマ「メタモルアップルを食べると皆と同じ、人間の姿で居られるの!すごいでしょ!」

 

コッコロ「は、はぁ…」

 

スズメ「えぇ…」

 

もう一生それでいいよ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ペコリーヌ「ふぅ〜。」

 

再び戻ってギルドハウス。

もうほとんど完成に近かった。

片付いたということに関しては完璧だ。

 

悟空「これでコッコロもびっくりすんじゃねぇのか?」

 

ユウキ「もちろん!」

 

キャル「ところで、コロ助遅いわね?」

 

ペコリーヌ「そうですね。…ちょっと見に行ってきましょうか。」

 

悟空「いや、それならもう必要ねぇ…な、」

 

悟空とユウキが振り返ると、2人も反応して見る。

そこに、もうコッコロは居た。

大きな袋を両手に持ち、一人では運ぶのにとても時間が掛かりそうだ。

 

コッコロ「ただいま戻りました。」

 

ペコリーヌ「どうでしたか?良い買い物出来ましたか?」

 

コッコロ「はい、主様にはこれを。」

 

そう言ってユウキに渡した物は風呂場などによく置いてあるアレだ。アヒルの玩具だ。

 

コッコロ「それと悟空様、()()()は今晩に完成しそうです。」

 

悟空「お!そっかぁ!ありがとな、にひひ!」

 

悟空は我が娘のようにコッコロの頭を撫でる。

それは一見して見ると親子のような歳の差だ。

実際親子に見えるのは間違い無い。

 

キャル「そんな事よりコロ助、中を見てご覧なさい!」

 

 

扉を開けると、お化け屋敷と呼ばれていたあのハウスはもう無かった。

新築か、と思うくらいに綺麗に整理され、汚れなど一切無いくらいに、ピカピカに仕上げられていた。

 

コッコロ「す、すごい…」

 

キャル「そうでしょう!そうでしょう!あたしの掃除スキルを褒め称えなさい!」

 

ペコリーヌ「コッコロちゃんコッコロちゃん!」

 

コッコロが視線を移すと無かったはずのテーブル。

ペコリーヌ達が1から作ったテーブルだ。

 

コッコロ「これは…なんとも素敵な!」

 

椅子に腰掛けるコッコロは幸せがこみ上げてくる。

たかが椅子、されど…作った椅子だ。

必死に作った物はどんなに高価な物よりも美しい。

コッコロは幸せに包まれていた。

 

ペコリーヌ「どうですか?ヤバいですよね!」

 

コッコロ「はい………とってもヤバイです!」

 

 

 

その頃、スズメはサレンの元へと戻る事が出来た。

もちろんその時、リマも一緒だ。元の姿に戻っている。

まぁ街中にモンスターが現れた!と、思うのも無理は無い。サレンは最初こそ驚いた。…が、直ぐに慣れていた。

 

そして美食殿ではペコリーヌが料理をしていた。

そしてキャルはソファで寝転がり、コッコロは内職…

ユウキは外で薪を割っていた。

 

悟空「…出来たな。」

 

ユウキ「…うん!」

 

お互いにサムズアップをして歯を見せながら笑う。

男の友情ともいえるような、師弟のような、兄弟のような…なんとも仲睦まじい関係をこの世界で築けた…

 

 

そして夕飯の時間へ…

 

悟空「うぉぉ、美味そうだなぁ!!」

 

キャル「ほんっと、料理ってなったら凄いわね。」

 

コッコロ「さすがです!ペコリーヌ様!」

 

ユウキ「ペコリーヌ、すごい!」

 

ペコリーヌ「ありがとうございます!今日は引っ越し祝いのお肉で作ったビーフシチューですよ!じゃんじゃんおかわりしてください!マスター良い人ですよね!」

 

キャル「良かったわ〜初日早々虫料理じゃなくて。」

 

悟空「お!キャルもとうとう自分から食いたくなったのか!」

 

キャル「違うわよ!?」

 

コッコロ「ペコリーヌ様、キャル様。」

 

2人「「改めて、よろしくお願いいたします。」

 

ペコリーヌ「そんな固い事言いっこ無しですよ。さぁさぁ!料理が冷めちゃう前に!」

 

ユウキ「うん!」

 

ユウキ、コッコロ、ペコリーヌ、悟空と4人は両手を合わせる。そしてキャルも…渋々ながらも手を合わせる。

 

 

 

いただきまーす!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝、ペコリーヌ、コッコロ、キャル、ユウキは外に出ていた。悟空は…

 

悟空「この服に体通すのも大分久しぶりだなぁ…」

 

紺色のインナーを着込み山吹色の道着をその上から着る。

そして最後に紺色の帯を締める。

 

悟空はとうとうあの服に着替えたのだ。

幾多もの戦いと冒険をしたあの道着に、それは色褪せない思い出と、経験が宿っている。

そしてまた、新たな思い出を…!

 

 

 

キャル「あいつ遅いわねぇ…」

 

ペコリーヌ「どうかされたんでしょうか?」

 

ユウキ「悟空、気になる。」

 

3人は心配したような顔になるがコッコロは知っている。

 

コッコロ「心配いりませんよ。悟空さんは悟空さんですから。」

 

コッコロの発言に首を傾けるが扉の音がした。

 

ガチャンッ

 

ペコリーヌ「うわぁ!!」

 

キャル「!!」

 

ユウキ「かっこいい!!」

 

コッコロ「!!悟空様、お似合いです!!」

 

4人は初めて見る悟空の姿に釘付けになる。

これが当たり前だった悟空はまんざらでも無さそうだが。

悟空は称賛される事は嬉しいのは嬉しい。にひひ!と笑い、そのあとに左手を挙げる。

 

 

 

 

オッス!いっちょいってみっか!

 

 

 

美食殿『孫悟空』としての冒険が始まるッ!

 




やっと悟空の道着が完成しましたね!
次回は何時になるか分かりませんが、なるべく早くします!

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